キンタイア半島の先端、キャンベルタウンの街にあるスプリングバンク蒸溜所。

昔ながらの設備で昔ながらのやり方で蒸留する、スコットランドを代表する蒸溜所です。

手作りゆえに生産量は多くなく、最近はプライベートカスクが制限されていて、日本向けもbar showの際の記念ボトル位しか入らなくなってしまいました。

100%フロアモルティングによる自家精麦を行う唯一の蒸溜所で、近年のものでも時間がたてばオールドボトルの味に近づく蒸溜所だと思います。

熟成年やヴィンテージからの予想を大幅に越えるものも多く、シングルカスクは飲めるなら全て飲んでみたい蒸溜所です。

私のホームのbarはキャンベルタウンの名を冠しているため、みたことのないスプリングバンクがよく開栓されます。

このボトルも初めて見たスウェーデン向けのプライベートカスクで、パッと見た感じは日本向けに詰められた97ヴィンテージと同じラベルです。

スカンジナビア半島の南端に近い、スウェーデン第三の都市であるマルメにあるインポーター、シンポジオン・インターナショナルAB向けに詰められたもの。

ちなみにABとはスウェーデン語で株式会社を意味するアクチエボラグ (Aktiebolag) の略だそうです。

ヴィンテージは1998で、11年熟成の55.7%で、ボトリングから6年以上が経過しています。

近年蒸溜のショートエイジのウイスキーですが、非常に気に入りました。

【テイスティング】
トップは甘い蜂蜜、グラッシー、二枚貝のエキス、ミント。
サトウキビ、乾燥した粉っぽい木材、ブリニーな海水、レモンピール。
余韻には焦がしたカラメルやヨードが残りピートスモークは穏やか。

タウリン感にあふれた90年代のスプリングバンクにグラッシーな青草やミント、ざらっとした砂糖っぽい甘味が足されている。
ラムカスクっぽいな、と思ったらやはりラムカスクでした。

ブラインドで飲んでも90年代半ば以降のスプリングバンクと答えそうな、ハウススタイルがよく出たボトルです。

スウェーデンはコアなウイスキー愛好家が多い市場だと聞きますが、さすがにいいセレクトのボトルで、若くてもしっかり仕上がっていました。

現行品でも気付きが多い蒸溜所のため、つい取り上げることが多くなってしまいます。
興味深い蒸溜所です。


【Good/Verygood!】