本作は「ジュラシックパークシリーズ」第四作目、かつ「ジュラシック・ワールド」三部作の第一作目になります。

 

公開当時、前作『ジュラシック・パークIII』とは違い、超大作の予感しかなかった本作。

 

ただ、ありとあらゆる映像を見慣れてしまった昨今、いまさらジュラシック感もあったのもまた事実。期待感そこそこに観に行ったのですが...

 

これが予想をはるかに超える面白さ!!

 

シリーズ初心者でも大満足ですが、シリーズ通して観ているファンへのまさにド直球の胸アツ作品だったのです。

 

まさしくシリーズを再生させた起死回生の本作品。ジュラシック・ワールド』について書いていきたいと思います。

 

(2015年公開 上映時間/2時間5分 監督/コリン・トレヴォロウ)

 

  ストーリー

 

「ジュラシック・パーク」の惨劇から22年後。マスラニ社はインジェン社を買収、「ジュラシック・ワールド」として恐竜テーマパークを実現させ、人気の観光施設として成功を収めていた。

 

このパークの運営責任者クレア(ブライス・ダラス・ハワード)の元へ、2人の甥っ子、16歳のザックと11歳のグレイが訪ねてくる。フリーパスを渡された2人は、操縦式のカプセルに乗って恐竜の間を回っていた。

 

しかし、不運なことに新種のハイブリッド恐竜インドミナス・レックスが職員2人を食い殺して逃亡。ACU(資産管理部隊)が追跡・捕獲作戦を開始するも、カモフラージュで撹乱され、多大の犠牲者を出した上に作戦も失敗する。

 

非常事態となるパーク内。立ち入り禁止の森林エリアに入ったザックとグレイの前にインドミナスが姿を現す...

 

  登場人物

 

本作は登場人物もまた魅力的です。

 

筆頭はもちろん主役のオーウェン。シリーズ通しての悪役であった、あのラプトル4頭を調教している恐竜監視員です。

 

それだけでシリーズファンならスゴさが分かる彼ですが、ラプトルたち恐竜をリスペクトし、彼らと心まで通わせるハートフルな男でもあります。

 

有名な「待て」のポーズ、

公開当時に流行りましたよね♪

 

しかも、元海軍の軍人ということもあり、身体能力・判断力も優秀

 

インドミナス・レックスから逃れるために車の下に潜り込む俊敏さ、ラプトルたちとバイクで疾走する姿、まさにヒーローです。

 

演じるのはクリス・プラット。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などでおなじみ、ユーモアセンスに溢れた人気俳優です。

 

最近はあまり俳優の名前を覚えられないんですが、クリスは別格。コブラが実写化されたら、ぜひ彼に演じて欲しいものです(^^♪(サイコガンと葉巻がマジ似合いそう)。

 

甥っ子兄弟の弟役グレイ(タイ・シンプキンス。本作以外ではホラー映画『インシディアス』シリーズなどに出演)は好感度バツグン。恐竜好きな彼がジュラシック・ワールドに大興奮して兄を急かす姿は、観ているこちらの気持ちも重なります。

 

本作を振り返ると、ヒロインはクレアではなく、彼じゃないでしょうか?

 

恐竜に追っかけまわされ、キャーキャー言って、泣き顔までみせる。「男勝りで可愛げないクレアより、よっぽどヒロインしてるじゃん」と、ブログ書いてて気づいた次第。

 

パークのエンジニアであるロウリー(ジェイク・ジョンソン)も、個人的にお気に入りの人物です。

 

危機的状況になり、みんなが逃げ出す中、ただ一人コントロール・ルームに残る、生粋の恐竜オタク。本当に勇気ある人間は彼みたいな男ですよね。

 

一作目のネドリーとは真逆のナイスガイ。こういうキャラは最後まで生き残って欲しいもんです。

 

  感想

 

本作はざっくり2つの話が同時進行で進みます。甥っ子兄弟のパーク道中とオーウェン・クレアの舞台裏でのトラブル。

 

2つの話が後半で1本化されますが、どちらもメチャクチャ面白い!

 

兄弟パートでは、ザック(スマホばっかみてるアホ兄)ではなくグレイくんが観客と同じ目線でしょう。

 

彼がみるもの全てに感動し、はしゃいでしまう気持ちは、観ている観客のそれです。

 

彼ら二人に同行し、最高のュラシック・ツアーを体験している気持ちにさせてくれます。

 

あのハモンドの夢が、22年の時を経て結実したのかと思うと、シリーズファンとして感慨深いものがあります。

 

トラブルパート、オーウェンの初登場も鮮烈です。

 

ラプトルを調教中に発生した緊急事態を、冷静かつ鮮やかな手際で解決するの行動にもう釘付けです。

 

そして、今回のメインヒールであるインドミナス・レックスの登場。そして脱走。

 

職員を食い殺し、オーウェンが追い詰められる場面は、このシリーズで久しぶりに恐怖を覚えたほどです。

 

色々な生物を掛け合わせた、このハイブリット恐竜は、高い知能を持ちながらも他の生物を殺戮する、掛け値なしのスーパーヒールこんなヤツ、生かしちゃいかんと思わせてくれる設定はホント秀逸です。

 

そして、話が進むごとに現れる、過去作へのオマージュ。

 

第1作で登場したヘンリー・ウーの再登場。

 

廃墟となった旧ジュラシック・パークのビジターセンター。

 

第一作のラストで、天井から落ちてきたパークの旗。グラント博士たちが乗っていたジープ。

 

ここからは完全ネタバレになります。ご注意ください。

 

 

過去作のオマージュでノスタルジー気分をしっかり重ねた上での、あの終盤。


クレアが、発煙筒でティラノサウルスを誘導する時の胸の高まりときたら!!

 

なんと第1作で登場したティラノサウルスが、インドミナスと対決するというビックサプライズ!!

 

あの恐怖の対象でしかなかったティラノサウルスが、ここまで頼もしく見えたことがあったでしょうか。あまりの胸アツ展開に、初見は涙が溢れました。

 

しかも、劣勢となったティラノサウルスに、ラプトル姉妹の生き残りブルーも加勢!!

 

1作目からのレギュラーコンビ対禁断のハイブリット恐竜とのガチンコ対決です。こんな中二病みたいな展開...

 

もうサイコーじゃないですか!!

 

インドミナスも、彼等ではなく伏兵のモササウルスに倒される最期も素晴らしい。強さを損なわずに敗北させるという、WWF顔負けのストーリーライン。

 

まさに出し惜しみなし。出来ることは全てやりつくした、製作者側の大サービス精神を感じました。

 

ただ残念なことですが、第一作目のような純粋な驚きはもうありません。

 

製作者側もそれが分かっているのか「ジュラシックパークは伝説」「恐竜はもうゾウと同じ」とロウリーやクレアの口から言わせています。

 

今夏の『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』で本シリーズは完結しますが、無理に延命させず、きれいな形で終わらせた方がシリーズファンは納得できますし、英断だと思います。

 

本作はスリル満点の

最高なジュラシック・ツアーでした。

 

満足度 90点