身も心もドハマりした作品。それが平成ライダー第4作「仮面ライダー555(2003年)」。

 

好きな特撮番組という枠に収まらない、自分がその時生きていた時間・人生と同等な質量を持つ、まさに想い出。

 

人類とオルフェノク、スマートブレインという世界観だけでもタマラナイのに、主人公乾巧を始めとする主要キャラクター全てに心を奪われ、彼らの生き様死に様が、自分の身近な人間かの想いに至った奇跡の作品。

 

そんな「555」がなんと20年ぶりのVシネ化。最終回以降の物語を描いたのが本作『仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインド』なワケですが...

 

 

あんなに美しく閉じられた物語の続きを作ってもらいたくなかったのが本心!!

 

 

とはいえ、愛した「555」の完全新作。失敗作だとしても見届ける義務が我にあり(ネタバレ耳に入るのもスゲー嫌ですしねあせる)。

 

 

(2024年公開 上映時間 1時間05分 監督 田﨑 竜太)

 

  ストーリー

 

スマートブレイン社はオルフェノク殲滅を目指す企業に変わり、北崎が社を率いていた。

 

園田真理は海堂直也、草加雅人とともにオルフェノクの庇護を行っていたが、そこへ数年前に真理たちの前から姿を消し、消息不明となっていた乾巧が現れる。

 

しかし、仮面ライダーネクストファイズに変身した巧は、スマートブレイン社の尖兵として海堂たちに襲い掛かる。

 

  感想

 

一言で言えば...なんともフクザツな思いが残った作品。

 

確かに「555」のドラマだった。それは本当にホッとした。

 

絵空事ではない、自分たちの「現在」を共有しているリアルな空気感。そしてキャラクターたちが記号ではなく、昔と変わらぬ実存感が伴っていたのは、素直によかったと思えたのですが...

 

 

でも、あの素晴らしかった「555」の世界観が正直グタグダ。そこはもう本当にガッカリ!!

 

 

例えるなら、あの不朽の名作「デビルマン」に泥を塗りまくった「バイオレンス・ジャック」の終盤展開(個人的感想)。あんなに完成されていた世界観が、こんなことになるとはね...

 

なにせ人類の脅威だったオルフェノクが、本作ではただの絶滅危惧種。しかも人類が問答無用で彼らを狩りまくるんだから、もうオルフェノク側は人類にテロ仕掛けるしかないじゃないですか、こんな世界。

 

 

人類・オルフェノクどちらにもイイ奴・悪いヤツがいる。種を超えて共存の道を模索していく、そんな深いテーマを内包していたのが「555」だったと思うんですよ。オルフェノク的ディストピア世界観は、ただただ浅いしダサい!!

 

 

なぜ草加・北崎が生きていたのかという「?」の理由もバカにしてんのかって思えたし、前作最終回の顛末(アークオルフェノク・前作スマートレディetc)がほとんど生かされないって、普通に考えてダメでしょ。ねぇ?

 

個人的に本作『パラダイスリゲインド』を正当続編なんぞと認めたくない。『パラダイス・ロスト』と同じく、パラレルワールドであるべき作品。もうマジでやめてくれ。

 

 

初見は納得できなかった夏映画。

いま観ると...どうなのかな(≖ᴗ≖ )ニヤリ(草加スマイル)。

 

 

とはいえ、観ている時ワクワクしていたのも、また事実。

 

オルフェノクは変わらず素晴らしい造形美だし、オリジナル作品でデルタやカイザの奮戦を観られるのは単純にウレシイ。新ライダーのミューズも変身者玲菜のキャラ造形含めて非常に魅力的!!

 

なので、楽しめたことは楽しめた。でも、本作を無邪気に賞賛することだけは出来ません。

 

 

 

ただ「オーズ」と比べたら、幸せな出来ではある。

 

 

満足度 70点