少し前の話題だが……

 

4月27日付の読売新聞 ・ 埼玉県版に 「 将棋キッズ 増加中 」 という記事が載った。

 

「 将棋の最年少プロ棋士 ・ 藤井聡太六段 (15) の活躍を受け、県内で、子供の将棋人気が続いている 」 というものだ。

 

その内容は――

 

 

「 パチリ。

 

日曜の22日午前、さいたま市 中央区の雑居ビル2階にある将棋教室 『 北浦和将棋サロン 』 では、学校の教室ほどのスペースで 小学生を中心に、約40人が 将棋盤をはさんでいた」。

 

「 次の一手を考え込んで 盤をにらんでいたのは、小学4年の 浜崎圭真君。

 

藤井六段に憧れて 1年ほど前に将棋を始めた。

 

『 うーん 』 と、うなり声が聞こえてきそうな表情だ。

 

『 プロになって 藤井さんみたいに強くなりたい 』と、はにかみながら話す」。

 

「 2016年10月に藤井六段がプロに昇格して以降、徐々に生徒が増え始めた同サロン。

 

昨年 10月に定員の 50人に達し、募集をストップした」。

 

 

――このような、将棋に熱中する子供たちを支援する親御 (おやご) さんも多いようだ。

 

「 論理的思考力、忍耐力、壁を乗り越える力、冷静沈着な姿勢……。

 

いろいろなものを身につけてほしいと思います」 と語るのは、長男を教室に通わせる父親 (45) 」。

 

「 同サロンを運営する日本将棋連盟 県支部 連合会長の小島一宏さん (59) は、

 

『 じっくり考えることで 集中力が高まることは 確かです。

 

ちょっと前までは ” 将棋は遊びだから やらせたくない ” という親もいたんですよ 』 と苦笑する 」。

 

 

そいうえば、何か月か前の週刊誌の広告に、 「子供に習わせるのなら、囲碁と将棋の どっち? 」 というのが載っていた。

 

「 将棋に熱中している子供をサポートしてあげたい 」 というお父さんの他に、 「 将棋をすることで 勉強の力が付けばいい 」 と考えているお父さんも いることが分かる。

 

ともに、我が子を思う愛情の表れなのだろう。

 

 

ところで ある日、あなたのお子さんが 「 将棋を覚えたい 」 と言い出したら、一体どうすればいいのか?

 

あなたが将棋のルール知っているなら、まずそれを教えて、 お子さんが興味を持ったなら、その後、街中の将棋道場に通わすのがいいと思う。

 

それで、あなたが将棋のルールを知っていて、まあ、そこそこの腕前だとする。

 

そんなあなたが、将棋を教えるときの注意点を、プロ棋士の先崎九段は その著書 『 駒落ちの話 』 でこう述べる。

 

以下は引用 ――

 

「 もし、あなたの身近な人が、 『 今から将棋を覚えたい 』、 もしくは 『 駒の動かし方を知ったので 実際に指してみたい 』 と言い出したら どうするだろうか?

 

絶対に してはいけないのは、いきなり平手 ( ひらて ) で指して、こっぱみじんに してしまうことである。

 

相手が女性ならば、これはもう犯罪と言ってもよい。

 

しかも勝った後、 『 もっと勉強して出直して来な 』 などと言う輩 (やから) は、死刑をもって処せられるだろう」。

 

――まあ、 「相手の力量に合わせて、適切に教えてあげなさい」 ということだと思う。

 

具体的には 、「あなたが駒を落として、指してあげなさい」  ということだ。

 

 

それで、今、 「平手」 とか 「駒を落とす」という言葉が出てきたが、

これはどういうことかと言うと……

 

将棋では  将棋 「盤」 と、 将棋 「駒 (こま)」 を使用する。

 

駒には 「王将」 (おうしょう)、 「飛車」 (ひしゃ)、 「角行」 (かくぎょう。通常は 「かく」 と省略する)、 「金将」 (きんしょう)、 「銀将」 (ぎんしょう)、 「桂馬」 (けいま)、 「香車」 (きょうしゃ)、 「歩兵」 (ふひょう。通常は「ふ」と省略する) の 8種類がある。

 

ゲームの開始時には、将棋盤の自陣 ・ 相手陣 それぞれ所定の位置に、これらの駒を並べる。

 

そして交互に、自分の駒を動かしていく。

 

この中では、飛車 と 角 が 最も 「 強い 」 駒だ。

 

将棋は 相手の王将を 「 詰める 」 ( =逃げ場をなくす) ゲームだが、その王将を 時代劇 『 水戸黄門 』 の 「黄門さま」 にたとえると、飛車 ・ 角は 「助さん」 ・ 「格さん」 に相当する。

