「ジュラシック・ワールド」三部作をスターウォーズ(EP4~6)に例えると、本作はEP5の『帝国の逆襲』のような作品ではないかと思います(かなり強引ですが)。
前作『ジュラシック・ワールド』が「誰もが大満足するアゲアゲ映画」だとしたら、本作は「主人公たちはひたすら追い込まれ、事態もヤバい方向に転がり、次作に続くで終わる映画」です。
ただ決定的に違うのは『帝国の逆襲』はメチャクチャ面白い作品だったということ。
正直、ガッカリ感が強かった本作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』について書いていきたいと思います。
(2018年公開 上映時間/2時間8分 監督/J・A・バヨナ)
ストーリー
ジュラシック・ワールド事件から3年後の2018年。パーク崩壊後、野生化した恐竜達が暮らすイスラ・ヌブラル島で火山噴火の予兆がみられていた。
ロックウッド財団から、恐竜を救出するための支援を受けたクレア(ブライス・ダラス・ハワード)はオーウェン(クリス・プラット)たちと共に島に向かうが、傭兵のウィートリーに裏切られ、彼らは爆発的な大噴火が起きた島に取り残されそうになる。
間一髪、恐竜が積みこまれた船に乗り込むオーウェンたち。船から運び出された恐竜は、ベンジャミンの屋敷「ロックウッド・エステート」の施設に運ばれようとしていた。
感想
製作者の苦労が偲ばれる作品です。
前作がジュラシックパークを舞台に、考えつく面白そうなネタを惜しげもなくブチ込んだ大娯楽作品としたら、本作はそのダシガラでつくったような映画です。
全編通しても、気分が高揚するような場面はほとんどなく、大幅にサービスダウンした印象。
ただあくまで本作は次作のためのつなぎの一作。新世界ジュラシックワールドに導くための作品ですので、仕方がないことも分かります。
とはいえ、話に疾走感がないため、観ている間に気になってしまう点が次々出てきてしまいます。前作の世界観が完璧だっただけに、よけいにアラが目立つんですよね。
まず重要な役どころのはずの、ロックウッド財団とその長であるベンジャミン・ロックウッドの扱いが雑過ぎです。
名前からしてロックフェラー(世界を裏で牛耳っていると言われるアメリカの巨大財閥。都市伝説界の超メジャー)をイメージさせる財団ですが、その描写がはなはだ薄っぺらいんですよね。
あの大豪邸に住人が4人ってあり得ないでしょう、さすがに。
使用人がわんさかいて、ボディガードも多数。ベンジャミン・ロックウッド自身も清濁併せ持つ、深みのある人物で然るべきでしょう。
ものすごい大物のはずが、ただのおじいちゃんですからね...
オーウェンが無双すぎるのも引っかかりポイント。いまどき素手で傭兵たちをバッタバッタとなぎ倒す描写なんてあります?
まるで80年代ムービーのアクションヒーロー。こういう描写も雑だな~て感じちゃうんですよね。
あとファミリー向けを懸念してるのか、オークション会場での混乱もショボい。
いけ好かない金持ちたちが多数いるのに、ほとんど脱出してしまいます。本作はカタルシス場面が少ない映画なのですから、恐竜たちの剝き出しの野生により、彼らが生命の脅威の報いを受ける、阿鼻叫喚の大パニック描写をなぜ入れないのでしょうか!!(不謹慎?)。
とはいえ、けっして面白くないわけではありません。
ジャイロスフィアが海に落下したシーンをワンカット風で撮ったり、インドラプトルとの対決など。見ごたえのある場面も多数あります。
ただ前述した通り、ストーリーを早足で回収するためか(前半イスラ・ヌブラル島、後半ロックウッド・エステート)、背景や描写がかなり雑な映画です。
とはいえ、本作は次作への準備を整えることは完了させています。
最新作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』で最高のカタルシスを得られるのを期待したいと思います!!
満足度 55点
