「アオラレ」
いやはや凄いタイトルですよね。
「あおられ運転」をうまい具合に変換しております。
本作は文字通り、あおられ運転を題材にした、ノンストップ・スリラー映画です。
主演はあの大物俳優ラッセル・クロウ。監督はデリック・ボルテ。
観ているこちらも、どれだけアオラレちゃうのか楽しみです!!
(2020年/日本公開2021年 上映時間 1時間33分)
ストーリー
朝寝坊の常習者、美容師のレイチェルは、15歳になる息子のカイルを学校へ送りながら職場に向かう途中、大渋滞に巻き込まれる。
レイチェルは携帯電話で雇い主に謝罪するも、度重なる遅刻にクビとなってしまう。
いら立つ彼女は、信号が青になっても発進しない前の大型車にクラクションを鳴らして追い越したが、後をつけてきたドライバーの大男/トム(ラッセル・クロウ)は真摯な謝罪を要求する。
彼女はそれを拒否し、息子を学校に送り届けるが、ガソリンスタンドに立ち寄った彼女は、先ほどの男が自分を尾行していることに気付く。
狂気に満ちた男のあおり運転が始まり、レイチェルは想像を絶する恐怖を味わうことになる。
登場人物
サイズLL 殺人アオリドライバー トム・クーパー/ラッセル・クロウ
ご存じハリウッドの大物人気俳優。傑作「グラディエーター」ではアカデミー主演男優賞を取ったこともある実力派です。
それにしても、いつの間にこんなにデカくなったのか。
「ワールド・オブ・ライズ」(2010)の時は、監督のリドリースコットから「体重を20キロ増やして欲しい」と言われたそうですが、本作では、さらに増量された巨漢ぶり。もうプロレスラーです。
しかも、こんなデカいガタイのくせに、愛嬌が全くありません。
何もしなくても、この男の持つヤバさ、凶暴性がビンビンと画面から伝わってきます。
ラッセル・クロウ自体、私生活では相当短気な方で、粗暴な振る舞いからトラブルが絶えないそうですが...
彼自身のキャラクターと、人生に絶望したがゆえの、手のつけられない怒りに取り憑かれたトム・クーパーが、まさに一体化。
最恐最悪のあおりドライバーの誕生です。
やらかし美人ママ レイチェル・フリン/カレン・ピストリアス
きれいな女優さんですが、他のキャリアは不明です。多分、本作出演は大抜擢だったのかも。
このレイチェルですが、とにかくだらしがない。
朝寝坊の常習者だけで、正直、自分なら耐えられない御仁ですが、他にも...
スマホに暗証番号登録していない。
給油の途中、ノズルを差し込んだまま、
売店に行く。
その際、車に鍵かけず、しかもスマホは
車内に置きっぱなし。
それに加え、クラクションの
鳴らし方がマジでヒドい!!
青信号で発進しない点はトムも悪いですが、信号無視や、急に飛び出してくる悪質ドライバーとは明らかに違います。
あんな鳴らされ方したら、ほぼ100%近くのドライバーは腹立つってもんです。
しかも、トムは、紳士的な言い方でやんわり注意したにも関わらず、レイチェルは全く聞く耳を持たない。
このレイチェルの態度、
本当にいただけないです。
ただ彼女なりに、深い愛情をもって息子を育てているのが、ヒシヒシと感じられるため、劇中でレイチェルへの不快感はありませんでした。
そういった人物描写が、この映画は本当によく出来ていたと思います。
感想
あおり運転は、ドライバーなら誰もが感じる恐怖。映像化すれば、怖い場面は出来るでしょう。
ただ、それを題材に一本の映画としてまとめるのは、かなり難しかったのではないでしょうか。
その難易度の高い題材を、この映画は軽々とクリアしています。
当然、大迫力のカーチェイス。
狂気に満ちたトムの残忍な所業(あおり運転たけではありません!)
破綻しない物語設定(トムの動機や警察の行動など)
登場人物たちへの共感(ちゃんとレイチェルたちに共感できる)
前半の伏線回収(ムダな場面がありません)
本当に、ありとあらゆるところがスムーズ。ノンストレス。
存分にアオラレ恐怖を体感しながら、映画を観ることができました。
唯一残念だったのは、ラストに向けての展開が、よくあるスラッシャー映画ぽくなってしまったこと。
とはいえ、怒涛の93分。ガッツリ楽しめました♪
満足度 75点
