みなさんご存知、スシローペロペロ少年。
軽率な行為が自分や身内にもたらす、最悪の未来。爪アカぐらいの想像力でも予見できそうなものですが、そーいう方々は多分なくならないでしょう。
バズりたい。 多くの人々から注目を集めたい。
手段を誤れば、人気が出るどころか人生\(^o^)/オワタ。誰もが持つ承認欲求の恐ろしさよ。
そんなイマドキSNS中毒を題材にした本作『スプリー』。胸クソさ全開です!!
(2020年 上映時間 1時間32分 監督 ユージーン・コトリャレンコ)
ストーリー
ライドシェアドライバーのカート・カンクルはフォロワーを増やしたい一心で、乗客を殺害し、その様子をライブストリーミングにて配信を始める。
しかし、カートの思惑とは違い、SNSをバズることなく、ネガティブな反応ばかり。
散々な反応に激高するカートは、拡散させないインフルエンサーのボビー、有名コメディアンであるジェシーに怒りの矛先を向けていく。
感想
バズリたいため、殺人ライブ動画を投稿する。
思いつきそうなアイディアではありますが、実際に映像化すると話は別。ストレートな撮り方だと、十把ひとからげの凡庸なスリラー/ホラー映画にいたってもおかしくありません。
本作はその辺りの塩梅が秀逸。車内の複数カメラ(配信のために取りつけ)、スマホ、監視カメラなどの映像をつぎはぎ編集したという設定で(そこそこの)リアルさを担保。結果として劇映画っぽくならず、かつ見やすい仕上がりになっています。
とはいえ、一定のリアリティをクリアしたがゆえの主人公カートの実存感といったらもう...
ウケるためなら後先考えない、脳ミソにウジ湧いているサイコ動画配信ヤローが今そこにいる!!(ジョー・キーリーの演技、リアルすぎ。素晴らしい)
連続殺人鬼の映画は、相手によってアンモラルな爽快感もあったりしますが(ルール無用のナメた若者、イケイケのビッチギャルetc)、本作にそんなカタルシスは皆無。ただただ不快、不愉快。
個人的には、そこに監督のこだわり、テーマを感じたりします。
承認要求の行きつく先の狂気の沙汰。爽快感はもちろん、こんな下らんことで人を殺める輩に共感、哀れみは必要なし。100%の邪悪、許されない蛮行なのですから。
とはいえ、奇をてらった映画ではなく、カートと相対時するコメディアンの女性を用意し、オーソドックス的なストーリー展開もあるので、キチンと一通り楽しませてくれるスリラー映画です。
まあ正直、再見しようとは思いませんが(不愉快さが濃厚で...)、コンセプトは非常に好感が持てた本作。
ただ、カート・カンクルの名前はフザケすぎ(監督はファンなのか?)
満足度 55点