『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』は007シリーズ第19作。5代目ボンドであるピアース・ブロスナン第3弾です。
本作の目玉は何といっても、ボンドガールがあのソフィー・マルソーだということ(個人的に)。
1980年代。自分や当時の友達も、アイドルは聖子ちゃんでもキョンキョンでもなく、ソフィーだったんですよね。当時の映画雑誌「ロードショー」「スクリーン」も彼女の特集がよく組まれていました。
そんなソフィーがボンドガールでどんな活躍をみせるのか。彼女のことも含めて、本作『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』の感想について書いてみたいと思います。
(1999年公開 上映時間 2時間7分 監督 マイケル・アプテッド)
ストーリー
イギリスの石油王キング卿がMI6で爆死する事件が発生。ボンドは彼の娘エレクトラ(ソフィー・マルソー)を警護するために、カスピ海へ飛ぶ。
MI6の局長Mは、主犯がテロリスト「レナード(ロバート・カーライル)」と突き止め、ボンドを卿の跡継ぎとなった娘、エレクトラの警護につける。
カスピ海へ飛んだボンドは、レナードがロシアの核基地から核弾頭を奪い、巨大パイプラインを破壊しようとする計画を知る。
エレクトラ
よくも悪くもソフィー演じる「エレクトラ」(洋物ポルノに出てきそうな名前ですか)が中心の本作品。
本作のヒロインかと思いきや、実はテロリストのレナードとデキており、大規模テロを引き起こそうとする悪女です。
このエレクトラ。個人的にはハッキリ言ってキライなキャラ。
彼女の「悪」って、何不自由なく生活していたお嬢様が、ワルの不良と付き合った結果、感化されてグレちゃったような安っぽさを感じちゃうんですよね。
そんな確たる信念もない、薄っぺらな彼女が父親爆殺、潜水艦の乗務員皆殺し、挙句の果てには核を使ったテロを起こそうとするんですから(エレクトラにいいように振り回される、MI6やMの無能さにはあきれてしまいますが)。
とはいえ、エレクトラ演じるソフィーは当時33歳。美しさはもちろん、少女のような可愛らしさ、アイドル性も保っているんですよね。まさにヒロインのなかのヒロイン!!
意外性を狙ったキャスティングだったかもしれませんが、ソフィーに関しては、勝気でキュートなステレオタイプの正統派ヒロイン(ボンドガール)で出て欲しかった。
天真爛漫なエレクトラがボンドとイチャイチャしてるとこがみたかったです。残念。
感想
前作『トゥモロー・ネバー・ダイ』は、現在のアクション映画と比べても遜色がない、テンボと現代性を感じる傑作でしたが、本作は先祖帰りというか、往年のボンド映画のような印象。
冒頭のモーターボートでの追跡劇、パラモーター付のスノーモービルに終われる雪山でのチェイスなど、どこか既視感があるアクション場面。
テンポも正直マッタリしており、これまた70年代のボンド映画を思わせます。
またエレクトラの出番が多いためか、ワリを食ったのが本作の悪役レナード。
009に銃弾を頭に撃ち込まれ(他の00ナンバーの活躍って萌えますよねヽ(・∀・)ノワチョーイ♪)体内に残った銃弾の影響でゆっくりと死に近づいてはいるものの、その影響で痛みを感じない男。
なかなか秀逸な設定ですが、レナードが出てくるのは中盤ですし、設定もそれほど生かされることなく、ボンドとの最終対決を迎えてしまいます。
ボンド自身も、エレクトラ相手には後手後手にまわっている印象で、本作は凄腕スパイ感がイマイチ感じられない気が...
あと忘れてならないのは、本作はあのQを演じるデスモンド・リュウェリン最後の作品。
彼の出演した007シリーズはなんと17作品。初代ショーン・コネリーから5代目ピアース・ブロスナンまで共演した彼はまさに007レジェンドといえる方です(残念ながら、彼は本作公開の翌月に自動車事故で死去しています)。
劇中、Qは引退することを口にしますが、あまりにサラッとしており、ボンドも半信半疑です。当時の観客もそんな感覚だったでしょう。
そんなお涙頂戴とは無縁のQの退場シーンは、かえって後から寂しさを覚えたりしますよね(今更ですが)。
結論を言えば、本作はブロスナンボンドの過去2作品と比べると、かなり地味目な印象。
全体的には楽しめましたが、爽快感はやや薄目の作品でした。
主題歌
主題歌「ワールド・イズ・ノット・イナフ」はアメリカのロックバンド「ガービッジ」が起用されています。
全体的に007ティストが感じられるのは好感が持てますが、こちらも映画同様、かなり地味目な曲。
最後の部分はちょっと盛り上がります。
満足度 55点
主題歌 55点