あの庵野秀明が『シン・仮面ライダー』を撮る!!
世間にも届くであろう、2022年に突如発表されたこのニュース。ただ個人的にはイマイチ、ピンとこなかったんですよね。
リブートは何でも「庵野」頼みか。東映のお偉いさんは「シン・」つけときゃいいって思ってんじゃねぇの?
生粋の仮面ライダーファンですが、そんなヒネた気持ちを持った自分。昭和ライダーから観ている世代ですが、平成ライダー1期はそれこそ「仮面ライダー」という枠組みに果敢に挑戦していた、屈指の名作揃い。
それをいまさらの昭和ライダ-。庵野監督がライダー好きなのは知ってましたが、そこにつけ込み、東映が「シン・ゴジラ」の成功に乗っかりたいだけじゃないのと思ったワケです。
とはいえ、上半期最大の話題作である本作。ライダーファンとしても、劇場に行かない選択肢はあり得ません。
ストーリー
秘密組織SHOCKERから脱走した本郷猛と緑川ルリ子。本郷はバッタオーグに変身し戦闘員を倒すと、二人は山中のセーフハウスに身を隠す。
しかし、追手のクモオーグが現れ、その場にいたルリ子の父・緑川弘は殺害。本郷は再び変身し、「仮面ライダー」を名乗りクモオーグを倒す。
そんな二人の前に、政府の男と情報機関の男が現れ、SHOCKER排除の協力を申し出るのだが...
感想
まずはポジティブ評価から。
①仮面ライダーのビジュアルの素晴らしさ!!
多少のリフレインはしているものの、あくまで原作に忠実なダブルライダー。この英断は大成功だと断言します。
この昔と変わらぬ造形だからこそ、その後のバイオレンス描写(人体破壊)、アップデートしまくりの怪人戦に胸躍ることができたのだと思います。クリーチャー化したビジュアル案もあったそうですが、それだと「仮面ライダー」じゃなくてイイじゃんってなりますからね。
ただ怪人デザインは個人的にイマイチ。TV初期の怪物的な禍々しさが好きなのに、スマートになり過ぎ。蜂女ハチオーグはエロさの欠片もなかったし(サソリオーグはよかった♪)
蜂女はやっぱこーでしょ
②魅力あふれる変身者
ここは意見が分かれるところだと思いますが、自分は好きでしたね、彼らが。
コミ障の本郷と勝気な才女ルリ子は、(年齢重ねた)シンジとアスカのようでしたし、二人のわちゃわちゃした場面はけっこう微笑ましくみられました。
あと皆さん大絶賛の一文字隼人。
本郷とは違い、TV本編を思わせるキャラ造形。軽口叩く、ちょっとヒネた熱血漢ぶりはメチャカッコよかったです♪
変身後、二人が「本郷 !」「一文字 !」と名前を呼び合うシーンは往年のダブルライダーを思い出し、ニンマリしちゃいましたね。
③超リアル思考ライダーアクション
仮面ライダーがスペック通りに戦ったら、実際どうなるのか。そんなIFを映像化したアクションの数々は超刺激的。
ちなみに、TV版旧1号の能力値はパンチ力/15.5トン、キック力/22.0トン、ジャンプ力/15.3メートル。
ボクシングのライトヘビー級のパンチ力は平均0.8トン。こんなとんでもない数値のライダーが四肢を振り回した、そのトンデモ破壊力は...
戦闘員の肉体はバラバラに破壊され、超高度でのライダーキックに怪人は絶命。叩きつけられたその衝撃に地面が揺れる!!
こんな凄まじいライダーアクション。これだけで劇場に行く価値アリだと思います。
次に残念、ネガティブ評価。
①ニセライダー大量発生型相変異バッタオーグ戦のショッパさ
TV本編では一番燃えた、ダブルライダー対ショッカーライダー戦。
カッコいいぜ、ショッカーライダーの諸君!!
そのオマージュというべき、この大事な終盤のバトル。本作でもMAX度の面白さでしかるべきなのに、これが暗くてなにやってんだかよく分からないんですよね。
しかも、どーみてもCGにしかみえず、ゲームのムービー観ている気分。ダブルライダーが本作で最高にカッコよく映える場面のハズなのに...ココだけは撮り直してもらいたい、マジで!!
②「プラーナ」の薄気味悪さ
本作では重要なファクターですが、何故にこんないかがわしいモノをブッ込むのか理解し難し。
生命エネルギーという概念ならわかります。ただ本編ではそれに加え、霊的なものとしても取り扱っている。
ハビダット世界に全世界の魂を集約させることが人類の幸福と考える、本作ラスボスのイチローの企み。こんな「ぼっちゼーレ」を「仮面ライダー」でやる意味あるんかい??(もう散々、やったでしょ)
しかし、その行く先は幸福どころか地獄のようだと言われる始末。重要キャラクターの魂も地縛霊のような扱いされるし。この何とも救いがたい世界観、映画終わってもスッキリ感無さすぎ!!
死後の自分がこんな扱いになるんだとしたら...絶望しかなくね?
結論
単純に大絶賛できる映画ではないですが、これは間違いなく誰も観たことがない仮面ライダー。個人的にはそれだけで大満足。
あの超高度ライダーキックの衝撃度は大スクリーンでこそ体感できるもの。本作は劇場に足を運ぶ価値がある、一級のジャンル映画に他ありません。
「仮面ライダー」へのリスペクト、そして溢れ出る愛が満ち満ちている、最強のファン・ムービー。
自分は完全に「是」です。
満足度 70点