絶望的な状況下での戦闘。現実ならマジでカンベンですが、映画となると話は別。
それが史実、事実に基づいた映画ならなおさら。不謹慎な気はしますが、極限状態を追体験したい、「自分だったらどうする!?」という「IF」に思いを巡らせたいという気持ちに駆られちゃうんですよね。
映画館ならではの大スクリーン、大音響が、こういった映画でこそ最大限に効果を発揮します。自分が映画館に足を運びたいと思わせるのは、このような映画に他ありません!!
...などと書きましたが、自分は本作『アウトポスト』は劇場で観てないんですね
ちょうど公開当時のこのころは仕事や今後のことで頭がいっぱい。映画に目を向ける余裕もなく、本作自体の存在も最近まで知らなかった始末。いまにしてみれば本当にもったいない!!
今回プライムでサブスク追加されたため、速攻で視聴。期待に違わない苛烈な戦場を追体験させてくれる映画となっていました。
間違いなく劇場でウォッチするべきだった本作『アウトポスト』について、感想を書いてみたいと思います。
(2020年公開 上映時間 2時間3分 監督 ロッド・ルーリー)
ストーリー
2009年10月。ロメシャ2等軍曹(スコット・イーストウッド)たちは、アフガニスタン北東部に位置するキーティング前哨基地に派遣される。
だが、そこは四方を険しい山に囲まれた谷底に位置しており、敵に包囲されれば格好の的となる、防御面が脆弱な場所であったのだ。
そして、ついに恐れていたタリバン兵の総攻撃が開始された。
50人の米軍兵対300人ものタリバン兵。「カムデシュの戦い」と呼ばれる、アフガニスタン紛争で最も過酷な激戦の幕開けだった。
感想
本作最大の目玉である「カムデシュの戦い」は前半では始まりません。中盤まではこのアウトポスト(前哨基地)であるキーティング前哨基地での日常と個別のエピソードで話が進みます。
日常といっても、あくまで危機と隣合わせ。兵士たちがダベっていると突然、銃弾が襲ってきますが、彼等にはそれが当たり前の生活になっています。
頭上からの敵の攻撃は相当コワい描写ですが、慣れている彼らは瞬時に対応。危機は去り、彼らは通常任務に戻ります。
とはいえ、基地は山に囲まれた山底。当然、上からの攻撃の方が有利です。戦闘のプロである彼らはその危険性を痛いほど認識してます。
いつか絶対ヤバイことになるんじゃねえのか...
観賞前の予想と違いましたが、これらのエピソードは必須だったと思います。中盤までの出来事の積み重ねが、観ている側が彼らの気持ちとシンクロさせ、このタメが「カムデシュの戦い」でバクハツします!
わらわらと山岳部に湧き出てくる無数のタリバン兵。そして今までとは比べ物にならない銃弾とRPGの砲弾の雨嵐!!
まさしく恐怖の戦場。外に出たら、すぐ撃ち殺されそうな苛烈な攻撃。
この手の映画はリアリティを実感できるのかに尽きると思いますが、十分すぎるぐらい担保されています。
こんな中で反撃をするのにどれだけの胆力が必要なのか(訓練していた現地のアフガン兵はさっさと脱走)。米軍バンザイと言うつもりはありませんが、彼等の勇気には感嘆せざるを得ません。
誰かが言ってましたが、こういう映画こそ反戦映画なんだと思います。これを観て、戦場に行きたい人間はほとんどいないでしょう。とても生き残れる気がしません。
本作は実話を基に制作されています。
でも、コレって功罪両面あって、観る意欲は高まりますが、鑑賞後はどれだけ実話に基づいているのか調べたくなっちゃうんですよね。それでけっこうシラけることも多々あり...
一例をあげると『ローン・サバイバー(2014)』。
こちらもアフガンが舞台の実話モノ。観ていた時はちょっとヒロイックに描きすぎだなとは思ってましたが(隊員たちがカッコよく散っていく描写etc))実際の主人公はタリバンと闘うどころが逃げ回り、弾もほとんど撃っていないとか分かると、あまりの落差にかなり興ざめしちゃうんですよね。
その点、本作はそんな心配はないようです。
登場人物の名前を一部変更したり、時系列的に合わないエピソードもあったそうですが、概ね「カムデシュの戦い」は実際の状況そのものだったようです。
あんな過酷な状況のなか、仲間を助けようと奮戦していた彼等のことを考えると尊敬の念を抱かずにはいられません。
ただ本作の難点は顔が判別しずらいこと。誰が誰だか分からずエンドクレジットみて、この人死んでたんだと思ったりして
とはいえ、リアルな戦争体験をしたい方には、最高にオススメ映画だと思います。
満足度 75点