社会の歯車と化し、心身をすり減らしながら、働かざる得ないこの現実社会。
そんなストレスまみれの日々の中、確実に楽しめる映画コンテンツがあります。
そう。それが「ナメてた相手が実は殺人マシーンだった映画」(映画ライターのギンティ小林さん命名)なのです!!
よくあるパターンとして「一見、ただのオヤジ(or地味な人)が、実は凄腕工作員(or殺し屋)」があげられます。
「バカにしていたタチの悪いチンピラが、見るも無残にフルボッコ。観ているこちらはもうスッキリ」が鉄板ムーブ。最高です♪
近年では『イコライザー』『ジョン・ウイック』『ザ・フォーリナー/復讐者』などがこのカテゴリーの作品になります。
本作『Mr.ノーバディ』もさえない中年男が主人公。あの大傑作『ハードコア』のイリヤ・ナイシュラー監督と「ジョン・ウィック」シリーズ脚本家&製作陣とタッグを組んだ超豪華布陣。
これは間違いないでしょう。さあ、スッキリさせてくれよ!!
(2021年公開 上映時間/1時間32分 監督/イリヤ・ナイシュラー)
ストーリー
ハッチ(ボブ・オデンカーク)は、自宅と職場の金型工場を路線バスで往復する、退屈な毎日を送っている。妻には距離を置かれ、息子からは尊敬されない、地味な中年男。
ある夜、自宅に強盗が押し入るも彼は反撃できず、家族に失望されてしまったハッチは、路線バスで出くわした不良たちの挑発にキレて連中を叩きのめてしまう。
だが、この事件はロシアンマフィアの逆鱗に触れた。武装集団がハッチの自宅を強襲するのだが...
感想
期待以上。文字通り「ナメてた相手が実は殺人マシーンだった映画」です!
前半は朝のゴミ出しすら出来ない、主人公ハッチのルーティンな毎日が描かれ、娘以外の家族に相手にされない中年男の悲哀を十分に味合わせてくれます。
溜まったうっ憤を吐き出しくてたまらないハッチ。観ているこちらの心情も重なったところ、ついにボンクラ若者グルーブの登場。
路線バスで傍若無人ぶりを発揮するク〇ガキどもを、ストレスMAXの中年男が全員叩きのめすのですが...
ハッチ自身もかなりボコボコ。これが新鮮!!
彼の裏の顔が少しずつみえてきたところのこの場面。スマートに制圧するかと思えば、これがダメージ分け合いながらのエグイ肉弾戦です。
ク〇ガキどもの歯は折れ、鼻は曲がり、ナイフでサクサク、腕はポッキリ。とにかくメチャクチャ痛そう!!
戦意喪失の若者グループ。傷だらけになりながら調子を上げていくハッチ。観ているこちらは気分爽快。
ハッチは相当ヤバい人間凶器なのですが、とある事情で普通の生活が長かったため、ブランクがあったんですよね。
そこの事情を踏まえての描写なのでしょう。これ以降のハッチは洗練された人殺しぶりをみせてくれます。リアルっぽい考証に好感が持てます。
この一件でハッチは恨みを買い、ロシアンマフィアのボスが出てくるのですが、この男ユリアン・クズネツォフがまたヤバい!
一見軽薄そうにみえますが、あっという間に豹変。なんの落ち度もない仲間をいとも簡単に惨殺する超クレイジーな男です(演じるのはアレクセイ・セレブリャコフ。ロシアの俳優さんですが、詳しいプロフィールは不明。ユリアンの狂気ぶりがコワ過ぎて気に入っちゃいました♪)。
こんな血も涙もないロシアンマフィア相手では、運が悪すぎと思うでしょうが、ハッチはまったく違います。
この状況を嬉々として楽しんじゃうのです。
地味な中年男のハッチが、実はユリアン以上に危険な男だったというワケです。あとはサービス満点の血まみれバトルがド迫力で展開されていきます。
ただラストの大乱戦は近視感がある展開。もう少し工夫が欲しかった気はします。
とはいえ、おおむね大満足の一本。ストレス解消にはピッタリです。
満足度 75点
※鑑賞後、何気にアイアン・マイケルサイドが出ていたことにオドロキ。ただのおっさん役なので気がつかず。大好きな俳優さんなので大暴れさせてあげたかった...
