本日 の 読売新聞に 掲載された 「 編集手帳 」 の ご紹介です。

 

 

 

小林一茶 は 方言を 織り込んだ俳句を 数多く 残している。

 

< せな みせへ 作兵衛店 ( だな ) の 梅だんべへ >。

 

江戸郊外の 葛飾の人々は こんな言葉で 話していた らしい。

 

 

< せな > は 兄 の 意、< みせへ > は 見なさい。

 

「 兄さん、見て ちょうだい、あれが 作兵衛の 店の 梅だよー 」。

 

 

梅は 花の さきがけ だろう。

 

春を待つ気分で 探梅を 楽しむどころでは なかった 3 年前 を 思い出す。

 

マスクの不足が 騒ぎに なり始めた 時期で ある。

 

 

布で 自家製の ものを 作っていた頃を 思えば、隔世の感が ある。

 

政府が 「 原則、マスク着用を 推奨しない 」 と 方針を 改めた。

 

 

3 月 13 日 から と いう。

 

「 脱マスク 」 を どう 進めていくかは 個人の 判断に 委ねられる。

 

かと いって、例外が ないわけでは ない。

 

電車、バスの 混雑時、病院や 高齢者施設 など では 着用を 求められている。

 

感染の 終息に向けて いまが 過渡期と すれば、当然 だろう。

 

病人や お年寄りへの 配慮は 大切だ。

 

多くの人が 言われずとも できる ことに ちがいない。

 

 

すでに 屋外では 不要と されているものの、各地の 梅の 名所に 脱マスクの 光景は まだ ない。

 

次の 花の時節は どうなって いるだろう。

 

もうすぐ、桜だよー。

 

 

コラムは、花見を 楽しもうとする 小林一茶の 俳句の 紹介から 始まる。

 

「 兄さん、見てちょうだい、あれが 作兵衛の店の 梅だよー 」。

 

続けて コロナ禍での、これまでのマスクを巡る 一連の 出来事を 振り返る。

 

さらに 今春、政府が 打ち出した 「 脱マスク 」 の 方針について触れ、一茶の 句に 引っかけて、こう 締めくくる。

 

「 もうすぐ、桜だよー。」

 

これを 読んで 筆者が 思った ことは ――

 

この コラムを書いた 方は、時と 場所を 得た、適切な マスクの着脱を 勧めている のだ と いうことである。