昨年のこの時期、心臓の精密検査を受けて手術適用になるレベルであるとの診断を受けました。

 

今でもその時の医師とのやり取りは鮮明に覚えています。

 

医師 「逆流の量やステージは手術適用なんですが、どうしますか?」

私  「手術しなくても治るのでしょうか?」

医師 「自然治癒はしないし、クスリを飲んでも治らない。治すなら手術です。」

私  「では、手術を受けます。覚悟はできています。」

医師 「えっ! 本当に手術受けるの? もう少し様子見ることもできますよ。」

私  「どのくらい様子を見るのですか?」

医師 「うーん。三か月かな。三か月経過して今より悪化していたら手術かな。」

私  「それだったら、スパっとやっちゃてください。お願いします。」

 

どうやら自覚症状も何もないのに、心臓手術を前向きにやろうとする患者は珍しいようだった。

 

一緒にいた妻は

「本当に心臓の手術やるの? 先生は様子見るって言ってるよ。」

と慎重発言。

 

医師と妻は「そんなに手術を焦らなくても・・・」的な雰囲気。

私だけが手術に前向きという妙な空間だった。

 

「先生。やはり心臓手術ですからリスクがある。死亡率はどのくらいですか?」

 

そんなことを尋ねると医師の顔つきが変わった。

 

「手術に絶対はありません。しかし、手術は95%以上安心できるレベルです。」

 

それを聞いて私は「それではお願いします。」と回答し、手術が決まりました。

 

今から考えると何であの時、あれほど手術に前向きだったのか全くわかりません。

 

多分、いつまでも心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全)をひきづりながら生活していくことが嫌で、一日も早くこの病から決別したいという気持ちでいっぱいだったのだと思います。

 

決然と手術を決めた一方で家に帰ると不安と恐怖で震えました。

「何で手術してくださいなんて医者に言ったのだろう。」

 

自分で手術を決めておいて、手術を受けるその日まで不安と恐怖に翻弄される日々が続きました。

 

遠い昔のようでもあり、昨日のことでもあるようなそんな不思議な感覚です。