ジェイソン・ステイサムは好きな俳優のつもりでしたが、彼の主演映画って意外と観てないんですよね。
ざっと上げても「トランスポーター」「エクスペンダブルズ」シリーズ。それに『MEG ザ・モンスター』『アドレナリン』ぐらい。
そのせいか、彼の映画界における立ち位置とか未だよくわからず。ドルフ・ラングレンよりマシな映画に出ている程度の薄っぺらな認識。
本作『キャッシュトラック』は予告編程度で予備知識はほぼ0。ステイサムが無双する、よくある脳筋アクション・ムービーのつもりで見始めたのですが...
これが超一級品のクライム・アクション・スリラー映画。ステイサム主演というミスリードのお陰でいい意味でビックリ!!(失礼!?)。
(2021年公開 上映時間 1時間59分 監督 ガイ・リッチー)
ストーリー
現金輸送専門の警備会社フォルティコ・セキュリティ社でキャッシュトラック(現金輸送車)の警備員として採用された「H」ことパトリック・ヒル。
採用試験はギリギリ合格のレべルだったHだが、トラックを襲った強盗相手に高い戦闘スキルで撃退し、周囲は驚愕する。
しかし、再び強盗に遭遇した際、Hの顔を見た襲撃犯たちが金も奪わずに逃走。周囲がHの正体に疑念を抱く中、大金が集まる機会を狙った強奪計画が進んでいた。
感想
冒頭、現金輸送車の襲撃シーン。後部座席からみた車内のみの映像は、まるでPOV映画のような生々しさ。
明らかにただのエンタメ映画とは思えぬ、異様なスタート。重々しい音楽からのタイトルロール。「やべぇ、スゲー面白そうじゃん!」
そんな勝手な期待を裏切らなかった本作は、タイクツ無縁のまさに傑作。
ストーリー展開、登場人物の行動、時間軸、リアリティ感が必要なアクション場面etc。全てにおいてノンストレス。脚本も手掛けたガイ・リッチー監督。メチャメチャデキる男じゃないですか(マドンナの元ダンナというプライベートにもビックリ)‼︎
前半はステイサム演じる謎の男「H」の静かな凄みの独壇場(常に冷静、囁くようなしゃべり方はまさに真のツワモノ感)。
値踏みする同僚たちのなか、襲撃した強盗たちを並外れた戦闘力/ワンショットキルでバッタバッタと撃退。一躍ヒーローとなった彼が賞賛の嵐に包まれる場面なんてかなりアガリます♪
そんな「H」は何者なのか。警備会社に入って何を画策しているのか。映画の後半でそれらの謎が判明されるかと思いきや...なんと中盤にすべてが明らかになるという予想外の展開!!
その上、後半はどちらかといえば襲撃犯パートがメイン。しかも、ただの悪役ではなく、まるで彼らに感情移入させられるかのような描き方。
「これってステイサム主役の映画じゃないの!? あれ...あれあれ!?」
映画後半はまさに一攫千金のクライムアクション。緊迫感が支配する大銃撃戦。「H」ですら無双は出来ず、次々と退場する登場人物。裏切りに次ぐ裏切り。そして怒涛の展開からの衝撃ラスト。いや~面白かった!!
これぞ映画。大人の娯楽映画です。
満足度 75点