36年の時を経て『ロッキー4/炎の友情』が
未公開映像を追加し、再構築。
新たな作品で全国劇場公開
まさかまさかの大ニュース!
あのロッキーシリーズが令和に大復活です!!
42分の未公開映像を加え、「ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV」が8月19日(金)より、全国の映画館で順次公開されるとのこと。
生粋のスタローンファンとしては、これを見逃すわけにはいきません。
「ロッキー」は好きすぎて、ブログに書くのをためらう映画の一つですが、今回のビックニュースを受け、覚悟を決めました。
ボクシング映画の最高傑作「ロッキー」について、自分なりの想いと共に書いてみたいと思います。
(1976年公開 上映時間/1時間59分 監督/ジョン・G・アヴィルドセン)
ストーリー
アメリカの建国200年を目前に控えていた1975年。
フィラデルフィアのしがないボクサー、ロッキーはボクシングだけで生計を立てることがてきず、知人から高利貸しの取立人を請け負いながら日銭を稼いでいた。
そんな先の見えない生活のなか、世界チャンピオンであるアポロに、ロッキーは対戦相手に指名される。
アポロは無名のボクサーに挑戦するチャンスを与えることで、アメリカン・ドリームを体現させ、世間の話題を集めようとしたのだ。
圧倒的な実力差がある両者だが、ロッキーは過酷なトレーニングを積み、リングに上がる。
ニ流ボクサーと絶対王者との死闘が始まった。
ロッキー・バルボアとシルヴェスター・スタローン
シルヴェスター・スタローンがロッキーで得た、自らのサクセスはあまりにも有名です。
売れない俳優だったスタローンは、29歳の時に観たボクシングの試合(モハメド・アリ対チャック・ウェプナー戦)に着想を得て、わすが3日で書き上げた脚本を映画会社に売り込みます。
主演も務めたスタローンですが、当初は低予算のB級作品扱いとなり、わずかな上映館でスタートしました。
ところが、映画の評判は徐々に高まり、最終的には世界的規模の大ヒット。アカデミー作品賞まで受賞します。
スタローン自身も無名俳優からロッキー同様、一躍スターダムに上り詰めるという、まさに現実と映画が同時進行するという奇跡が起こります。
このエピソードだけで胸に迫るものがありますが、それを踏まえて本作を観れば、まさしくロッキーとスタローンはオーバーラップします。
もちろん、ロッキーとスタローンとは違う種類の人間です。
スタローンは監督・脚本もできるマルチ人間。ロッキーみたいな不器用な男ではありません。
ですが、先が見えない毎日にもがくロッキーの姿は、当時のスタローンそのものだったでしょう。
ロッキーのキャラクター造形も本当に素晴らしい。
彼は孤独で学もなく、ボクサー崩れの借金取り。ただのチンピラです。
しかし、借金の取り立て時に意をそむいて手加減し、街をふらつく不良少女には生活を改めるよう説教をしてしまう、性根は優しい男です。
そんなロッキーに自分自身を重ねてしまう人は多かったのではないでしょうか。
誰もが共感できるロッキー・バルボアという男だったからこそ、捲土重来の彼の闘いに皆が熱狂したのだと思います。
トレーニング
トレーニングシーンだけで、
ここまで熱くさせる
映画は他にあるのでしょうか?
アポロの試合が決まったロッキーはランニングを始めますが、なまった身体には過酷で、横っ腹を抑えてよろめく始末。
ですが、もともと素質はあったロッキーは、トレーナーのミッキーの指導もあり、次第に見違えるようになっていきます。
そして、あのファンファーレからの「ロッキーのテーマ/Gonna Fly Now」。作曲はビル・コンティ。
これこそ
まさに神曲です。
「Gonna Fly Now」の流れるなか、朝靄がかかる薄汚れた下町を走り始めるロッキー。
パンチングボール、腹筋、片腕立て伏せ。そして、港を全力疾走。
全力で走るロッキーの姿は本当に美しい!!
もうたまらん。たまりません!
これだけで涙がブワッと浮かんでしまうぐらい感動させられます。
そして、フィラデルフィア博物館の階段を駆け上りながらのガッツポーズ。最高です!
「昔は自分もマネして
トレーニングしたよな...」
そんなかつての少年たちは世界中にいたでしょう。
そんなフォロワーが出たのは、ロッキーか
ブルース・リーぐらいだと思います。
感想
完璧な映画です。
ストーリー、登場人物、テーマ、音楽。全てが完璧です。
しかも、主人公が主演俳優とシンクロする、まさにパーフェクトハーモニー。
本作は負け犬たちの映画だと思っています。
ロッキーだけでなく、エイドリアン、ポーリー、ミッキー。
彼らも、とても満足できる人生を送ってきた人たちではありません。
特にポーリーは愚痴ばかり言う大酒飲み。妹のエイドリアンには罵詈雑言を吐く、どうしようもないクズです。
ですが、そんな彼も親友のロッキーのために、必死に何かしようと行動する姿は、今観ると心打たれるものがあります(ちゃっかりガウンの広告料はせしめますが)。
そして、彼を応援する下町の人たち。
裕福ではない彼らが、同じ境遇のロッキーを会場で、そして小さな酒場に集まって応援するシーンをみるとグッときてしまいます。
アポロ・クリード役の
カール・ウェザースも
最高に素晴らしい!!
モハメド・アリをモチーフにしたのは明らかですが、その鍛えあげた筋肉、その佇まい、リング上のパフォーマンスなど、本当に実在する世界チャンピオンの様です。
彼の存在感がなければ、この映画の熱量はかなり下がっていたと思います。
最後のボクシングシーン。今観直すと試合展開はかなり雑です。
1ラウンド目はアポロがテクニックで翻弄。ラウンドが進むうちに、ロッキーのボディブローが効き始め、アポロの余裕がなくなっていく展開と(勝手に)記憶していたのですが...
それが、なんと1ラウンド目にロッキーの強烈なフックがアポロの顔面に被弾!!
しかも、メチャクチャ大振りなフックです。いくら余裕をみせても、あのパンチだけはくらっちゃダメでしょと思える、強烈な一撃。
たまらず絶対王者アポロがひっくり返ります。
ロッキーが圧倒的にやられまくり、根性だけで15ラウンドをしのぐイメージがあったのですが、今見直すと全然違います。
かなり互角です。
ロッキーは努力はしましたが、アポロは一度もダウンしたことがない、破壊の帝王の異名を持つ男。さすがに、この試合展開はないだろうと思いますが...
そんなことは
どーでもいいんです!!
初めてみる若い方でしたら、「こんな試合おかしくね?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、自分で書いて何ですが、この映画に限り、それは関係ありません。
挫折にまみれた二流ボクサーが、最強の世界チャンピオンとリングで相まみえる。
それが大事。それが重要。試合展開は二の次です。
ロッキーのこれまでの人生を追体験している観客の一人として、リングでアポロと拳を交えるだけで感動してしまうのです。
そして、3ラウンド目から流れてくる「The Final Bell。
この曲も鳥ハダものの神曲。これがかかるなか、二人の死闘をみるだけで涙が溢れてしまいます。
そしてファイナルラウンドからのあの映画史に残るラストシーン。
試合には敗れますが、彼は勝つことが目的ではありません。最後までリングに立ち続けることが、彼の最終目的だったのです。
ロッキーは自分の存在価値を、
初めて認めることができたのです。
そしてそれを愛するエイドリアンに証明できた。
最高のエンディングです!!
いつの時代になっても、この映画は多くの人に感動を与えてくれることでしょう。
やはりこの映画は完璧です。
満足度 100点