徒弟制度 | 一般社団法人福岡県古民家再生協会

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大工見習いの修業
以前は大工職人といえば「徒弟制度」というのが当たり前で、年季奉公 年季明け(よく弟子上がり)といいます。 そのあとお礼奉公がありました。

私が大工の道に足を踏み入れたのは昭和44年の事です。
大工になるにはまず棟梁のところに弟子入りし、4~6年の見習いから始めます。年季奉公といいます。

師匠の家に住み込みで、食事をさせてもらう代わりに家の手伝いをやらされます
私も師匠の孫もりなどの家の手伝いをやりました。 今のように手間賃などはありません。小遣い程度です。
そんな厳しい修業の中で技術を覚え棟梁に認められてようやく 年季明け (弟子上がり)と言って晴れて一人前になれるのです。

一人前になってさらに、一年二年をお礼奉公として感謝を込め、棟梁の仕事を手伝うのが当たり前でした。 これも、伝統的な「徒弟制度」ですが今はみかけなくなりました。

弟子入りした当初は、雑用ばかりで何でこれで大工になれるのだろうと思いつつつまらねぇなどと思ったものです。

兄弟子が「あれ、持ってこい」とか棟梁や兄弟子の指図通りにします。
しかし、これが弟子の修業に一番大切な事だというのが後でわかります。

手元仕事を言われるままにただ漫然とやるだけの人間と「これはこういう名前なのか」とか学びの気持ちでとらえる人間では自ずと身に付き方がちがうのです。
大事なのは、どう取り組めるかなのです。

「教えてもらうんじゃない。自分で学びとるんだ」とよく言われたものです。 教えて身に付き付くほど職人の世界は簡単なものではないのです。

棟梁に手本を見せてもらったら、どれだけそれを自分のもにするかは、本人やる気と努力次第だということです。

今振り替えると棟梁や兄弟子達は、そうした弟子の姿勢を見ていて「やる気のあるもの」 「頑張りもの」とおもえば 次「これやってみろ」と仕事を与えます。

弟子はそうして雑用や手元の仕事をしながら、少しずつ仕事を身に付けていくのです。

こうした「徒弟制度」に今どれだけの人がやり遂げることができるだろうか。

棟梁は、大工仕事だけでなく雑用をやらせる事で現場の「品質管理」 「安全管理」を身に付けさせさらには、雑用仕事をする事での棟梁や兄弟子への感謝や仕事をさせて頂く施主さんへのお礼の気持ちや社会人としての基本的な事を身に付けるです。

そうして人間的に成長するのだと思います。

今は亡き私の棟梁に感謝です。