プライム行脚していると、妙に気になる作品たちに出くわします。リストに入れた良作は多々あるのに、なぜか目を引くB級ムービー。
屋敷に閉じ込められた犯罪者チーム、マフィアの娘、異形の怪物、大量の死体...美味しそうなワードのフルコース。それが本作『イン・アンド・アウト』。
なんとDVD化もしていない(っぽい)、かなりヤバ目な本作。でも、こーいうのが観たくなっちゃう。「アンタバカぁ!?」
(2015年 上映時間 1時間30分 監督 アルベルト・シアマ )
※あまりに適当過ぎるジャケ。観る気を起こさせない、こんな仕事しちゃイカンでしょ!!
ストーリー
刑務所を定年退職したローマンは、犯罪者たちを仲間に従い、身代金目的でマフィアの娘ニカを誘拐しようと屋敷に侵入した。
しかし、彼女を捕らえた直後、窓も扉も閉ざされ屋敷は脱出不能の要塞と化してしまう。
排水溝に異形の怪物、冷凍庫には大量の死体。ローマンたちはニカを問いただそうとするが、彼女は拘束を解き姿を消していた。彼らは、無事にこの屋敷から逃げ出せるのか?
感想
よくもまあ、ここまで好き勝手にヤり散らかしたもんだ。一言で言えば、そんな感想の本作。
ストーリーはかなり強引。『イン・アンド・アウト』(入って出るだけ)と言いながら、マフィアの娘を誘拐するあまりにリスキーな犯罪計画(フツーやらんだろ、こんなの)。
そして主人公チームは、良心の呵責がないマジな悪党ども。
自分で誘っておきながら、アッサリ仲間を撃ち殺すフザけたオッサン主人公ローマン。ソフトな顔つきのくせに、すぐキレて身動き取れない女性でもボッコボコに殴りつける、コンプライアンス違反の相棒など、普通の映画であれば悪役サイドで間違いナシ。体臭臭い女とかよくもまあ、こんな共感性の乏しい連中を揃えたものです。(とはいえ、映画自体はコミカルな味付けなので、そこまで嫌悪感は抱きません)。
映画自体はあきらかな低予算作品。(大金持ちの)マフィアの娘が住んでいるハズが、質素でせまっ苦しい邸内だったり、かなりバジェットに見合わない舞台設定の気がしますが、妙なとこで本作はリアル。
特に下水道のシーンは強烈。「クソまみれで臭くてたまらん!!」という描写を念入りにやってくれたりする場面は妙に新鮮。フツーそうなるよね...
怪物たちの元凶であるニカのトランスフォーム後は、最初はインパクト薄い気もしましたが、どことなく「デモンズ」や「シャイニング」の婆さんぽい感じがして、個人的には結構好きです♪
大事な終盤戦の場面で、悲しげな音楽と共にローマンが一人コントしたり、心地よい主題歌のなかラストに謎のボコりがあったりと、よく分からん展開が満載の本作。
ホラー映画のカテゴリーですが、コワがらせようという気は毛頭なし。本作監督はアルベルト・シアマという方ですが、脚本も兼任しており、この人が描きたかったのがこーいうブラックユーモアたっぷりの世界観だったんでしょう。
やりたいことをやり切った感がビンビンに伝わり、どこか清々しささえ感じます。
でも、コレ観るぐらいなら、他の映画を観た方がイイかも。
満足度 55点