俗に言うトラウマ映画。自分にとって『恐竜・怪鳥の伝説』はまさにそんな一本。
知っている人の方が珍しい、超マイナー国産特撮映画。公開当時、テレビマガジンやテレビランドなどの子供雑誌でも取り上げられ、幼少期の自分はよくある怪獣映画の一本として認識していました。しかし...
TV放送時に視聴した本作はまさに衝撃。
人は喰われ、鮮血まみれの死体が転がり、挙句の果てに何の救いもないバッドエンド!!
子供心にも、イヤなモノみちゃったと激しく後悔。こんな大きなお友達になった今でも、あのラストは鮮明に覚えているほど。
そんなトラウマ映画が、まさかあの『東映特撮ファンクラブ』にラインナップされていようとは。 これこそまさにDESTINY(運命)!!
本編が実際にどんな内容だったのか、ラストの自分の記憶は正しいのか。コイツは確かめずにはいられません!!
※ネタバレありです。ご注意ください。
(1977年公開 上映時間 1時間32分 監督 倉田 準二 )
ストーリー
1977年の夏、富士の青木ヶ原樹海で若い女性が発見されるが、巨大な卵を目撃した旨を伝え息絶える。
ユニバーサル・ストーン社の社員・芦沢(渡瀬恒彦)は、古生物学者だった父の研究のとおり、恐竜がいるかもしれないと直感し、富士へと向かう。
現地には、恋人である女性カメラマンの小佐野、その助手の園田がいた。富士五湖の近くでは怪現象が相次ぎ、ついには園田が何者かに下半身を食いちぎられるという事件が発生する。
感想
本作はあの伝説的映画『ジョーズ』(1975)に触発され、東映が制作した「動物系パニック映画」。いわゆる『グリズリー』『テンタクルズ』などのように、柳の下の二匹目のドジョウを狙った作品。
しかし、当初は海外公開も視野にしていたものの、結果は「恐ろしいほどの大コケ」(当時の東映社員談)。
古い映画にアレコレ言うのは、なんだか気が引けますが、今回観賞して思ったのは、
マトモなバイヤーであれば、まず買付しない酷い出来ということ。まさにC級~Z級。
緊張感のない、間延びしたストーリー展開。ダラダラ引っ張ったあげく、ようやく出てきた恐竜の圧倒的ハリボテ感。パニック映画のはずが、大半の演者が子供特撮番組のようなコメディ演技(「ロボコン」とか出てきそう)。人が襲われる映像にまったく嚙み合わない、ムダにカッコよすぎる音楽(渡瀬恒彦主演のハードボイルド映画としか思えません)etc..
※このショットはエラい迫力ありますが...
まさに「ダメよ〜ダメダメ」。なかでも、肝心かなめの特撮がショボいのは致命的!!
コレさえ押さえていれば、まだ「怪獣映画」として楽しめたかもしれませんが、クライマックスのプレシオサウルスVSランフォリンクスの迫力のなさといったら...バトル内容もまさに凡戦。
かと思えば、噛みちぎられた半身や、バラバラの血まみれ遺体が無造作に転がるグロさ(ここは当時の東映イズムといえるかも)。そして登場人物がほぼ全滅するという後味の悪さ。うーん、ヤバいです。
そして、肝心のラスト。これがなんとほぼ記憶通り!!
富士山が大爆発。主人公の芦沢は、割れた裂け目に落ちそうになる、ヒロイン小佐野を助けようと手を伸ばす。
しかし、周囲は崩れ、吹き上がる溶岩が流れ込む。主題歌が流れ始め、地獄絵図のなか、あたふたする二人の姿を延々に映し出す。
なんとか手をつかむ芦沢。そして唐突に「終」の文字...
裂け目から助けたところで、二人に待つのは絶対的死。主人公・ヒロインが死ぬなんて思いもしなかった幼少期。こんな残酷な最期、そりゃトラウマにもなるでしょう。
でも、不思議と妙に引き込まれるラストでもあるんですよね。
いい悪いは別として、いま観ても、この圧倒的バッドエンド感は本当に色褪せない。記憶に残り続けるラストって、そうそうあるもんじゃありませんし。
そこだけは評価してあげたい映画。以上!! (唐突に終了)
満足度 20点
トラウマ・ラスト 80点