個人的には唐突に劇場公開されていた感がある本作『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』。
よくあるOVAの期間限定上映かと思っていたのですが、上映時間はなんと1時間48分。ホンマモノの劇場用新作ではないですか!?
ガンダムファン端くれの自分であれば、喜び勇んで観に行きそうなものですが、結局、二の足を踏むことに。
というのは「ククルスドアンの島」のストーリー自体に、魅力を感じなかったんですよね。
ざっくりとした内容と作画崩壊の件は知ってましたが、本筋ではなく箸休めのエピソード回です。
そんな見送ってしまった本作が、早くもアマプラ追加ということで今回視聴したところ...
「観に行かなくてよかった!!」という結論に。
今回は飲み屋での愚痴のような感想。お読みいただければ幸いです。
※若干のネタバレ含みます。ご注意下さい。
(2022年公開 上映時間 1時間48分 監督 安彦 良和)
ストーリー
地球連邦軍はジャブローでの防衛戦に続き、ジオン地球進攻軍本拠地のオデッサ攻略に乗り出そうとしていた。
補給を受けるためベルファウストを経由することになったホワイトベースに、無人島・アレグランサ島での残敵掃討任務が命じられる。
アムロ・レイたちモビルスーツ隊は調査を始めるが、そこにいるはずのない子供たちと1機のザクに遭遇する。アムロは戦闘中にガンダムを失い、そしてククルス・ドアンという男に出会う。
感想
本当にもったいない。もったいなさすぎる本作。
現代の作画、最新の技術でファーストガンダムを劇場用映画として制作・公開できる最後のチャンス(多分)。そして、いまの若者に「機動戦士ガンダム」という作品の神髄を知ってもらう最高の好機だったはず。
「それをよくもまあ、こんな〇〇に仕上げるなんて。あんたバカァ~?」とアスカにディスってもらいたいぐらいなのが本作品(個人的に)。
とにかくシラケまくったのが、前半のガンダムとザクの初遭遇。
かたや連邦軍の最新技術の結晶、フラッグシップモデルのRX-78-2ガンダム。
対するは大戦初期では活躍するも、すでに旧型であり量産型のMS-06J ザク。
ドアンはどうやってこの性能差を埋めるのかと思ってましたが、なんとその手段が...
ザクがガンタムの背後に音も無く忍び寄る。
「はあ!?」
「いくら何でもありえないでしょソレ !?」
「そんなデッカイ熱源体が近くにいれば、センサー反応するでしょ。ミノフスキー粒子濃度がムチャクチャあったって分かるって!」
「ポンコツモビルスーツじゃないんだから、ガ・ン・ダ・ムなんだよ!!」
「組み付かれたザクにパワーで押されんの!?。もう、まったくなんてこったい!!」
まさに目を覆いたくなるようなトンデモ展開。
なぜにこうなるかは明白。そう、ストーリー都合です。
とにかくアムロを戦闘不能にし、島でドアンたちと共同生活をさせなくてはいけない。そのための強引、かつご都合主義の展開というワケです。
これで映画観るの止めたという方の記事読みましたが、マジで同感。
本作視聴前にTVシリーズの本回を観ましたが、こちらは偵察にきたコアファイター相手だったので、相手がザクでも納得できます。作画崩壊回の方がすんなり物語に入り込めるという、まさにソロモンの悪夢。
しかも、その後はアムロとドアン、子供たちのエピソードが延々と続くわけですが、これがもうタイクツ。何度、一時停止してスマホいじったことか。
そもそもガンダムファンが、こんなほのぼのエビソードを長々と観たいんかって話です。サザンクロス隊やマ・クベ、他のキャラクターを掘り下げた方がよっぽどマシかと思います。
そして、極めつけがホワイトベース隊のポンコツぶり。
あの名勝レビル将軍が、ニュータイブ部隊と期待をかけ、幾多のジオンの戦士たちを屠ってきた伝説の部隊WB(ホワイトベース)。
これが全くイイとこなく、ボコボコにやられまくります。
あのカイやハヤトが、初めて戦場に出た新兵かのようなヘッポコぶり。手も足も出ず破壊されるガンキャノン。
セイラの駆るコアブースターは、ただの偵察機ルッグン相手に戦闘不能。
そして、極めつけはスレッガーさん。大好きなスレッガー・ロウですよ。
彼がこれまで搭乗したのはコアブースターやGファイター。モビルスーツに乗った場面はこれまで一度もありません。
そんな彼が本作ではジムに乗る。メチャ期待してました。プレバンでプラモも買いました。
サザンクロス隊という強敵相手に、スレッガーはどんなモビルスーツ戦をみせるのか
!?
結果はコアブースターと一緒に墜落して、あっさり戦闘不能。
いい加減にしろよコノヤロー!!
これはギャグ映画なのか、それともガンダムをバカにしたヤツがつくっているのか。
ところが監督はあの安彦良和大先生なのです。この人、性格悪すぎでしょ(言い過ぎ)。
WS好きとしては許すまじ作品にも思えますが、とはいえ、それだけで終わらなかったのは唯一の救い。
それがアムロ・レイのキラー(殺人者)ぶりです。
ここではあえて書きませんが、アムロの血も涙もない行動に戦慄を覚えるのは必至。鉄華団のミカと同等以上の非情さには、他のWSメンバーのポンコツぶりに死にかけた自分は正直シビレました(アブナイ?)。
終盤のガンダム対高機動ザクとのタイマン勝負も、派手な対決というより、アムロの戦闘経験に裏打ちされた、相手を積んでいく戦術には感嘆。
まだニュータイブに覚醒する前でもこの強さ。「白い悪魔」ぶりの片鱗がみられたのは嬉しい限りです♪
とはいえ、全体的には満足感がとぼしかったのが本作品。
TVシリーズと時系列を別にしているなら、なおのことスムーズに話に入り込める展開はできなかったんでしょうかね。
個人的には、ステルス機能を搭載したプロトタイプグフとか、もう少しマシなモビルスーツにドアンが乗ってるとかすれば、多少は話に入りやすかったと思います(オマージュ的にどうかという問題はありますが)。
だって、ただのザク(しかもヒートホークのみ)はあんなに強くないです。シャアでもムリです。
満足度 35点