伝説巨神イデオン40周年記念第21話
バッフ・クランのギャムスは、持てる戦力全てと、腹心の「双子の悪魔」と呼ばれるブフ兄妹を差し向けて、ソロシップに攻撃を仕掛けた。
その
敵の猛攻に身動きが取れないソロシップではあったが、イデによるバリアーの上昇は、それさえも撥ね除けてしまった。
ギャムスの隊は壊滅したものの、ソロシップの損傷も小さくはなく、ソロシップは、水の星、フラックスターを後にした・・・・・。
ハルル・アジバの乗る戦艦ドロワ・ザンは、バッフ・クラン本星への帰還を急いでいました。自分の放った部下達を悉く破っては退けたイデの巨神の脅威は、ハルルにとって、大きくなる一方でした。
ハルル「イデの巨神・・・・・・そうでなくては困る。でないと、失敗を続け過ぎた私は、嗤い者となる・・・・・・。」
そうしてドロワ・ザンは亜空間飛行に入りましたが、その進路上で、同じようにたまたま亜空間飛行に入って整備中だったソロシップに出くわしたのでした。
ハルル「どういうことなのか?異星人の船を追えとは云っていない!」
兵士「ハルル様、原因が分かりました!ロゴ・ダウの船が起こす時空震の流れに引っ張られたようです!」
その報告にハルルは蒼白します。
ハルル「時空を歪める力、その力があのロゴ、ダウの船にはあるというのか!?」
ソロシップの方も、突然現れたドロワ・ザンを引き寄せたイデの力に困惑していましたが、バッフ・クランである以上黙ってはいられませんでした。
シェリル「ひょっとして、戦う事も、逃げる事も思いのままではなくて?」
カララ「私も戦うべきだと思います!いつもなら・・・・・・襲ってくるはずのドロワ・ザンが、今日はまるでこちらの出方をうかがっているように見えます。」
ベス「ということは?」
カララ「一気に攻め込むだけの戦力は無いものかと。」
早速戦闘態勢に両艦とも入りました。
ハルル「どうするか?不意を突かれた上に、こちらの戦力は無きに等しい!」
ゼキタン「逃げられるものであれば、逃げるべきかと。」
ハルル「重機動メカギラン・ドゥを発進させよ!!」
コスモ「なんてこった!俺達は一生バッフ・クランから逃げられないのか!しかし、ゲージは輝いている・・・・・・。」
ドロワ・ザンから発進したギラン・ドゥにイデオンは向かいますが、ドロワ・ザンはギラン・ドゥを捨て駒にしても逃げるつもりだったのでした。
しかし、イデオンの前に既に旧式のギラン・ドゥでは歯が立たず、あっさり瞬殺されてしまいました。
ソロシップは圧倒的な優勢な状況化にあり、ハルルを仕留めれば、もうバッフ・クランの追撃を受けなくて済むと思い、ソロシップ、イデオン共に戦意が天を突く勢いでした。
モエラ「敵はたじろいでる!ハハハハ!勝てるぞ、俺達は!今日は勝てる!!」
ベス「手の空いている者は、砲座に移らせろ!明日は戦いは無い、今日限りだ!!」
そんな一同を見て、リンとロッタは、いつもと違う光景になにか背筋に寒いものを感じていました。そして、シェリルとカララも異変に気づきました。
シェリル「おかしいわ!乗組員の戦意によって、イデの力が上昇している訳ではなさそうよ!!」
カララ「そういえば・・・・・・ゲージの輝きはどこか不安定ですね・・・・・・!?」
その異変は、イデオンにも及び、テクノが撃っていたグレンキャノンがオーバーヒートを起こしてしまいます。
コスモ「テクノ!どうした?」
テクノ「グレンキャノンが・・・・・・焼き切れた!!」
そればかりでは無く、イデオン全体が急に震えだしたかと思うと、突然、強制的にドッキングアウトしてしまいました。
