「 プレバト !! 」 と いう テレビ番組が あります。
関東地方では T B S で 毎週 木曜日、 午後 7 時から放映されている バラエティーで、 その うたい文句は 「 芸能人の 査定ランキング ! 」。
これは 水彩画や 生け花、 俳句など いろいろな分野で、芸能人や 著名人が その才能を 競い合うものです。
毎回、 その道の 専門家から 「 お題 」 が 出され、 ゲストが それに 沿った作品を 提出すると 採点されて 「 才能 アリ 」、 「 凡人 」、 「 才能 ナシ 」 に ランク付け されます。
そして 「 才能あり 」 の 獲得が 重なると 「 特待生 」 に 昇格し、 更なる上 の 「 級位 ・ 段位 」 を 目指します。
司会は ダウン タウン の 浜田雅功 さん ( 浜ちゃん )。
筆者は この番組が好きで、 毎週 録画をして 観ているのですが、 その 作品の レベルの高さに 感心することが 度々あります。
特に 水彩画の部門では、 ゲストたちの 描いたものも 上手なのですが、 講師役の 野村 重存 さん の 絵が 本当に 素晴らしい。
筆者は 美術部門には 疎く、 特に 水彩画なんか、 まさに ちんぷん かんぷん なのですが、 それでも、 野村さんの描いた 「 お手本 」 を 観ると、 思わず 「 オー ッ ! 」 と、 歓声を上げることが あります。
それから 美術系の分野には、 他にも 「 消しゴム はんこ 」、 「 和紙 ちぎり絵 」、 「 絵手紙 」 などが あり、 多彩な もの と なっています。
ところで、 この番組の 「 看板 」 と 言えば、 やはり 「 俳句 」だと 思います。
俳人の 夏井いつき さん が 選者を務め、 その 明快で 歯切れのよい、 また、 時には 憎めない 「 毒舌 」 を 交えたコメントは、 観ていて とても 快い(笑)。
今、 全国で、 ちょっと した 俳句ブームが 巻き 起こって いるそうですが、 それは この番組と、 夏井先生の おかげだと 勝手に想像しています(笑)
それで 今回の 小生の ブログ では、 6月 11 日に 放映された、俳句の プレバト を ご紹介します。
ちなみに お題は 「 百円 ショップ 」。
ゲスト に 松原智恵子 さん、 武田真治 さん、 山之内 すず さん などを 招いて、それぞれの 句を 査定します。
松原さんは、往年の 「 日活 三人娘 」 の 一人として 活躍してきました。
「 スター 」 と言えば 「 映画スター 」 のことを 指した、 昭和時代 の 女優さんです。
お若い頃から 芸能界に 入られていて、 浜ちゃんの
「 松原さん。 百円ショップ って、 行ったこと ありますか ? 」 と いう 問いに対して、
「 それが できたころ、 取材で 訪れたことが あります 」。
「 店の中に 入ったことは ? 」
「 前を 通ったことなら あります 」
―― これには 出演者 一同が 大笑い。
そんな 松原さんが 詠んだ句は
目に 楽し ここは 大人の 夜店かな
夏井先生の 講評は
「 『 楽しい 』 などの 感情語は 俳句で 使わないのが 定石だが、この句は 正直な言い方が良く 実感がある 」。
「 一方、 『 大人の夜店 』 の比喩が、 どういう店を 言っているのか 分かりにくい。
「 夏の季語である 『 夜店 』 が 比喩に 使われているため、 季語としての力が 弱いのも 問題 」。
これらを踏まえて、先生が添削したものが 次の句 ――
百均は 大人の 夜店 目に 楽し
今回 招かれた 5 人 の ゲストの中で 一位 と なり、 「 才能あり 」 を 獲得したのは 山之内 すず さん。
18歳 の タレントさん とのこと。
彼女が 詠んだ句が、
風薫る 初のマニキュアは百円
浜ちゃん : 「 さあ ! これは どういう 気持ちで ? 」
山之内 : 「私が 中学生の時、 近所に 百円ショップ が あったんです 」
浜ちゃん : 「 うん 」
山之内 : 「 そこで 夏休みに、 人生 初の マニキュアを買って……。
うれしい 気持ちで お店を 出た 時の 初夏の風が とても 気持ちが良かったことを 思い出して 書きました 」。
浜ちゃん : ( あきれた 口調で ) 「 『 初夏の風 』 言うてんや…… 関西人が 『 初夏の風 』 て ……」
山之内 : 「 関西人が 『 初夏の風 』 言うたら だめ なんですか(笑) 」
…… まあ、 この辺の やりとりの おかしさは、 関東の 片田舎に住む 筆者には 分からないのですが……(笑)
―― そして、 この句の 講評に
「 パッ と 見 では 正直、 上手くは ない。 定型 ( の 五七五 )なら 『 初めての マニキュア 百円 風薫る 』 でも良い。
