昔のプロレスで、まだ見ぬ強豪っていましたよね。
YouTubeはおろかインターネットも無い時代。得られる情報は僅かな写真や雑誌記事だけ。
前評判通り、素晴らしい選手もいましたが、なかには見掛け倒し、ショッパイレスラーも相当数いて、ガッカリさせられたことが多々ありました。
本作『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』は、正にそんな感じのホラー映画。
「イーライ・ロス制作×『クワイエット・プレイス』脚本家コンビ。ホラー界最恐タッグが放つ《生存率0%》のアトラクション・ホラー」
こんな感じで煽られれば、期待するのも至極当然。予告編も面白そうですし、パッケージのピエロもイカしてます。
しかし、これがオースティン・アイドル、トニー・アトラス並みの食わせ者だったワケでして...
(2019年公開 上映時間/1時間32分 監督/スコット・ベック、ブライアン・ウッズ)
ストーリー
ハロウィンの夜、ハーパー(ケイティ・スティーヴンス)たち6人の大学生は郊外のお化け屋敷に繰り出す。
入場した彼等は、残酷なショーに困惑するが、やがてピエロやゾンビのマスクを被った殺人鬼たちが彼等自身に襲いかかってくる。
仲間が次々と殺され、窮地に追い込まれるハーパー。このお化け屋敷から生きて帰ることができるのか。
感想
お化け屋敷の演者が殺人鬼という、何とも分かりやすく魅力的な設定。
暗く閉鎖的な空間のなか、オノだのチェーンソーを持ったイカレた連中に追いかけ回される圧倒的な恐怖。捕まって、とんでもない拷問を受けるが、それは作り物と思われ誰にも助けてもらえない絶望感。
こんな感じのシチュエーション。けっこうな恐怖、おぞましさは保証されていると思うのですが...
翻って本作。なぜかこんな当たり前のことが出来ておりません。
冒頭、掴みのスラッシャー場面もなく、前半は肝試し感覚でお化け屋敷にキャキャする主人公グルーブのお話。中盤から恐怖をバクハツさせるためのタメだと思っていたのですが...
これがまったくバクハツせず。まるで線香花火。
主人公側、殺人鬼側双方にホラー映画ならではの切迫感、緊張感がまるで感じられません。
特に殺人鬼側は、犠牲者たちを施設に閉じ込め、罠も張り、圧倒的に有利なポジション。にもかかわらず、やることなすことホントにマッタリ。このまま夜が明けちゃうんじゃないかのダラダラぶり。
しかも、味方の振りして主人公側に取り入ろうとする必然性皆無のクソシナリオ。恐怖感もダダ下がりです。
スラッシャー場面にしてもホントあっさり。
コロっと死ぬし、釘を踏みつけても次の場面ではノーダメージ。とにかくリアリティが感じずらい。
また編集が悪いのか、主人公たちの反撃シーンのテンポも悪く、これまでのうっ憤を晴らす爽快感も薄味です。
同様な設定のホラー映画『ヘルアトラクション(2017)』。最初からオチがバレバレで、及第点スレスレ映画と思ってましたが、本作と比べればとんでもなく面白かったと思えるほど。
マジメに作っている気はしますが、見掛け倒しのガッカリホラー。イーライ・ロスはちゃんと試写みたのでしょうか。
満足度 30点