007/トゥモロー・ネバー・ダイ』はシリーズ第18作。5代目ボンドであるピアース・ブロスナン第2弾です。米国では前作『007/ゴールデンアイ』の収益を上回り、1997年度の世界興行成績第4位と大ヒットした作品になります。

 

今回観賞しましたが、個人的には前作より格段に面白くなっていました。

 

なぜそう感じたのか。その件も合わせて、本作感想を書いてみたいと思います。

 

 

 

(1997年公開 上映時間 1時間59分 監督 ロジャー・スポティスウッド)

 

 

  ストーリー

 

中国近海航行中のイギリス海軍艦が撃沈。中国と英国との間に一触即発の事態が発生する。

 

第三次世界大戦の危機が高まるが、その全てはメディア王エリオット・カーヴァー(ジョナサン・プライス)が画策したものであった。

 

英国諜報部から指令を受けたボンドはカーヴァーのハンブルク本部ビルに潜入するが、中華人民共和国国外安保隊員ウェイ・リン(ミシェル・ヨー)と鉢合わせになる...

 

 

  ミシェル・ヨー

 

本作のボンドガール、ウェイ・リン。諜報活動・戦闘能力共に、ボンドに引けを取らない凄腕の女性工作員。

 

演じるのは、ハリウッドと香港を股にかける人気女優ミシェル・ヨー。『グリーン・デスティニー』『ポリス・ストーリー3』等の主演作品があります。

 

恥ずかしながら、名前は知ってましたが、彼女の映画をまともに観たのは本作が初めてだと思います。

 

愛らしい顔で表情も豊か。華奢にみえる身体からは想像もつかない、切れ味鋭いアクションと身のこなし。あのボンドをあしらう姿なんて、最高にカッコよくて可愛かったですよね♪

 

しかし、彼女のスペックはこんなものではありません。

 

You Tubeで彼女のアクション詰め合わせみたいのを観たのですが、これがマジで凄かった!!

 

本作は蹴りが中心だったと思いますが、素手だけでなく、棒術や剣などの殺陣ももの凄いレベルです。剣を使ったアクションなんてメチャクチャ危険で、観ているこちらがビビるぐらい(少し目測誤っただけで大ケガ間違いなし!!)。

 

本作の殺陣なんて、ミシェルにしてみれば朝メシ前だったのでしょう。可愛いし強いし。なぜ今頃彼女の魅力に気づくのか。ホント不覚でしたあせる

 

志穂美の悦ちゃんも、同時代だったらミシェルみたいにハリウッドで活躍出来たでしょうね

 

 

 

 

  感想

 

本作は1997年ですので、25年も前の映画ということになりますが、驚くほど古びていません。数年前の作品でも十分通用するぐらいの新鮮度です。

 

その理由として、メディア王という現代的な悪役であることが大きいと思います。

 

この時代のメディア(TV・新聞・雑誌)を、現代のインターネットの情報発信ツールに置き換えれば、情報を駆使して世界を好き勝手にしようとするカーヴァーの手段は、正に現代戦そのものだからです。

 

本作ではイギリスと中国が戦争寸前にまでいきますが、公開当時よりも、ロシアによるウクライナ侵攻、台湾有事の危機が迫っている現代の方が、非常にリアルな危機として体感できます。

 

また前作『007/ゴールデンアイ』は、ボンドガール主観のパートがかなり尺をとっていたため、展開がややスローだった気がしますが、本作はほぼ全般がボンド主観として描かれているので、非常にスピーディーにストーリーが進んでいきます。

 

悪役も前作アレックスと比べると、本作のカーヴァーの方が段違いのリアリティさ。しかも、この男の傲慢な立ち振る舞いが相当に腹立たしいため(ジョナサン・プライスの演技が素晴らしい♪)

 

「ジェームス。コイツをマジでブッ〇してくれ」

 

とステキな気持ちにさせてくれます(カーヴァーの最期はけっこうなスッキリ度♪)。

 

ボンドとウァイが手錠で繋がれたままバイクに二人乗りするスタントも、非常にスリリングで見ごたえがあり、アクション映画としてもバッチリです。

 

敵側も充実しており、カーヴァーのステルス艦は往年のボンド映画に出てくる特撮風味のカッコ良さ。「先生」と呼ばれる殺し屋Dr.カウフマンも、とぼけた感じの殺人快楽者キャラでけっこう好みです(出番が少ないのが残念)。

 

5代目ボンドであるブロスナンも絶好調。前作より肩の力が抜けたのか非常に軽やか。

 

ウァイとの会話も「君は死なないよ。君のパートナーは腕のいい、堕落した西欧の女たらしの諜報部員だからね」とニッコリ皮肉交じりに言うところなんかサイコーです。

 

ただボンドカーの件だけは残念。マシンガンの銃弾を弾き返し、ハンマーでブン殴っても傷一つつかなかった窓ガラスが、ボンドが(リモコンで)動かし始めたら、敵の銃撃であっさり割られるとは支離滅裂。

 

窓ガラスが割れないという設定が、直前のストーリー展開に深く関わっているのだがら、こーいうご都合主義は止めて欲しかったですね(Dr.カウフマンが気の毒過ぎ)。

 

とはいえ、これだけのボリュームにも関わらず、上映時間は2時間を切るという編集の素晴らしさ。邦画もホント見習ってもらいたいものです(大した内容と思えないのに2時間オーバー多すぎでしょ。『〇かなの子』とか)。

 

 

当面、クレイグ版以前の007オススメ映画と言われれば、本作を推したいと思います。誰もが楽しめる傑作娯楽映画でした。

 

 

 

  主題歌

 

主題歌「トゥモロー・ネバー・ダイ」はアメリカの女性シンガー、シェリル・クロウが起用されています。

 

個人的に007ぽさはあまり感じられませんが、近年の主題歌は総じてこの手のおとなしめな曲調の気がします。

 

シェリルの声がカワイイし飽きの来ない曲なので、BGM代わりにいいかもしれません。

 

 

満足度 75点

主題歌 55点