本作『クリード チャンプを継ぐ男』は、あのロッキーシリーズの初スピンオフ作品です。
スタローン・ロッキーファンの自分ですが、正直、あまり本作を観る気にはなりませんでした。
『ロッキー・ザ・ファイナル」』
完結したはずなのにまだ続けんの?
多くのロッキーファンが感じたであろうモヤモヤ感が多々あり、なかなか食指が動きませんでした。
ですが、ここ最近ロッキーシリーズを観直したことで、プチ・ロッキーブームが自分に到来!
しかも、アポロ・クリードという男の素晴らしさに改めて気づいたこともあり、ようやく観賞に至った次第。
未見のロッキーファンも多いであろう『クリード チャンプを継ぐ男』について書いていきたいと思います。
(2015年公開 上映時間/2時間13分 監督/ライアン・クーグラー)
ストーリー
元ボクシング世界ヘビー級王者アポロ・クリードの妻であるメアリー・アンは、アポロの隠し子であるアドニス(ドニー)・ジョンソン(マイケル・B・ジョーダン)を養子として引き取る。
ドニーはアポロが亡くなった後に生まれたため、彼には父との思い出がなかった。
亡き父の活躍に憧れたドニーは、ライバルであり親友のロッキー・バルボア(シルヴェスター・スタローン)を訪ね、トレーナーになってほしいと申し出る。
一度は断るロッキーだが、ひたむきなドニーに根負けし、彼のトレーナーとなることを承知する。
ドニーとロッキーの世界チャンピオンを目指す闘いが始まった。
監督・脚本について
本作の監督・脚本はライアン・クーグラー。他の作品では『ブラックパンサー』『フルートベール駅で』等があり、新鋭の映画監督です。
クーグラーの父親は大のロッキーファン。彼は子供のころ父親によくロッキー作品をみせられ、自分もファンになったそうです。
そして、クーグラーはスタローン自身に自分の書いた脚本を持ち込み、映画化にこぎつけたのです。
こ・れ・っ・てスゴい話じゃないですか!!
好きな映画の続きを自分で書き上げ、映画化されるだけでも夢のような話。
それを自分が監督し、主人公の俳優をそのまま出演させるとは!!
ものスゴイ男です、ライアン・クーグラー。
恐るべしです!!
しかし、このようなバックストーリーが語られるのも、本作が『ロッキー』の遺伝子をハッキリと引き継いでいると感じられますよね。
彼の父親、この話を聞いた時には「オーマイガァッ!!」と卒倒したことでしょう。
そのあと「ロッキーに会わせてくれっ。サインも記念写真も!!」とメチャクチャせびりましたよね、絶対。
感想
傑作です!!
前述の通り、監督・脚本にはスタローンは携わってませんが、観ていれば「クーグラー、よく分かってんな~」と感服するに違いありません。
ストーリーはもう単純ですが(ほとんど「ロッキー第一作」と同じ)、押さえるツボに感心したり、感泣させられたりと、もうウルウルきちゃいます。
また、これだけの時間が経てばこうなるだろうという、変化の度合を描くのが秀逸です(一例をあげればミッキーのジム。外見はオンボロのままですが、中身の設備は最新鋭。人気のボクシングジムになっているとか)。
主役のドニー自身に、正直それほど魅力は感じませんでしたが、ファイティングシーンは見事にこなしきっています。
老いたその後のロッキーの物語としても、今までのシリーズと完全に地続きですのでファンとしては安心です。彼のエイドリアンやポーリーへの想いが伝わるシーンなんて、本当にグッときます。
とにかくロッキーファンのツボを突きまくる映画ですので、あまり情報を仕入れないで観るのがオススメです。
もちろん本作はロッキーを観てない人でも楽しめますが、それだと本当にもったいない!
そして、往年のロッキーファンは
絶対に観るべき映画です!!
タイトルマッチの後半、
嗚咽が出るぐらい、感極まります。
満足度 85点