人間狩り/マンハント映画は、意外と目にするジャンルです。
組織的、異常者、町ぐるみ等と狩る側は様々ですが、大抵は主人公が巻き込まれ、狩られる側として逃げ回るハメになります。
もちろん主人公があっさり殺られるワケはなく、何らかのスキルによって逆襲に転じる、または脱出方法を探し出すべく奮闘することになります。
キラいな内容ではないですが、展開が予想しやすいためか、何気に観ていないのがこのジャンル。アマプラだけでもかなりの本数なんですけどね(とはいえ『ザ・ハント(2020)』みたいな大傑作があるので侮れ難し)。
本作はタフガイっぽい主人公が、調子に乗った町の住人どもに逆襲する痛快さを期待してチョイスしたのですが...
そんな予想とはかなり違っていた本作『ハンティング・ナンバー1』。映画感想イッテみたいと思います。
(2018年公開 上映時間/1時間31分 監督/ジョー・ディエッチ、ルーイ・ギブソン )
ストーリー
アルコール中毒のウォーレンはアメリカとメキシコの国境沿いにある、荒れ果てた町に辿り着く。
ひと気のないその町では、伝統的な狩猟祭が毎年開催されていたが、獲物になるのは動物ではなく人間。
町ぐるみのデスゲームに放り込まれたウォーレンは、他の4人の男たちと共に荒野を逃げ惑う。
次々に惨殺されていく男たち。兵役時代に身につけたサバイバル術を駆使し、ウォーレンは逆襲に転じる。
感想
主人公のウォーレン。ぱっと見、若いころのカート・ラッセルを思わせ、タフガイ感満載です。
しかし、これがかなりのダメ男。
アルコールで完全に生活が破城していますが、娘に会うための金が必要となると、ただの灰をドラッグと偽って、売人に売ろうとする短絡ぶり!
もちろんあっさり売人に見破られ、腰砕けで逃げるサマはタフガイどころか、映画序盤で殺されてもおかしくないザコ風情。しかも、アルコール中毒は重大な病気そのもののレベル。酩酊気分どころではありません。
手が震え、周りの状況もぼんやりとし、幻覚までみえてきます。映画はこんなウォーレン目線で進みますので、観ているこちらがクラクラしてしまいます。
「オレをハメた、舐め腐ったこの町の住民に鉄槌を振り下ろしてやる!」みたいな期待とは裏腹に、世話してくれた人の家の薬をかすめ取ったりと、なんとも小物っぷりを発揮するウォーレン。やれやれだぜ。
映画全体としては、サバイバルアクションというより、ホラー寄りのテイストです。
追う側も、町全体の人間が各々の武器を持って追いまわすのではなく、代表者選抜で行われるのでこれまた拍子抜けの展開。
こんな感じで、予想しやすいマンハント映画と思いきや、けっこうな変化球が紛れ込んでいたのが本作。
とはいえ、ダメ男のウォーレンは諦めないハートだけは持ち合わせているため、彼の奮戦ぶりに「とっとと死んじゃえよ」という気分にさせてくれないのが救い。
ラストもかなり強烈。さらっと記憶から抜け落ちる、通り一遍の映画には陥っていません。
ムチャクチャ面白かったワケではないですが、きちんと最後まで楽しめる映画ではありました。
あんな火炎攻撃で死ぬんなら、ミスターポーゴは大量殺人者になっていたのでは?
満足度 50点