後半は 12 音の フレーズが 作れている 」。
「 たどたどしいが、 非常に リアルな 体験が 書かれたところも 良い。 季語 『 風薫る 』 と 『 初 』 の字の 初々しさと 響き合い、 若々しさを 感じる 」。
「 手馴 ( だ ) れが、 わざと 初々しい 下手っぽい調べを作ったか、 あるいは ズブの素人が 作ったか の 二択で 迷った。
下手に 直さない方が 句の持ち味が 生きる 」。
と いうことで、この句の 手直しは、 なし。
そして 番組は いよいよ、 梅沢富美男さん の作った俳句の査定に入ります。
梅沢さんは、 今や プレバト俳句 の 最高峰である 「 永世名人 」を 獲得しており、 次の ステップ と して、 その 優秀作品 50 句を 「 句集 」 として 出版しようとの 企画が 進行中です。
これまで 19 句 の掲載が 決まっており、残りの 31句 の完成を 目指しています。
ただし、 そこに載せる句は、 夏井先生の査定を受け、 「 掲載決定 ! 」 の 判定を 仰ぐことになっています。
もし、 「 没 ( ぼつ ) 」 の 判定なら、 その句は シュレッダーに かけられるのです(笑)
それで、 梅沢さんが 「 百円 ショップ 」 の兼題で 詠んだのは ――
シンクの 西日 カップ 焼きそば の 「 ボコン 」
梅沢さんは、この句の 作意を こう 説明します。
「 自分の 事務所の近くに 100 円 ショップ があり、 カップ麺 が 置いてあった。
それを見て、 苦労した時代を 思い出した。
17 歳 の 時は 一人暮らしで、 風呂も ない 部屋。
カップ 焼きそば を 作って、 お湯を シンクに 捨てる時に 『 ボコン 』 と 音が鳴る。
ハッ ! これなのか ! これなのか !
―― 自分の 体験談を 俳句にした 」。
それで、 この句の 季語 は 何なのかと、 筆者も 歳時記を めくって 調べてみました。
すると そこには ――
「 『 西日 』 は 夏の季語。
強烈な 夏の西日は 耐え難いものである。
いつまでも かっと 部屋に差し込んで、 晩夏の やりきれない暑さを印象づける」。
―― なるほど。
作者が まだ 若く、 苦労した 昭和の時代に 住んだのは、 「 風呂のない 」 一部屋。
きっと 夕方の遅くまで 西日が差し込む、 四畳半 くらい の 安アパート だったのでしょう。
その中で、 黙々と カップ 焼きそば を 作る 作者の姿が 浮かんできます。
それで ゲストの人々に、この句の 感想を聞くと、 山之内さんは
「 カップ 焼きそば が 『 ボコン 』 と 言うん ですか ?
そういう 名前の カップ 焼きそば ? 」
―― 松原智恵子 さん の 感想は、 「 わかんない 」 (笑)
まあ 松原さんは、 この番組では 「 大スター 」 という 位置づけなので、 その立場を意識して、 わざと こういう感想を 述べたのかもしれませんが……(笑)
それにしても、今の 若い世代の人たちには、 この句の 意味が すんなりと 伝わらないのかも しれません。
夏井先生の 講評に よると、
「 字面 ( じづら ) 通りに 読むと カップ 焼きそばが 『 ボコン 』 と いう 名前かと 思うよね。
でも、 ちょっと 待て、 と……
昔の シンクは お湯を流すと ボコン と すごい音を 立てて いたよね 」
浜ちゃん : 「 そう、 そう ! あった、 あった ! 」
夏井 : 「 昔の 安いアパートの台所や、 流し に ある ステンレスの方が 音を立てる…… 」
浜ちゃん : 「 そうです ! そうです !」
夏井 : 「 ステンレスの方が 音を 立てているなら、 そう 書かなくっちゃ 」
―― ちなみに、この講評への 浜ちゃんの 共感は すごかった !(笑)
心の底から 「 その通り ! 」 と 同意していました。
やはり、 カップ 焼きそば の 「 ボコン 」 は、 分かる人には、 「 体に 染 みついた 懐かしい経験 」 として 実感できるのでしょう(笑)
ちなみに、 夏井先生が 添削すると ――
湯 捨つれば 西日の シンク 鳴る 「 ボコン 」
それで、この句を 梅沢さんの 句集に 載せるのは 「 没 」 !
夏井先生の 評に よると、
「 私が こうして直せば、これは 本当に 良い句。
でも、 それを 自分の作品として 句集に載せるのは、 オッ ちゃん ( 夏井先生が 梅沢さんを 呼ぶときの 愛称 ) の、 全国に いる お子さんたちの ファンの 期待を 裏切ることに なります。
期待を 裏切らないように、 今後も 勉強してください 」 (笑)
―― 小生ブログは、 今回は これで 終わります。
それで 次回も、これに止まらず、 しつこく カップ 焼きそば の 「 ボコン 」 について 書きますので ご期待く ださい(笑)