病気・入院カテゴリーで『旅立ちました』というタイトルは別の重いことを連想させてしまうので適切ではないかとも思いましたが、やはり"旅立ち"なのでそうさせていただきました。
昨晩、長男は会社の独身寮に入るために家を出ました。
24歳です。
長男の仕事は港での現業職場で且つ不規則な勤務体制のため夜勤や早朝勤務も多くあり、実家から定期的に通うには些か無理がありました。
ただ何だかんだいっても実家暮らしは気楽ですし、何よりお金を使いません。
長男、家に月2万円程度を妻に渡していたようですが、妻も「気持ちだけ」といって半分ぐらいしか受け取らなかったようです。
長男が実家を出て、独身寮に入ることを決意したのは私が早期退職するからです。
58歳で仕事にありつけても、もはや年金に毛が生えたような収入しか得られないことを知っている長男。
『そんな親の扶養になどなれる訳がない』
ということではないかと考えています。
妻はすっかり長男が実家を離れて自立してしまう"巣立ち"だと理解したらしく、
「身体に気を付けてね。」
「きちんと食事をして、偏った栄養にならないようにね。」
「困ったことがあったら、何でも相談するようにね。」
とあれこれ言い、まるで今生の別れか、遠いところへ旅立つかのようです。
長男が入る独身寮は家から電車で1時間ちょっとの距離にあるところなので、帰ってこようと思えば何時でも帰れます。
ですから私は長男が新年より独身寮に入るのは"巣立ち"ではなく、"旅立ち"だと認識しています。
現代の旅はちょっと家から離れて、ひょっこり突然に帰って来るようなものです。
「土日と2日休みの時は毎週、飯食いに帰って来い。金はとらないから。」
と私が長男に言うと、苦笑しながら「わかったよ」という返事。
妻には「長男、ほぼ毎週土日には帰って来るから。」と言うと、「ヘッ⁉」という反応。
「帰って来るなら嬉しい」
と笑顔の妻。
それでも寝る時には妻はひとり泣いていました。
母親は言葉にならない何かを感じるのかも知れません。
長男は発達障害グレーゾーンの疑い濃厚と高校生の時に言われ、高校では不登校気味になりました。
私が長男の高校中退を認めず、無理して高校に通わせたのでメンタルを少し崩し、時に「皆が自分をバカにして笑っている」という幻聴めいたものまで出現して抗うつ剤などのメンタル系の薬を飲んでいました。
大学進学には意欲が出ず、一時は介護施設で働くとまで言い、介護の職業訓練校まで通おうとした長男。
新型コロナウィルスの流行により介護施設で働くことをやめて1年間、浪人する形で入れる大学に行きました。
今も長男は極端な対人恐怖症で緘黙傾向、注意欠陥が見られますが、寡黙で人見知りの激しいタイプの人もいるので発達障害グレーゾーンだとは誰も思いません。
他人とのコミュニケーションが円滑でないタイプの人は職人や研究職が向いているといいますが、長男は不器用で理系の勉強が大嫌いなため就職には悩まされました。
今の長男の職種は職人ではないですが、職人に近いカテゴリーなので本人は適性がある仕事だと感じて頑張っているようです。
屋外の仕事なので夏は猛暑、冬は厳寒です。
おまけに夜勤や早朝勤務、夜勤と早朝勤務の連続などという現代っ子なら
「あり得ない!」
と吐き捨てるような労働環境なので、私は半年も持てば上出来だと考えていました。
高校生の時に見せた弱々しく、部屋に引きこもって、暗い顔した幽霊のような姿の長男は今はどこにもありません。
何がきっかけになったのかわかりませんが、
「たくましさ」
すら薄っすら感じるようになった長男。
人間万事塞翁が馬。
長男の就職先を聞いた時、私は
「こりゃ、半年持てばいい方だな。」
と、この先、長男がどうゆう展開になるのかわからない不安に苛まれましたが、予想外の結果となりました。
でもまだ長男に不安要素を感じる私。
「長男は毎週、週末には家に帰って来るから。」
という私の言葉を妻は信用しません。
どうやら長男、妻には今の状況では「実家には帰れない、帰りたくない」という感じのコメントをしたようです。
私が無職のまま失業保険をもらっているうちは長男は大手を振って帰れないかも知れないので、何とか長男が帰れるよう1日も早く仕事を見つけようと心に決めました。
長男の実家からの旅立ちは私にも大きな影響を及ぼしています。