コソボ自治州 議会選挙
http://www3.nhk.or.jp/news/2007/11/19/d20071118000025.html
「17日、投票が行われた120議席をめぐるコソボ自治州の議会選挙は、・・・NGOなどの出口調査では、アルバニア系の政党で強硬に独立を主張する「コソボ民主党」が第1党になる見通しです。これを受けて、コソボ自治政府の新しい首相に有力視されている「コソボ民主党」のハシム・サチ党首は、17日、「12月10日の直後にわれわれは独立宣言する」と述べ、一方的に独立を宣言する考えを強調しました。」
アメリカとEUとロシアの仲介で行われているコソボ独立をめぐる交渉は12月10日までに何らかの結論を出すようにと、国連から求められていました。その期日を前に行われた選挙でしたが、このままいけば独立強硬派が第1党になりそうな感じ。これからさらに緊張が高まりそうですね。
最近の経緯に少し触れると、
今年2月にアハティサーリ特使がセルビアに提案した案は大まかにいえばEUの後ろだてによって安定的な独立を果たそうというもの。これが拒否され、国連安保理での議論ではアメリカとEUは賛成したもののロシアが強く反対。そして国連ではその結論を12月10日までに出しましょうということになっているわけです。
この問題を難しくしているのがコソボの歴史的な背景。セルビアにとってコソボは”聖地”的な意味合いを持つ場所であることが問題を複雑にし、セルビア側が独立を認めようとしない大きな要因となってます。
ロシアとしても自らも民族問題を抱えているなかで、コソボが独立してしまったら国内の独立運動が活発化してしまうのが怖い。という理由が大きいのでは。例えば、チェチェンの独立運動などが挙げられるでしょう。
この解決案は欧米による(当事者によらない、第3国による)主導のもとの民族紛争解決のモデルという側面でも注目されている。欧米はこれからどう動いていくのでしょうかね。欧米による民主化はグルジアを見るに、ほころびが出始めている感もありそうですが。
さて今回の選挙でコソボ民主党が勝利し、もし一方的に独立がなされれば再び対立が起きコソボで紛争がおこる可能性がでてくる。民族問題を抱える周辺諸国にも飛び火し、独立の機運を広げることにもなりかねない。そうなればまた大きな混乱になることも考えられる。
にもかかわらず日本はいたって穏やかですね。日本人は国外に対する関心があまりに低いと思える。ほぼ単一民族である日本ゆえに民族問題は疎く感じられるのかなあ。報道の程度にも当然関係するけど、ね。とりあえず12月10日まで、事態の動向を注視したいところ。