ゲーム「バイオハザード」の衝撃は今でも忘れません。

 

時は1996年。ロメロの『ゾンビ(Dawn of the Dead)』が大好きだった自分は、ゾンビが出るゲームが、当時最先端のゲーム機であるPSで発売されると聞いて大興奮。

 

発売と同時に即購入し、(観てるだけの)友達と一緒にプレイを始めました。

 

独特のコントローラー操作に悪戦苦闘しながら(クリスでプレイ)、気味の悪い咀嚼音のある方向に足を向けると...

 

人肉を食らっているゾンビに遭遇。初めて体験する圧倒的な恐怖に大パニック!!

 

ギャーギャー言いながら操作するも、まともに動けず。あえなくゾンビに喰われて「YOU DIED」。

 

そして「バイオハザード」の大ファンとなった自分は「6」までプレイ(ワタクシの現行ハードはPS3止まり)。ポール・W・S・アンダーソン監督の映画「バイオハザードシリーズ」は全作、劇場に足を運びました。

 

以上、長々と書きましたが「バイオハザード」ムービーに関しては、ちとうるさいヤツということです。

 

本作『バイオハザード: ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は低評価が多かった作品。先入観を避けるため、なるべくレビューの中身はみないで本作を観賞しました。

然るに、その結果ですが...

 

大ブーイング。そして「帰れ」コールの嵐。

 

怒りさえ覚える本作『バイオハザード: ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』。辛辣な感想をゴリゴリ書いていきたいと思います。

 

 

 

 

(2021年公開 上映時間/1時間47分 監督/ヨハネス・ロバーツ)

 

 

 

  ストーリー

 

アメリカ中西部にあるラクーンシティには、製薬会社アンブレラ社の工場が存在したが、今はもうそのほとんどが移転していた。

 

この町の施設で育ったクレア・レッドフィールドは、アンブレラ社が秘密裏に行っていた研究の結果、町に異変が起きているとのメッセージを受け取り、ラクーンシティへと戻ってくる。

 

R.P.D.(ラクーン市警)の兄クリス・レッドフィールドは、クレアの言うことを陰謀論で片づけようとするが、すでに町には異変が起こっていた。

 

 

  感想

 

ダメ過ぎて過呼吸になりそうな本作。

 

とにかくダメダメなのはゾンビ映画としてまったく面白くないということです。

 

「バイオ」ってゾンビの映画なのかということですが、少なくともゲーム「バイオ(1~3)」に関しては、恐怖の対象がゾンビで間違いないかと思います(ちなみに「バイオ2」のCMはあのロメロが監督!)。

 

つまり「バイオ」の魅力の大きな部分は「ゾンビ」が担っているということです。

 

にもかかわらず、本作はゾンビ映画の基本がなっていない。そもそもゾンビの魅力も分かっていないんですよ、この作り手連中は(カプコンの人、参加してたよね...)。

 

まず『ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』なんて題名をシレっとつけてるくせに、ラクーンシティ内にゾンビが溢れかえるどころか、そもそもまったく現れない!

 

Gウイルスが流出。住民の一部がゾンビ化。街中にはゾンビが溢れ、逃げ惑う非感染者。警察隊も出動するが、ゾンビたちに包囲され、次々と全滅。阿鼻叫喚。

 

 

これぐらいの描写があって然るべき。というか「バイオ」や「ゾンビ」ファンなら、絶対みたい場面だと思うはずです。ある意味一番みたい場面。

 

...のはずが、こんなシーン全くなし。ラクーンシティを原作通りに再現しましたなんて言ってるくせに、ゾンビが一体も歩き回らんとはどーいうことだって話ですよ!!(怒)

 

クレアが主人公なら、彼女がそんなゾンビ地獄のようなラクーンシティをサバイバルして警察署にたどり着く。それで十分面白さ、バイオらしさは担保されるハズ。

 

しかし、クレアはクリスの家で襲われたあとは大した描写も無く、警察署にちゃっかり現れている。

 

しかも、せっかくバイクに乗っているのに、それを生かしたシーンがまったく無いって..。もうアホかよって話です。

 

バイクでゾンビの群れを駆け抜ける。ゾンビ以外でも、ケルベロスのようなクリーチャーに追っかけられてもいいし。いくらでもスリリングな場面撮れるでしょう。


冒頭の施設や警察署長のシーンなんぞ撮ってるぐらいなら、クレアの活躍やラクーンシティのゾンビ地獄描けって話ですよ。

 

さらにあきれ返るのは、ゾンビ映画の基本の基本。ルール説明が不親切。

 

「噛まれたら感染。頭を撃ち抜かなければ死なない」という、プロレスの3カウント並みにメジャーなこのゾンビルール。

 

しかし、どんなC級ゾンビ映画でも、それぐらいは観客に説明するし、登場人物たちもこのルールを理解する(またはしている)シーンはあります。当たり前です。

 

然るに、本作はそんな当たり前のことも出来ていない。登場人物たちはこのルールあまり理解してないでしょ。敵はゾンビなのに。

 

「撃っても死なない。どうすればいいの!?」

「頭を狙え。あと絶対に噛まれるな。ジル」

「なぜそんなことを知ってるの、ウェスカー!?」

 

これぐらいでも十分ルール説明になるし、登場人物がルールを理解したとわかるでしょう。それを示唆するシーンもありますが、ゾンビ映画そのものを観たことない観客はよくわからないと思います。マジ不親切極まりない。

 

 

ホラーアクション映画としても大雑把。いい加減。

 

ゾンビの襲来からどうやって逃げ延びるか。それをアクション、登場人物の行動でみせる。これまた当たり前です。

 

しかし、こんなことすら出来ていないのが本作。

 

クリスが洋館内の一室でゾンビに襲われる。しかも三体。銃を撃つ間もなく、ゾンビに身体を押さえつけられる。

 

絶対絶命。噛まれたら即アウト。クリスはどうやってこの危機を切り抜けるのか!?

 

他の場面に展開。そしてまたクリスの場面へ。

 

よくわからないまま部屋から逃げ出し終了。

 

「どうやって脱出したんだよ、オマエ!?」

「そこちゃんと描けよ。それで済むなら何でもありじゃん!!」

 

三体のゾンビに押さえつけられたら、もう「YOU DIED」ですよ。そこにいたらないよう、小銃のストックで殴りつけ距離を空けてから銃撃したり、蹴りを入れるとか、登場人物が生き延びるためのアクションちゃんと考えるでしょ。

 

もうホントにいい加減。C級ゾンビ映画だって、そこはしっかり組み立てますよ。

 

マジで観客をバカだと思ってるとしか思えない。しかも、最後のG-バーキン戦なんて、盛り上げる気がまったく感じられないヤル気のなさ。

 

 

「ゲームの世界を忠実に再現しました。ここはファンならニヤリとする場面」

 

 

そんな本質を履き違えた、上っ面部分だけにパラメーターを全フリしたのが本作。

 

 

本編はスカスカ。ゾンビ映画ならではの面白さはないし、ホラー映画としても全くもってコワくない。登場人物は(クレア以外)似てない上に、本来持っていた魅力(ウェスカーの悪のカリスマ性etc)が皆無。

 

 

見た目だけ自己満足でキメるも、プロレスの本質がわかっていない上、受け身やロープワークもマトモに出来ず、デビュー戦で全プロレスファンから辛辣な評価を受けた今は亡きプロレスラー...

 

 

 

 

 

 

 

北尾 光司 のような映画です。

 

 

ショッパすぎるデク(木偶)・ムービーと命名したいと思います。

 

 

 

満足度 15点