ロッキーシリーズ第2作
ボクシング映画の最高傑作、そしてシルベスター・スタローンの大出世作『ロッキー』。
本作はその直接的な続編にあたる、シリーズ第2弾です。
『ロッキー3』『ロッキー4』は当時劇場に観に行ったり、レンタルで観直したりして記憶は割と鮮明ですが、本作が一番記憶が薄いんですよね(多分、月曜ロードショーで観たぐらい)。
前回、久方ぶりに観賞した『ロッキー』は大絶賛の完璧映画でしたが、何十年ぶりかに観た本作は...
正直、ガッカリしちゃいました。
なぜ、そんな感想になってしまったのか、今回書いていきたいと思います(あくまで個人的感想です。好きな人はホントすいません)。
(1979年公開 上映時間/1時間59分 監督/シルヴェスター・スタローン)
ストーリー
アポロが辛うじて王座を守ったが、世間は無名の挑戦者ロッキーの健闘を称え、アポロ自身には非難が集中した。
ロッキーはボクシングの世界から身を引こうとするも、他の仕事は上手くいかず、自分にはボクシングしかないと気づく。
無敵の王者としてのプライドを回復したいアポロは、ロッキーとの再戦をメディアを通してアピール。ロッキーは再挑戦を決意する。
ロッキー対アポロのリターンマッチが始まる。
感想
生粋のスタローンファン、ロッキーファンとして、あまり言いたくありませんが...
本作はイマイチな作品です。
前半から中盤にかけての展開が、まさに退屈そのもの。
前回の試合で大金を手にしたロッキーは、身の丈に合わないモノを買いまくり散財。
あてにしたCM料金も手に入らず、精肉店にとらばーゆも人員整理ですぐ解雇。
エイドリアンは家計を助けようと、ペットショップに復職も過労でダウン。
アポロとの再試合が決まったにも関わらず、倒れたエイドリアンが心配でトレーニングに身が入らない始末。
ストーリーの大半がこんな感じ。
ロッキーのダメっぷりを
観せられる時間がホント~に長い。
後半のタメの時間とはいえ、いやはやしんどい。ロッキーは悪い男じゃないんです。それはわかっているのですが...
なんともイライラさせられます。
とはいえ、復活したエイドリアンのおかげで、ロッキーにようやくスイッチが入り、そこから先は純粋にロッキー映画(トレーニング・試合・感動のエンディング)として楽しめました。
ただ前作と比べると、その熱量、感動は数段下のレベルです。
しかし、アポロ・クリードは
相変わらず素晴らしい!!
演じるカール・ウェザースは俳優になる前は、アメフトでプレーしていたこともあり、身体能力が飛び抜けています(オーディションではスタローンをボコボコにしていたとのこと)。
彼の演技自体も素晴らしく、ロッキーをまくしたて挑発する姿はホンモノの世界チャンピオンかのようなカリスマ感に満ちています。スタローン演じるロッキー同様、本当に実在しているかのような存在感です。
この試合は正直、アポロに肩入れしてしまいます。
アポロがリスクのある再試合を選択したのは己の誇りのため。前回の試合における誹謗中傷に堪え切れない彼は、全力全霊でトレーニングに打ち込みます。
当日の試合前もアップに余念がありません。その鬼気迫る姿は死合に臨む武士(もののふ)そのものです。
こんな王者アポロに対して、挑戦者であるロッキーはどうしているかというと...
なんと試合時間が近づいてるにも関わらず、自宅でゆったりくつろいでいる能天気ぶり。
絶対王者のチャンプがアップしてるのに、
なにやってんだよ。ロッキー!?
監督・脚本がスタローンですので、意図的にやってるのかもしれませんが、それにしても、アポロとロッキーの覚悟の落差が酷すぎます。
アポロ、やっちゃえよ!
いま観ると、そんな気持ちにもなってしまう自分。次作で虎の目って言われるロッキーのはずなんですけどね。
試合も終始、アポロが有利に展開。判定でしたら圧倒的にアポロ勝利です。
しかし、彼はそれには満足できず、セコンドの声も無視し、最終ラウンドに打ち合いにいきます。
結果として、それがアポロには災いしてしまうのですが...
とにかくグレートな男です、アポロ・クリードという男は。
彼こそがチャンプのなかのチャンプです!!
スタローンもそんなアポロに敬意を示して、こういう描き方をしたのでしょう。
ポーリーが本作では頼れる男になってたのはオドロキ。
エイドリアンもしっかりとした芯のある女性に成長していました。
そして中身が全く成長していないのは、ロッキーだけ。うーむ。
スタローンもいまだったら絶対、そんな描き方はしないでしょうけどね...
満足度 55点