『007/スペクター』。この題名をみたときには本当にシビレました!!
子供時代にみた007の宿敵といえば「スペクター」。当時の自分にとって「ショッカー」と並ぶ悪の一大メジャー組織といって過言ではありません。
しかし、いつの頃から「スペクター」が出ない007映画が当たり前の状態に。社会情勢や時代の変化、リアリティさを担保するための理由かと思ってましたが、実際は別モノ。
これはボンド映画の脚本を手がけていたケヴィン・マクローリーとの権利トラブルで使えなくなったというのが真相。あのプロフェルドのあっけない最期(『007 ユア・アイズ・オンリー』)にはそんな事情が反映されていたようです。
翻って、本作はそんなスペクター権利問題をついにクリアー。007シリーズ第24作目『007/スペクター』にて、44年ぶりに悪の秘密結社復活と相成ったワケですが...
これがビックリするほどの肩透かし。まさかまさかの残念映画だったのです。
※何だかディスった感じの感想になってしまいました。ご容赦ください
(2015年公開 上映時間 2時間28分 監督 サム・メンデス)
ストーリー
メキシコでの休暇中に起こした騒動により、ボンドはMから謹慎命令を下される。
マネーペニーやQの協力を得てローマに向かったボンドは、強大な悪の組織「スペクター」の存在を突き止める。
その頃、ロンドンではMI5のトップ、マックス・デンビーが00部門を停止させ、Mが率いるMI6をMI5に吸収させることを画策していた...
感想
冒頭、ボンドの華麗なビル渡りからの狙撃、建物倒壊。そしてヘリコプターでの一大スペクタルアクションという、最高のスタートで幕を上げる本作。
独自で調査を進めていたボンドは、ローマで謎の組織の秘密会議に潜入。緊張感漂う会議の最中、唐突に処刑される組織の男(しかも眼球抉られという陰惨さ!!)。
相当危険な雰囲気のなか、身を潜めているボンド。周囲は100%敵組織の人間たち。バレたら絶対ヤバイ状態。
「ようこそジェームズ」
突然、彼の名前を呼ぶ組織の首領。ボンドの顔色が一瞬にして変わる。
劇場で思わず「ざわざわ」としたシーン。総毛立つとはこのことです!!
国際秘密組織「スペクター」、首領ブロフェルドの鮮烈な初登場。続いて始まる凄まじいカーチェイス。
まさに文句の出ようがない最強のオモシロ展開。コレはどこまでイっちゃうのか。初見時は期待に胸膨らませたものですが...
残念ながら面白かったのはココまで。そんな過剰な期待は、映画が進むごとに失望に変わってしまいます。
とにかく肝心かなめのプロフェルドの設定がムゴい!!
ボンドが幼少期を共に過ごした義兄って、なんだよオイってことですよ。
ワールドワイドな世界感が、このクソ設定で一気に矮小化。何故にこんなにこじんまりする必要があったのか。
しかも、プロフェルドの思惑で1~3作目の事件はボンドを苦しめるためとか、もうまったくもってナンセンス。後付け感ハンパなく、コイツが口を開くたびにマジでシラケまくりです。
だいたい、ただの一般人の彼が、スペクターの首領にまで上り詰めるストーリーがまったく持って浮かばない。というか、謎の人物に収めなきゃいかんキャラクターでしょ、実際。
これに加えてボンドのあまりの無双ぶり。
行き当たりばったりで、スペクターの本拠地に乗り込むのはまだヨシとしても、多数の衛兵を小銃一つで蹴散らした上に、なんだかわからんポンプに一発撃ったら基地ドッカーン敵全滅ってもう何がなんだか...
高所から飛び降るとなぜかネットがあるだの、ハンドガンであっさりヘリコプター撃ち落とすだの「いいの、これで!?」という場面が続出。
しかし、これは明らかに確信犯。さくさくっとやっつけ、バシっと決めるボンドの姿から「いいんです。今回の007はこーいう映画なんです」という製作者側の声が聞こえてきそうです。
ただ中盤の中だるみ、引っ張ったあげくの安易な無双、そしてスペクターの凄みがほとんど感じられない後半戦。本作のスーパースパイ路線は個人的に失敗だったと思います。
とはいえ、ボンドガールのマドレーヌ(レア・セドゥ)は可愛いし、ダニエル・ボンドは相変わらずのキレキレっぷり。MやQたちの活躍もウレシイし、アクションはバッチリ、緊張感ある音楽もカッコよい本作品。決して楽しめない作品ではありません。
ただ本作を端的に評するのであれば...週刊マンガが連載中止になったので、強引に風呂敷たたんで話を終わらせたような作品です(個人的に)。
主題歌
主題歌「Writing's on the Wall」はイギリスの男性シンガー、サム・スミスが起用されています。
悲壮感漂わせてる曲調、歌声が個人的にちょっとイマイチ。本作は前作みたいにボンドが悲しむ場面もありませんしね。
正直、そんなに好きな主題歌ではないです。
満足度 55点
主題歌 50点