恐竜映画の原点にして頂点。それが本作『ジュラシック・パーク』です。

 

この作品を観た時の衝撃は今でも忘れません。

 

1993年公開当時、事前情報を知らないままに観賞しました(日本公開時の予告編も恐竜の姿はほとんど映していません)。

 

ネットニュースが乱れ飛んでいる現代とは違います。恐竜映画ということで、正直ナメていたと思います。

 

「監督スピルバーグだし、そこそこ面白いだろ」ぐらいの軽い気持ち。着ぐるみやストップモーションが当たり前の時代でしたので、その延長線上の映画と思っていました。

 

そんなノーガードの状態で、この映画を観たのですからタマリマセン!!

 

とんでもない感動!!

 

圧倒的な恐怖!!

 

相反するショックを同時に体験したのです!!

 

この映画に関しては、観たという範疇では収まりません。まさに体験。類真似なる映像体験。

 

公開時、この映画を劇場で観なかった人は不幸でしょう。

 

ホンモノの恐竜に遭遇する、人生で二度と味わえない、最高の体験を逃してしまったのですから。

 

 

(1993年公開 上映時間/2時間7分 督/スティーヴン・スピルバーグ)

 

  ストーリー

 

南米コスタリカ沖の孤島につくられた「ジュラシックパーク」。 

 

そこは太古の琥珀に閉じ込められたDNAから遺伝子工学によって蘇った恐竜たちが生息する、究極のテーマパークである。

 

このパークを建設した実業家ハモンドの招待で、古生物学者グラント(サム・ニール)とサトラー(ローラ・ダーン)、数学者マルコム(ジェフ・ゴールドブラム)、弁護士、そして彼の孫である幼い姉弟たちがオープン前のツアーに参加する。

 

しかし、ツアー当日、システムエンジニアのネドリーが安全装置を解除したことにより、恐竜たちが柵の外へ脱走してしまう。

 

次々と人間を襲う恐竜たち。この島から生き延びることは出来るのだろうか。

 

  登場人物

 

ここは個人的に気になった登場人物たちについて書いてみたいと思います。

 

先ずはジュラシックパーク騒動の張本人、ネドリー本作一、キャラが際立っている御仁です。

 

ほとんど四角形のあの体系。特殊メイクかと見紛うほどのとんでもない太り方。極端な色白さと相まって、ちょっとキモチ悪いほどです。

 

専門用語を交え、言い訳をまくしたてる姿が、エンジニアとしてのリアリティを感じつつイラっとさせてくれます。待遇の不満と金儲けのために、パーク全体を危機に陥れる自己中な男です。

 

当然、そんな輩が生き残れるわけはなく、本作一二を争う無残な殺され方には、ショックと同時にスカッとさせられた方も多いのではないでしょうか?

 

演じるウェイン・ナイトはアメリカの俳優。その替えの利かないキャラクターのせいか、本作で最初に決まったキャストだったようです。

 

次にハモンドの孫娘レックス。とにかく驚く叫ぶ。本作のスクリーミング(絶叫)・クイーンです。

 

とはいえ、あんな状況ではパニックになって当たり前。恐怖する彼女の姿が、恐竜の脅威を引き立て、とても素晴らしかったと思います。

 

迫真の演技を見せたレックス役のアリアナ・リチャーズは現在、俳優業は行っておらず、今は画家として成功を収めているそうです。

 

最後にジュラシック・パーク創設者であるハモンド。彼には好意しかありません。本当にチャーミングなおじいちゃんです。

 

どう考えても、ジュラシック・パークの建設は素晴らしいことと思えるのですが、招いたグラント、サトラーマルコムの三人には異を唱えられてしまい(是としたのは金儲けを期待した弁護士だけ)、観ているこちらが気の毒になってしまいます。

 

演じるリチャード・アッテンボローは残念ながら亡くなっていますが、映画監督としても素晴らしく、多くの名作を残しています(『ガンジー』『コーラスライン』等)。

 

制作時には脚本や演出の助言も行っていたそうです。スピルバーグもさぞ心強かったことでしょう。

 

  感想

 

冒頭でも書きましたが、この作品ほど映像体験させてくれた映画はありません。

 

最初にグラント博士たちが遭遇する、ブラキオザウルスにどれほど驚いたことか。

 

見上げるその巨大さ、質感、そしてその動きの滑らかさ。

 

信じられないかもしれませんが、当時はCGの存在すら知らなかったのです。

 

大スクリーンに映し出されるブラキオザウルスは、ホンモノ以外に形容する言葉がなかったのです。本当に感動でした。

 

高度な映像を見慣れてしまった現在、あのシーンを観て、そんな気持ちになれる観客はほとんどいないでしょう。

 

リアルタイムで観た自分は本当に幸運です。

 

そして、本作が以降のシリーズと決定的に違うのは恐怖の度合いです。

 

パニックホラーとしての側面が

段違いに違います。

 

肉食恐竜は前半1時間、ほとんど姿をみせません。ツアーのグラント博士たち同様、徹底的に焦らされます。

 

観たい恐竜の柵の前に行っても、彼らは全く姿を現しません。動物園でも実際にこんなことがありますよね。

 

それが、嵐の襲来の中、パークの安全装置が外された最悪な状況で現れてしまうのです。

 

登場人物たちと一体化していた、観ているコチラはたまりません!!

 

劇場内に大音量で響き渡るあの咆哮。

 

禍々しい凶悪な面構え。圧倒的な巨体。

 

最大の肉食恐竜ティラノサウルス。これまたホンモノ以外、形容しようがないその姿に心底震え上がりました。

 

恐怖。文字通りの恐怖です!!

 

観客はティラノサウルスの大暴れに圧倒されるしかありません。しかも、頭から人間から喰われるシーンは真正面から撮る凄まじさ。

 

しかも、当時の先入観で恐竜の動きは鈍いと思っていたので、その動きの速さにまた恐怖。

 

ジープをもの凄いスピードで追っかけてきたのには、コワすぎて笑っちゃたほどです(サイドミラーに写るティラノサウルスのシーンは本作屈指の名場面)。

 

とにかく本作は初めてづくしの映画だったのです。恐竜映画という新たなジャンルで初めて観る場面ばかり。しかも、それが高度なレベルで繰り広げられます。

 

もちろん映像だけではなく、徐々に全容を現すパーク説明の前半から恐竜パニックに至る後半まで、よどみなく展開されるストーリーもバツグンの面白さ。

 

主人公アランと子供たちの逃避行も、子供嫌いな彼がなついてくれる子供たちに考えが変わっていくくだりが、心地よいファミリー映画としての側面も満たしてくれます。

 

スピルバーグの手のひらで

転がされまくりです。

 

今回、ブログを書くにあたり観直しましたが、やはりその面白さは不変。2022年でも100%通用します(何気にサミュエル・L・ジャクソンが出てたことにはビックリ)。

 

本作はまさに歴史的作品なのです。

 

満足度 100点

 

 

※最新作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』。グラント、サトラー、マルコムの元祖主人公たちが出てくるのはホント楽しみです!!