「ガンマンVS食人族?」
「上映時間2時間12分!?」
B級はおろかC級でもおかしくない、この陳腐なタイトル(でもキライじゃない)の映画がこの長時間!?
...こんなの誰が観るんだよ。
最初、アマプラでみつけた時は、さっさとスルーした本作ですが...
カート・ラッセルが出ているのが気になり、少し調べたところあの映画秘宝が取り上げてるとの記事をみつけ、方向転換。
監督のS ・クレイグ・ザラーもかなりの才人(本作では脚本・音楽も兼任)ということなので、上映時間の尺に腰が引けつつ観賞にいたりました。
この異種格闘技戦、塩試合それとも好勝負になったのでしょうか!?
(2015年公開 上映時間/2時間12分 監督/S ・クレイグ・ザラー)
ストーリー
アメリカの荒野にある田舎町。ある夜、複数の住人が突然姿を消し、納屋では身体を八つ裂きにされた男の遺体が見つかった。
遺体の状態や現場の遺留品から、犯人は食人族として恐れられている原住民であることが判明する。
保安官のハント(カート・ラッセル)、アーサー 、ブルーダー、チコリーの4人の男たちは、拉致された人々を助けるため、足跡をたどって荒野を進み、原住民たちの棲家と思われる洞窟へたどり着くのだが...
感想
この映画は長いです。
食人族たちの棲家へたどり着くまでの道中がとにかく長いです。
ただ、意外とガマン出来たのは、主人公の4人全てに感情移入ができたことでしょう。
彼らは皆、誇り高き大人の男たちです。個人間の衝突はあっても、ヒステリックになることなく卑怯者もいない。
この手の映画の定石として、彼らが全員生還出来るわけではありません。
彼らの物語が長ければ長いほど、その後の残酷な結末を想像するのが怖くなっていきます。
そして、いよいよ食人族たちの棲家に到着。彼らガンマンと食人族が満を持して激突です!!
ここまでガッツリ溜めた分、高揚感を伴うド派手な血なまぐさいアクションがありそうなものですが...
驚くほど静かな殺し合いが始まります。
何の前ぶれもなく、突然、目の前に現れる白塗りの食人族。
反応できず突き刺さる弓矢。致命傷。大げさに恐怖をあおる音楽も、矢継ぎ早なカットも無い。
全てガンマン目線の絶望的な戦い。
静かすぎる死闘が、本当の殺し合いに遭遇しているかのようなリアリティをもたらせます。
そして食人族による陰惨な人体解体(「ソドムの市」っぽい)。
ラストは静かに余韻を残して終わります。
焼き直しのような、ホラーアクション映画が量産される中、とても新鮮な作品でした。
とはいえ...やっぱり長い。
この手のジャンル映画は、さすがに2時間オーバーはカンベンして欲しいもの。
ただガンマンたちの道中あってこそ、終盤における食人族の壮絶さが際立つので、難しいところですかね。
オススメできませんが、個人的には好きな作品です。
満足度 70点