ある日突然、大人達が一斉に子供を殺し始める…
このプロットを聞くと、永井豪のマンガ『ススムちゃん大ショック』を思い浮かべる方(もちろん中年以上)は多いのではないでしょうか。
自分は中学時代に友達の家で読んだのですが、今でも鮮明にその時のショックを覚えています。内容はもちろん、あのラストはエグかった!!
ホラー映画でも、意外とみないこの「子殺し」ネタを、ガッツリ映像化したのが本作『マッド・ダディ』。
主演は「相変わらず仕事を選ばない男」ならぬ「心底ジャンル映画を分かっている漢」ニコラス・ケイジ。
そんな彼が「ここ十数年の出演作の中で、一番気に入ってる作品」なんて言えば、もう観るしかないでしょう。イヤーッ!!
(2018年公開 上映時間 1時間25分 監督 ブライアン・テイラー)
ストーリー
いつもと変わらぬ朝を迎えた、ブレント(ニコラス・ケイジ)たち家族。
しかしその日、世界各地で大人達が一斉に自分たちの子供を殺し始める。
ブレントそして妻のケンダルも、正体不明の殺意に突き動かされ、愛すべき子供であるカーリーとジョシュを殺そうとする。
感想
とどのつまりは、ブレント一家による小さな小さなお話なのですが...
一日だけという限定した時間設定によるメリハリ。世界の終末観を漂わせる、アポカリプス映画としてのスケール感。そして、回想シーンがジャマにならない、緩急をつけた快適なテンポ。娯楽映画としての満足度が非常に高かった本作。
なにより驚きなのは、二人の子供ではなく、殺そうとするブレントたちに感情移入してしまう特異な構成。
かつてはイケてたオレたちが、もうただのパパとママだよ。こんなハズじゃなかった...
家庭を持つものが、一度は感じるであろう心の嘆き。コイツがビッシビシと伝わり、彼らへの共感が止まりません!! (自分は未婚ですけど (*ノω・*)テヘ)
また本来はファイナル・ガール的存在の、クソガキたちの描き方も見事。
親を無視し、お金をくすねるビッチのカーリー。ちょろちょろとうるさい上、ホンモノの拳銃でポーズキメまくる、ブリーフ一丁のジョシュ。ほどよい塩梅でカチンとさせてくれるので「マジでぶっ殺してくんねーかな」と罪悪感ナシに思わせてくれます♪
とはいえ、ホラー映画としての残酷度はかなり薄味。個人的には物足りませんが、「子殺し」というアンモラルな題材から考えるとここは致し方ない気もします。
ただあのラストのぶつ切り感。あれはちょっといただけない。あそこは「逃げたな」と思いましたね、正直。
とはいえ、ノリノリのニコラスの怪演含め、全体的には非常に楽しめた本作『マッド・ダディ』。音楽もサイコー。良作でした!!
予告編はみるべからず。一番、美味しいトコ映すなよな(怒)。
満足度 65点