斗いのアンソロジー、続く | ZETA-WEB電脳市場

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宇宙でたった一人その資格を持つ男が、座標を定めて走り始めた。
生まれながらのPS、異能者、神の子。
バララント、ギルガメス、アストラギウスの絶対支配。
壮烈な決意が、自らを加速させる。
全てをこの手に。
次回「乱雲」。
もう止められる者はいない。

著者: 大上 主税
タイトル: 斗いのアンソロジー―総合格闘技1992‐1999

 著書「斗いのアンソロジー」の刊行から5年。当時はまだRINGSがあったし、PRIDEも「天下」を獲るまでには至っていなかった、そんな時代状況。5年が経過して、RINGSが復活の兆しを見せ(HERO'S)、PRIDE追撃ムードが高まっている。タイトルに「総合格闘技」。しかし、実際、本書に登場するのは「プロフェッショナル・レスリング」。1988年に新生UWFが端緒を開き、1991年の解散後、3つにブランチして、RINGS、UWFインターナショナル、藤原組(その後パンクラス)。立ち技、寝技の格闘技の両方の要素を持っている「プロレス」こそ「最強」。「プロレス」の虚飾を棄て、進化したのが「プロフェッショナル・レスリング」=「総合格闘技」である、それがUの主張(軌跡)だった。


 ところが、1993年11月にアメリカで第1回『U.F.C』が開かれ、<ヴァーリ・トゥード>(何でも有り)が台頭。日本に輸入される際、便利だからと、それが「総合格闘技」と名付けられた。日本でせっかく「プロレス」の土台の上に「総合」の歴史を積み重ねてきたのに、アメリカからの輸入品<ヴァーリ・トゥード>に飛びついて、Uの歴史は踏みにじられた。UWFインターナショナルを失敗(解散)した高田延彦がPRIDEに担がれ、RINGSが発掘した選手がPRIDEに引き抜かれ、現在の隆盛を作った。PRIDEと並び称される、立ち技のK-1も最初はRINGSとの提携関係から始まり、興行のノウハウ等を学んでから、RINGSを蹴落としていった、そんな歴史。


 そんな経緯の中、「プロ・レスリング」の復活を目指して、Uの忘れ形見=田村潔司が、2003年2月、U-STYLEを旗揚げしたが、2004年12月の興行を最後に活動を休止。冬の時代の真っ只中にいる。果たして、「プロフェッショナル・レスリング」の復活はあるのか? 2005年3月『HERO'S』旗揚げ。格闘技界から蹴落とされていた人物、前田日明が復活し、スーパーヴァイザーを務め、第2次RINGSを画策、さらに新プロレス・イヴェント『WRESTLE-1』で、プロレスの復興も目指す。キーワードは「U」か? プロレスの理想を謳ったUWFの「U」と、「何でも有り」を「究極」と訳した「Ultimate」の「U」と。これが最後の決戦、だ。「U」を棄てた高田延彦と、「U」の怨念を背負う前田日明の「最終戦争」でもある。