東映特撮の二大巨頭「仮面ライダー」「スーパー戦隊」。
どちらも未だリアタイで追いかけている、特撮ファンの端くれですが、個人的にはまったく別の世界観であるべき作品だと思っています。
現実社会にある程度フィットさせる必要がある「仮面ライダー」。世界観をまるこど構築、異世界と一体化まで出来てしまう(キカイノイド、ジューマンetc)「スーパー戦隊」。話の振り幅が自ずと違ってきます。
両作品のクロスオーバーは劇画と少年マンガ、絵柄が違うものを一緒のコマに登場させるようなもの。正直、違和感は禁じません(どちらが上かということではナシ)。
東映もそこは分かってるようでしたが(プロデューサーの白倉氏は戦隊とライダーは「混ぜるな危険」という認識があったとか)、いい企画がみつからず作られちゃったのが、コラボ最新作『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』。
予想通り、ごった煮作品に終わってしまった本作映画感想を報告したいと思います。
(2021年公開 上映時間 1時間15分 監督 田﨑 竜太)
ストーリー
仮面ライダーセイバー/神山飛羽真たちが「機界戦隊ゼンカイジャー」の世界へ、ゼンカイザー/五色田介人らが「仮面ライダーセイバー」の世界へ迷い込んでしまう。
この異常は、禁断の地アガスティアベースで保管されていた禁書『スーパー戦隊の書』『仮面ライダーの書』を衛士アスモデウスが封印を解いたことにより、現実と物語の境界が曖昧になってしまったためであった。
飛羽真と介人たちは、元の世界に戻すべく行動するが、戦いの最中にヒーローの絵を描く謎の少年、章太郎に出会う。
感想
本作はメタフィクション(架空の出来事であるフィクションをフィクションとして扱うこと)を主軸にしたストーリー展開。
話の鍵を握る少年が「章太郎」なので、おおよそ予想がつきますが、そこは上手くまとまっているのではないかと思います。
ただ、まあそれだけなんですよね。本作って。
仮面ライダー、スーパーヒーロー戦隊が一同に結集するというにも関わらず、相対する敵側があまりに空虚、空気。
敵ボスのアスモデウスは威厳はない、強くない、デザインも雑魚。その上、何がやりたいのかもわからない。まったくもって魅力なし。
さらに脇を固めるはずのニ怪人(戦隊メギド・ライダーワルドだそうです)も、存在感皆無の弱小キャラ。他の怪人に至ってはほぼ戦闘員。
ライダー・戦隊の根本的な魅力って、やはりバトルでしょう。ドラゴンボールの映画で敵がザコだったら、それ面白いのかという話ですよ!!
メタ的な話はキライではありません。過去作『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』なんて超胸アツでしたしね。
ところが本作はストーリーを追っかけるだけで精一杯。最後の集団バトルなんて、ヒーローの着ぐるみがたくさん出ているだけ。何の感情も湧きません。
それでも、前半は話がどう転がっていくか楽しめた部分はありますし、ジオウの魔王ぶりが本編より魅力的(ライダーの召喚が鮮やか!!)等、時間のムダというワケではなかったです。
ただ、もう後半はただの消化試合。正直、こんなんだったらとっとと終わってくれと思ったのもまた事実。
コレは作り手責めるより、企画した輩の責任。とても及第点は出せない映画でした。
最後の大激突。ライダー・戦隊の方が人数多いって...。そういうトコこそ、ケチらずCG使えって話。
満足度 35点