ここは、名もなき傭兵達の戦場

 

硝煙漂う、荒廃した世界に相応しいキャッチコピー。シリーズ第14作『アーマード・コアV』(以下『ACV』)。

 

とはいえ、発売当時はいい印象がなかった本作。というのも、シリーズ初のオンラインプレイを前提とした結果、シングルプレイはペラペラっ内容に。

 

まあ、そのペーパーブックごとき軽さが、ロートル・レイブンのリハビリにピッタシと思ったワケですが...

 

新作『アーマードコア6』に向けての予行練習のつもりが、ハマリ過ぎて日常生活に支障をきたしつつある『ACV』。今回はストーリー中心に書き綴ってみたいと思います!!

 

※ネタバレあり。ご注意下さい。

 

 

(対応機種 PS3/Xbox360  発売日 2012年1月26日)

 

  ストーリー

 

遥か未来。世界は荒廃し、人々は僅かな生存可能地域に寄り集まっていた。なかでも「シティ」と呼ばれる大規模地域は、「代表」と呼ばれる人物により、独裁的な支配体制が布かれていた。

 

地下世界に追放された「代表」の側近だった男は、レジスタンス組織を結成。「代表」に対し反攻作戦を実行に移すが、クーデターは失敗。男も命を落とす。

 

一年後、レジスタンスは娘のフランがリーダーとなり、2度目の反攻作戦を起こすのだが...

 

 

  ストーリー感想

 

ぶっちゃけ、話の内容をほぼ覚えてなかった本作。実際、再プレイした感想はやはり薄味。

 

なにせ、たった10話でストーリーミッション完結オンラインプレイやる人ばかりじゃないので、発売当時の低評価は仕方ないですよね(自分も本作はシングルプレイのみ)。

 

とはいえ、ストーリーの見せ方はけっこうユニーク。

 

今回、新しいアカウントを作り、初めからプレイしたのですが、簡単なチュートリアル後のデモムービー。二人のお姉さん(フラン&ロザリィ)のイチャイチャ会話後、セーブ画面に移るかと思いきや、敵とおぼしきACがいきなりスナイパーキャノンを発射!!

 

輸送用ヘリを撃破され、戦場に放り出される自機AC。何の説明もなく、マトモに機体を動かせないこの状況。おいおい、これでどーしろっていうの!?

 

案の定、自機ACはOVERED WEAPONであっさり瞬殺。普通はコンティニューのはずが、いまの撃破がなかったかのように場面が変わり、ストーリーはそのまま継続。

 

実はこの冒頭の襲撃、第8話の裏切り者RDとのラストバトルの場面。時系列をいじくった、こーいう振り回され方。映画ぽくって個人的には好みです♪(再戦時はダブルライフル集中砲火でRDを完全撃破。「話が・・・違うっすよ・・・」「死にたく・・・無い・・・」)。

 

また第0話は、1年前のクーデター事件ですが、なんと主人公は本編とは真逆の「代表」側。これまた、リアルな傭兵稼業を体感させてくれるストーリー展開。

 

しかも、当時のレジスタンスリーダーを追い詰めたのは、ルーキー扱いの主人公。なんだか自分がキリコのように思えてきますが...(錯覚)

 

しかし、リーダーを殺したのは「主任」と呼ばれる男が駆る、重量二脚型AC「ハングドマン」。

 

 

 

「ハハハッ! みてたよルーキー(中略)。まっ、ちょうどいい腕かな。ゴミ虫の相手にはさ」

 

「ホントは好きじゃないんだ、こういうガチな勝負ってのは…オレのキャラじゃないしね」

 

「まあやるんなら本気でやろうか!そっちのほうが楽しいだろ!ハハハッ!!」

 

おちゃらけ口調ながら、その実力は超一級。ハイテンションでまくしたてる言動は、戦闘狂そのものですが、反面、冷静かつ深い知性も持ち合わせているのが、本作ライバルキャラの振り幅の広いところ。

 

その渋い声( CV:藤原啓治)、マッシブな機体も相まい、とにかくカッチョいい「焼け野原ひろし」。シリーズ屈指の人気キャラなのも当然です。

 

また本作にはオーダーミッションという、単発ミッションがありますが、これらは本編1年後という設定。

 

フランとロザリィ姉さん、主人公のその後の軌跡と考えれば、なかなか興味深いですが...ストーリーは単純・淡泊。ちょっと残念な出来でございます。

 

 

※紛れもない戦場。後半はドキュメント・アーマードコア。硝煙の臭いでむせる...

 

  結論

 

過去作と比べ、ストーリーラインの弱さは相当なもの。これはただ短いというだけではありません。

 

わずかな登場人物だけでまわす、単調で一本調子の物語(ナレーション「最後の戦い」ばっか)。実はAIが裏で人間管理してましたという、ACシリーズによくみられるオチも、そこに至るプロセスがいたって貧弱。エモーショナルに訴えるモノがないため、キャラの生きざま死にざまに心動かされることもなし...

 

少なくとも、主人公がレジスタンス側に加担する動機は欲しかったと思います(フランとの何らかのつながり、「代表」「企業」に復讐する個人的理由を示唆するものetc)。

 

というのも、本作は主人公が能動的(報酬や条件)にミッションを選ぶわけではないためオツムの悪いヤツが、フランたちにいいようにこき使われているようにも思えてくるんですね(「あなたなら出来るわピンクハート」「あなただけが頼りよピンクハート」→リップサービスのみで危険なミッションに単独特攻)。

 

ただ前述の通り、時系列をいじった話の組み立て方の面白さ、ライバル「主任」の魅力的なキャラ造形が、貧弱ストーリーをいくらか補完していたかとは思います。

 

次回は『アーマード・コアV』後編。ゲームシステム・プレイ感想などについて書いてみたいと思います!!

 

 

ストーリー満足度 50点

「主任」 100点