ジュラシックシリーズ最新作にして最終作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
前作主人公のクリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワードはもちろん、過去作の主人公であるサム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラムらも出演する、まさにシリーズ集大成。2022年夏、最大の超大作です。
期待は大きく膨らみますが、かなり酷評の声も聞こえてくるのもまた事実。
ジュラシックシリーズ全作振り返り(自分でもビックリ!!)を経ての本作観賞結果。色々と書いてみたいと思います。
(2022年公開 上映時間/2時間26分 監督/コリン・トレヴォロウ)
ストーリー
イスラ・ヌブラル島が噴火で壊滅し、アメリカ本土に連れてこられた恐竜たちが、世界各地に解き放たれて4年。恐竜たちによる人間社会への被害が深刻化していた。
恐竜の保護活動を行うオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、ロックウッド邸で保護したクローン少女、メイジーを人里離れた山小屋で暮らして育ててきたが、ある日、メイジーがヴェロキラプトルの子供とともに連れ去られてしまう。
同じころ、大量発生した巨大なイナゴにより、農家の穀物畑が食い荒らされる被害がアメリカの中西部で多発。サトラー博士(ローラ・ダーン)は、巨大バイオテクノロジー企業のバイオシンの関与を疑う。
彼女はグラント博士(サム・ニール)に協力を要請。バイオシン社に雇われているマルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)の協力により、二人はバイオシン・サンクチュアリに向かうのだが...
感想
前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』に比べれば、観客サービスは大幅増量です。
歴代主人公が集まっていく展開はやはりアツい。しかも、本作は主人公クラスだけでなく、サブキャラたちも総出演。
前作に出てきたフランクリンやジア。『ジュラシック・ワールド』ではオーウェンの相棒的存在だったバリー。まさかのベビーターンを果たしたヘンリー・ウー博士。まさにジュラシック・アベンジャーズの様相です。
しかも、今回の黒幕ルイス・ドジスンは第1作目の時、あのお騒がせ男ネドリーにスプレー缶を手渡していた男。ここで全てがつながった!?
新鮮なアクションシーンも多く、恐竜たちとのバイクチェイス、ジェイソンボーンのような屋根から屋根の逃走劇などは、これまでのシリーズでは観たことがないパターンがみられます。
過去作オマージュだけでなく、映画全体に見せ場が満載。恐竜の出番は少なめな気もしますが、一見さんでも十二分に楽しめる映画だと思います。
しかし、ジュラシックシリーズを観続けた者として、納得できないところはもちろんあります。
本作はもっとも大事なことを
うやむやにしています。
シリーズファンが観たかったのは、世界中に解き放たれた恐竜たちで世界はどう変わったのか。人類はどういう決断をするのかということだと思います。
恐竜の存在は、確実に地球の生態系を変えます。現存していた生物の存続も危ぶむこともあるでしょう。
食糧危機が叫ばれている昨今に、あんな巨体の恐竜たちが跋扈すれば、あらゆるものを食い尽くすかもしれません。街中に現れれば、小火力の警察では相手にならず、甚大な人的被害も出るでしょう。
普通に考えれば、一部の恐竜は今回の保護区のような場所で隔離しますが、残りは害獣として殲滅させる、無慈悲な決断が必要になってくるかと思います。
もし共存するのであれば、何が必要なのか。この途方もない問題をどうやって解決するのか。
はたまた人類は恐竜に屈し、世界の大半が恐竜に支配されてしまうのか。
本作はその解答を掲示してくれると思ったのですが...
それがまさかのスルー。
あろうことかの放置プレイ。人類はまったく何にも考えていなかったのです。
「なんとかなるさ。みんな地球の仲間じゃないか!!」で終わりですよ。マルコム博士でなくてもビックリです。
一番シリアスで、もっとも核心的な本シリーズの問いに、本作は何の回答も示していないのです。
マジでイナゴでごまかしている
様にしか思えません。
お祭り騒ぎで終わるのは悪くありませんが、それにしても、もっとマジメに取り組んでもらいたかった。
『新たなる支配者』なんて最高の邦題が空しくなります。昔の東映まんが祭り「○○対○○」と対決を銘打ちながら、まったく対決しなかったような肩透かし感。
とはいえ、そんな恐竜大虐殺の映画なんて観たくないですし..。そこはちょっとフクザツなんですけど。
東映まんが祭りも共闘するだけで、最後は満足しちゃいましたね。
楽しめたので、
結論はヨシとしましょう!!
満足度 70点