夜勤明け。アクティブなことを何もしたくない精神と肉体。
何かサクっとみられるものはないかと、アホみたいにプライムサーチしたところ、目に入ったのが本作『シグナル100』。
いわゆるデスゲーム系の邦画。2020年公開と新しめですが、ぶっちゃけ存在すら知らなかった本作品。
主演はあのカワイイおっさんこと橋本 環奈。疲れ切った本物のオッサンを、本作はキチンと楽しませてくれるのでしょうか??
(2020年公開 上映時間 1時間28分 監督 竹葉 リサ)
ストーリー
学園祭の準備で慌ただしい日々を送る聖新学園高校3年C組の生徒たち。
そんななか、担任教師・下部(しもべ)に樫村怜奈ら36人は、不気味な映像を見せられる。それは「自殺催眠」の暗示だった。
催眠発動のシグナルは、全部で100種類。死の暗示を解く方法はクラスメイトの死のみ。生き残りをかけた壮絶なデスゲームが始まる。
感想
引き算がしっかりした作品。個人的にはそんな印象。
ド田舎の高校なのに、妙に垢ぬけ。しかも微妙に老けている学生たち。
初々しさの欠片もない、こんな似非高校生の日常ドラマなんぞみたくねぇなと思いきや、なんと開始早々10分も経たない内にデスゲーム開始!!
次々と自ら命を絶つ学生。阿鼻叫喚のクラスに登場する、サイコパス教師の下部。
なんとも見事なスタートダッシュを決めてくれた本作。そこそこ中だるみもありましたが、快調なテンポで、ホラー映画ベストタイム90分で収めてくれたのは非常にウレシイ♪
これが2時間マッタリやられたら、とても耐えられなかったでしょう。というのも、本作のこの「シグナル」は絵空事過ぎる、まことに雑な設定。
DVDの映像をサラッと流すだけで、100種類ものメチャクチャ細かい催眠発動のトリガー(シグナル)を植え付けるって...さすがにそれ無ぇだろ!!
催眠にかかりやすいならまだ道理が通りますが、こんな細々した発動条件を一瞬で学生に植え付けるとは、あまりにも非論理的。まさに邦画ならでは(マンガ原作ですが)。
とはいえ、そこは監督もわかっていたのでしょう。観客がシラケる前にどんどん話を前に進ませ、早々に幕引きさせる。これは正しい方向性だったかと思います。
ただその死に方がなんとも...窓からの飛び降りはリアリティがありましたが、あとはなんとも羽毛のような軽さ。
とにかく即死。舌や手首を噛み切っても即死。なんでもかんでも即死。
本来は出血多量で死に至る行為も、コロッとすぐ死ぬ。死に対する重みがなんとも薄っぺらく、ただのゲームオーバーにしかみえないんですよね。
ただ、これはデスゲームというジャンルのティーンエージャー向け作品。かつての「13日の金曜日」シリーズみたいに、ホラーを普段あまり観ない若い子たちが、カップルやグループでキャッキャッと楽しめる映画と考えれば、これが意外と最適解なのかもしれません。
傑作をつくろうとする気はないでしょう。そこそこ楽しめればいい、非常に割り切った娯楽映画。まさにポップコーンムービー。
ですが、自分の本来表現したいことを抑え、気軽に観れるB級作品をキッチリつくりあげた職人気質には、個人的に好感が持てました。
ただあのラストは微妙。
満足度 55点