本当に終わっちゃいましたね...ドンブラ。
かつての平成ライダー(1期)が持ち合わせていた、魅力的なキャラクターたちが日常に息づく世界観。そして彼らがクロスオーバーすることにより産まれる、エモーショナルな物語の数々。こんなステキな特撮ドラマを、まさか令和に観られるとは思っていませんでした。
これはメインライターの井上敏樹氏の類まれなる個性と実力はもちろんですが、それを信じて託したプロデューサー陣/白倉伸一郎氏たちの英断も大きかったのではないかと思います。
前回ブログに引き続き、戦隊シリーズはもちろん、特撮番組の大傑作となった本作「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」(以下ドンブラ)終盤戦について、あれこれ書いてみたいと思います。
感想(第43話~第49話)
終盤戦は楽しさは維持しつつ、けっこうエグイ話が多かった。そんな印象があります。
特にみほちゃんの孤独な最期、そしてジロウの周囲全てが幻だったという、あの驚愕のエピソード。もうたまらなくせつなかったです。
この両エピソードはOAが終わっても、ずーんと胸に重く残ってましたからね。みほちゃんは死ぬ前に雉野に会いたかったんだろうなと思うと、「うっ」とこみあげてくるものがありますし...
ジロウもあんな残酷なことってあるのかと。自分を応援してくれた友人たちすべてが幻、過去はすべて何もなかったなんて、こんな酷いことはない。その絶望感たるや、想像したくないほどです。
こんな気持ちになれたのは、どっぷり世界観にハマり、各々のキャラクターに感情移入できたからこそ。
だから、やっぱり人間ドラマなんだなと思います。特撮番組といえど、魅力的な話の根幹はそこにあると。
ソノニのエピソードも、またよかったですよね♪
当初は幹部怪人としかみえなかったソノニが、恋する乙女に転がり落ちていくサマは、オジサンもみていてキュンキュンしちゃいましたよ。犬塚のポイント使用回(第44話)は本当に美しい話でした。
とはいえ、数多くの謎は相変わらず不明。伏線回収どころがソノシ・ソノゴ・ソノロクの新キャラ投入。マスター/五色田介人、ムラサメのマザーなど、視聴者が知りたい重要ポイントもことごとく放置プレイ。
※ソノシ・ソノゴ・ソノロク これまたキャラ立ってるお三方
しかも、49話にまたも新キャラ、ソノナ・ソノヤ(なんと草加こと村上幸平氏!!)追加参入。まだまだ語って欲しいこと、観たいエピソードはテンコ盛りなのにどーするつもり!?
感想(第50話/最終回)
戦隊シリーズの最終回。
世界最後の脅威が迫り、敵ボスと最終対決。謎は解き明かされ、演者による顔出し変身。そしてその後のエピソードが短く語られ大団円。概ね、こんなフォーマットじゃないかと思います。
予想はしていましたが、ほとんどその枠組みから外れた本作最終回。世界の終わりの欠片もなく、俯瞰してみれば小さな小さなエビソードで終わったドンブラ。
しかし、これほどまでに胸を打つ最終回。ホント、たまりませんでした。
それこそ全てのキャラクターが愛せた本作ですが、個人的なキーマンはやはり主人公の桃井タロウだったかと思います。
誰に対しても慇懃無礼、何でもできるパーフェクトヒューマン。初見はフツーにイヤなヤツでしょう。実際、仲間をお供扱いですからね。
そんな彼が徐々に人間味を増し、周囲とともに成長する。そして周囲も彼の真っ直ぐすぎる純粋さ、優しさに気付き、彼を慕っていく。
ドンブラの中心にあり続けるタロウ。彼がリアルに思え、実存している人間に感じ得たからこそ、本作はこれほどまでに求心力があったのではないかと考えます。(演じた樋口幸平氏。大きな感情表現ができないタロウは難役だったかと思いますが、まさに彼そのものとしか思えない演技。本当に素晴らしかったです!!)
初めて手にした仲間の絆。タロウにとって、これ以上ない尊いものだったに違いないはず。
それが最終回にして、これまでの記憶が消えてしまうエピソード。なんとせつない話を最後に持ってくるのか!!
タロウは悲観にくれたりするキャラではないですが、それに気づいてからの彼は仲間一人一人の想い出を噛みしめるかのような行動を取ります。
盟友ソノイにだけ打ち明け、彼にフォローしてもらいながら、仲間に最後の言葉をかけようとするタロウ。しかし、そんなソノイまでタロウは忘れてしまう。
絶望するソノイ。だが、彼はタロウを思いやり、すぐに他人行儀を演じる。
もう涙腺崩壊ですよ、こんなもの観せられたら...
「夢の続きを見ませんか?」の夏美と雉野。
逃避行カップルの翼とソノニ。
悲しいだけでなく、よかったねと思えるエピソードもあり、せつなさと優しさに満ち溢れた最終回。
ラスト、宅配の場面。記憶を忘れたタロウとはるかのとびきりの笑顔。
「えんができたな」
最上級のエンディング。大号泣でした(謎はもういいや)。
満足度 100点