 

 

「ん? ならば、 『風車の弥七』 は どの駒なんだ! 『うっかり八兵衛』 は?」

 

「 『かげろう お銀』 は どうなんだ? 将棋駒には  『入浴中の 由美かおる』 みたいなものは、ないのか!」

 

などと、無理難題は言わないでください(汗)

 

とにかく、飛車と角は絶大な力を持った駒だということです。

 

 

それで対局者の双方が、それぞれ全ての駒を使用するのが 「平手」 戦。

一方が、飛車や角などを使わないのを 「駒落ち戦」 という。

 

それを行うときは、まず、全ての駒を盤上に並べてから、対局者の力量の差に応じて、上級者が自陣の駒を駒箱に戻す。

 

戻した駒は、その対局では使用しない。

 

まあ、いわゆる 「ハンディ戦」 である。

 

 

駒落ち将棋では、飛車と角を落とした 「二枚落ち」 が有名だ。

 

上級者が、自分の 飛車 と 角 を使わずに 対戦するのである。

 

この 「二枚落ち」の ハンディはどのくらいかというと……

 

あまり適切ではないが、ゴルフを例にとってみる。

 

 

プロ・ゴルファーと二人で、コースを回ることになった。

 

ゴルフでは、一試合で最大14本のクラブを使用していいそうだ。

 

打ったボールの飛距離が出る、木製の 「ドライバー」 や 「スプーン」。

 

飛距離は さほどではないが、方向のコントロールがしやすい 「5番アイアン」 や 「9番アイアン」。

 

グリーンでのパットを行う 「パター」 などがあるそうだ。

 

ところで 「将棋の二枚落ち」 のハンディは、 あなたが フル・セットのゴルフ・クラブを使い、プロの方は 「5番アイアン」 と 「パター」 の2本だけで コースを回るようなものだ。

 

あ、今、

「そんなのは、まだ、ゼイタクだ!  藤子 不二雄 A の 『プロ・ゴルファー 猿』 は、ドライバー1本で勝負していたぞ」 という声が聞こえてきましたが、あれはマンガの世界の話です(笑)

 

それで、 「二枚落ち (飛車・角落ち) 」 の手合いで、プロ棋士に勝てれば、立派に アマチュア二段の棋力があると言われている。

 

 

話変わって……

 

藤井聡太四段が プロとして初の公式戦に臨んだときの対戦相手は、加藤一二三九段。

 

当時、最年少棋士と最年長棋士との対決ということで 話題になった。

 

「 一二三 」 は名前で、 「 ひふみ 」 とお読みする。

 

段位ではない。

 

「加藤 せん ・ にひゃく ・ さんじゅう ・ く 段」 ではないのだ(笑)

 

デーモン閣下が、よく、 「我が輩の年齢は 10万と55歳である」 と 笑いをとっていたが、それとは違いますので……(笑)

 

 

加藤九段は この対局をきっかけに、バラエティー番組に出演し、 「ひふみん」 と呼ばれて人気が出ることになる。

 

 

ところで、将棋における 「勝敗の決し方」 をご存じだろうか。

 

つまり、将棋は二人で対戦するが、どちらが勝者で、どちらが敗者かを どのように決するか――である。

 

 

野球やサッカーは 決められたターン、あるいは決められた時間内に、より多く得点した方が勝者となるが、それは試合の進行とともに  リアル ・ タイムで表示されるので、選手も観客も、勝敗については一目瞭然 (りょうぜん) だ。

 

相撲は、力士の取り組みを行司がさばいて、勝った方の勝ち名乗りをあげる。

 

このように勝負事においては、勝敗が明確に決まるものが多い。

 

 

ところが、将棋はこれらとは異なる。

 

将棋での勝敗の決し方は、負けを認めた対局者が 「負けました」 と相手に告げるのである。

 

これを 「投了する」 という。

 

 

投了を決意した棋士は、自分の指す番になったとき、駒台に手を添えて 「負けました」 と一礼する。

 

このとき 「ありません」 と告げることもある。

 

―― 「もう 私には、指す手がありません。これ以上指しても、勝ち目はないです」 の意だと思う。

 

 

棋士は自分の負けを認めたとき、数分間 目を閉じて 高ぶった気持ちを静める。

 

記録係から棋譜を取り寄せて 指し手を振り返り、敗因を探る。

 

それからお茶をひとくち飲んで、 喉をうるおしてから はっきりと投了を告げる。

 

このように、敗者が、それを相手に告げるというゲームは、珍しいのではないだろうか。