ハタリ「イデオンがドッキングアウトした!?」
シェリル「ええ、こんな時に!?」
カララ「なんで!?」
ベス「一体どうしたんだ?」
ジョリバ「異常なパワーアップで、各メカが拒否反応を起こしたんだ!!」
カーシャ「どうなってるの!?」
デク「コスモォ!?」
コスモ「判らない!一体何が・・・・・・何が起こったんだ?イデオン、ちゃんと動いてくれえ!!」
カーシャはそれでも、まだ戦えると言い張り、イデオ・バスタのままで、攻撃に移ろうとしますが、ハルル側は突然の事態と、ドロワ・ザンに入った正体不明の友軍からの通信とその声に、困惑しながらも亜空間飛行解除を命じます。
しかし・・・・・
ドロワ・ザンがDSアウトすると、ソロシップがその真下に現れ、両艦とも、乗組員達は全員唖然とするばかりでした。
ハルル「何故、こんな事に・・・・・・?」
ハタリ「敵艦の真下に!脱出するぞ!」
ベス「待て!動くと狙われる!」
ハルル「どうするか?ゼキタン!」
ゼキタン「はっ、白兵戦しかありません!」
ドロワ・ザンから多数の兵士達が、ソロシップに乗り移ってきて、たちまちソロシップ内で銃撃戦が展開されます。その中には、ロッタとリンの姿もあり、ロッタは必死に構えた銃を撃ちますが、その銃はバッフ・クラン兵士を撃ち倒しました。
ロッタ「こっ・・・・・・殺してしまった、殺してしまった・・・・・・・!」
リン「ロッタ・・・・・・・!」
ロッタが自己嫌悪に陥る暇も無く、戦いは続き、コスモはイデオンを再ドッキングさせて、ドロワ・ザン攻撃に向かわせます。
コスモ「ソロシップが乗っ取られる前に、この艦を沈めてやる!!」
カーシャ「コスモ!ブリッジを、ブリッジを狙って!!」
コスモ「了解!!」
イデオンの猛攻でドロワ・ザンは完全に沈黙しました。
ハルル「終わる時は造作も無い・・・・・なのに、あなたは私が苦しむ様を見ていて・・・・・・。」
ハルルは先程の通信相手に恨み言を言いつつ、脱出準備にかかります。
コスモ「勝ったぞ・・・・・ついに、異星人に勝ったんだ!」
カララ「お姉様、憎み合う日々も今日で終わりですね・・・・・・。」
だが、ドロワ・ザンはブリッジを離脱させて脱出し、それをイデオンは追撃しようとしますが
突如現れた新型重機動メカによって、ハルルを取り逃がしてしまいます。
やがて、ハルルは、救出してくれた重機動メカのパイロットと対面しますが、それはかつてハルルと恋仲でありながら、ハルルを振ったバッフ・クラン元軍人ダラム・ズバその人でした。
ハルル「礼を・・・・・・言わなければならないですね、感謝します・・・・・・。」
ダラム「我々も、もう少し早く、脱出ルートを見つけていればこんな事には・・・・・・。」
ハルル「口先の・・・・・・謝罪など聞きたくない!」
ダラム「相変わらずだな、ハルル・アジバ殿。」
ダラムは、辛口を浴びせるハルルに、帰国するための戦艦デロ・ザンを貸し与えますが、ハルルはあくまでも自分を振った男に気丈に「あなたに借りは作らぬよ」と振る舞います。そして、そのダラムの隊に居た見覚えのある男、ギジェ・ザラルを確認するのでした・・・・・・。
そしてハルルを取り逃がしたコスモ達は、浮かない気持ちで、イデオンのゲージを見つめていました。
コスモ「俺達はイデという力に振り回されてるんじゃ無いのか?今日の戦いもそうだった・・・・・・。」
伝説の無限力”イデ”をめぐって起きた異星人同士の接触。立ち上がる伝説の巨神、イデオン。
コスモの、ベスの、カララの運命は、その時イデの手に委ねられたのだろうか。
次回『伝説巨神イデオン』、「蘇る伝説」
スペース・ランナウェイ!!