『悪魔のいけにえ(1974)』を初めて観た時の衝撃。それはもう凄まじいものでした。
もう30年以上前。いまは亡き渋谷パンテオンで開催されたホラー映画の深夜イベントがあり、都内に遊びに来ていた地方高校生の自分は『ゾンビ』(TV深夜放送で視聴済み)観たさに来場。
とにかくムチャクチャ盛り上がっていたイベントで、ホラー映画ファンたちの熱気にいたく感激したものです。当日は確か4本が上映されたのかな(ここは曖昧)。
そこで『ゾンビ』と共に上映された一本がこの『悪魔のいけにえ』。
驚くべきことに当時のワタクシ、この作品の情報についてなんと0%。
何ということでしょう。
内容を全く知らない高校生が、深夜の劇場でこの伝説級作品を観てしまった。
情報過多の2022年では決して味わえない、トンデモなく素晴らしい体験をしちゃったワケですよ!!
その衝撃たるやいかほどの物か。分かる人には分かっていただけるかと思います。
翻って本作『レザーフェイス―悪魔のいけにえ』。
本家と間違いそうなややこしい題名ですが、原題は 『Leatherface』。数多の続編、リメイクのなか、比較的新しい作品です。
レザーフェイスの幼少期から青年期のエピソードという、なんだかピンとこない前日譚。ハズレ感は漂っていたのですが、プライム終了間際ということで思い切って視聴。
結果は「あーあ。やっぱり」。ため息交じりの残念作品となっておりました。
※本作は若干ネタバレありの映画感想なっております。ご注意下さい。
(2017年公開 上映時間/1時間30分 監督/ジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロ)
ストーリー
ソーヤー家の三男ジェドは、5歳の誕生日にチェーンソーをプレゼントされるが、農場で少女の変死体が見つかり彼は青少年更生施設へ送られる。
10年後、更生施設で暴動が発生し、ジェド達は看護師を誘拐して施設を脱走。
ソーヤー農場で殺された少女の父、ハートマン保安官は、逃走中のジェドたちを執拗に追跡するのだが..
感想
冒頭、主人公ジェドを祝う、ソーヤー家のイカれた家族たち。
彼等の狂気ぶりを見せつけるシーンなのでしょうが、とにかくワイワイガヤガヤ。マンガっぽいというか、何ともまあワザとらしい!
本作のソーヤ家の皆さんは、あまりにカテゴライズされた「狂気の一家ぽい人たち」。原点の『悪魔のいけにえ』の持つ圧倒的ホンモノ感とはあまりに別物。
「そこと比べたらイカンだろ!」と言われるかもしれませんが、本作は伝説の作品の前日談として作られた作品。ハードル上がるのは仕方ないかと。
ストーリー展開も雑というかあまりに唐突。赴任した当日に、ヒロインの看護師が暴動に巻き込まれ誘拐なんて、ちょっとついていけません。
しかも、映画全体のスラッシャー的存在は暴走カップルと復讐保安官がメイン。「オレ、何の映画観てんだろ」という萎えた気持ちにさせられます。
そして本作、最大の問題点ですが...
「コイツがレザーフェイスだったの!?」というオチの酷さ。
本来の設定を完全無視の上、どーみてもオマエじゃない感満載の低身長。いったいライオンズゲートは何をつくりたかったのでしょうか??
スプラッター表現や古びた感のある映像など、ホラー映画としての雰囲気は悪くないのですが、とにかくストーリー、脚本がマジ最悪。これでは誰が撮ってもクソ映画になるだけしょう。
マジメに撮っている分だけ、バカッぽさもなく愛しようがない本作品。『悪魔のいけにえ』名乗る資格なし!
製作総指揮にトビー・フーパーの名前がありますが、名前貸しただけと思います。
満足度 20点