ここしばらく怪獣続きだったので、久々に生き物関係をば。
北大で見て来た昆虫たちの中で注目出来たものを紹介します。
世界一のヤツです
パラワンオオヒラタクワガタ Dorcus Titanus Parawanni
節足動物門 昆虫網 鞘翅目 クワガタムシ科
フィリピンパラワン島に生息しているヒラタクワガタの亜種で、ヒラタクワガタの仲間で最も体長が長く、オスは67~104mmとなり、最大で110mm近くに達し、世界最大級のクワガタムシとなる。
他の大型のオオヒラタクワガタの仲間より体と顎がやや細長いが、大顎の長さで体長が最大となる。飼育も容易なことから、飼育数や輸入される点でも外国産ヒラタクワガタの中で最も人気がある種でもある。
野外では倒木や腐朽が進んだ木に産卵し、腐った樹木やその土化した養分を食べて幼虫は1~2年で成長し、成虫となる。しかし、ヒラタクワガタの仲間なので気性が荒く、オスが強力な顎でメスを挟み殺してしまう事もあることから、雌雄を個別飼育する事が基本となる。
このパラワンは102mmあったとの事です。
ワチキが手に載せているので、その大きさがお判りになるでしょうか?
ミヤマの大型と比べても、違いが判るかと。
カブトムシの場合は、最大は体長一番のヘラクレス、強さ一番のコーカサス(今はキロンなんていわれるけど)、体重、ガタイ一番のゾウカブトという3種に絞られますが、クワガタは最大、最長など、ばらつきが多く、どれが世界一なのか?と云われると、厳密に決められないのがホンネです。
ヒラタクワガタにしても、このパラワンと、ガタイでは本種を上回るスマトラやミンダナオ、横幅最大のアルキデスといったものがいて、更に細かくなります。国産で似た種類ではツシマヒラタクワガタ http://www.zeal-of-crimson.com/introduction/t_castanicolor.html がいますが、ツシマヒラタの巨大版がこのパラワンだと思えます。
メスを写しそびれたのですが、メスも50mm近くになり、かなりの大きさでした。オスの大顎の破壊力は実際サキシマヒラタクワガタに試しに鋏ませた事もあって、その悶絶してしまうほどの激烈さは判ってはいたのですが、この個体が鋏んだ飼育ケースのプラスチックの空気穴部分が、何本もへし折られてしまった威力でした。
国産クワガタではとてもそこまで破壊力のある顎では無かったので、外産で世界最大級ともなると破壊力が違いすぎるのです・・・・・・。
続いて、自然界ではまず見られないハイブリッド種
パラワンは生態や、標本で何度か見ましたが、こちらは初めて見ました。
オオコクワガタ
節足動物門 昆虫網 鞘翅目 クワガタムシ科
「ナカクワガタ」、「チュウクワガタ」とも呼ばれるオオクワガタとコクワガタの種間雑種で、種間的に非常に近縁である二種のそれぞれの特徴を持つ。
体長は35~65mm程になり、コクワガタを拡大したような姿に加えオオクワガタのように体の幅がやや広く、全体にオオクワガタのように艶が掛かったような体色になるのも特徴。外国産のシェンクリンオオクワガタ http://petippai.com/beetle/catalog/077.html や、ネパールコクワガタ http://mushibu.na.coocan.jp/Specimen/w/D_nepalensis.html にも似ている。
自然界で希に見つかり、飼育下でも誕生するが、幼虫の死亡率が高く、羽化しても殆どがオスとなり、生殖能力は殆ど持たない。
そんなオオクワとコクワのハーフなんですが、生殖できないのがちょっと・・・ではあります。
変わったヒメオオかなんかだと思ったら、オオコクワだと知り、驚きました。
形は良いので、一代限りで終わってしまうのが惜しいですが、発生できない自然界や、発生させられる人間の・・・という二つの面で考えさせてくれました。
ヤフオクでも出されたり、これをシェンクリンやネパールコクワと偽って出されるケースもあるのかもしれません・・・。
ウチでもミヤマ、ノコ、コクワを飼育しています。
これらの虫を展示していた昆虫マニアの学生とは、とても話が弾みました。