満月さんのブログに 「 ジブリと ガラスの仮面 」 という記事が掲載された。
兵庫県で開催されている 「ジブリの大博覧会」 と、 「ガラスの仮面展」が紹介されている。
筆者は 「 ジブリ 」 の方は不得意だが、 「 ガラスの仮面 」 は大好物なのだ(笑)
記事によると 「 ガラスの仮面展 」 は 「神戸そごう」 で開かれている。
その開催を告げるポスターの2枚目には、 「 ガラスの仮面 」 の名場面が5つ、載っている。
紙面中央にあるのは、主人公の北島マヤが、セーラー服姿で 一生懸命走っている場面だ。
「 どこかで見た構図だな 」と思って 手持ちの単行本を めくってみると、なんと 第1巻の冒頭の場面だった。
この長編マンガの まさに 「その第1ページ!」 だったのだ(笑)
マヤが走っている場面の右にあるカット――
緑色の髪をした姫川亜弓と、マヤが、ともに相手に片手を置いて、
彼方を見つめている場面は、単行本第37巻の 「表紙」 である。
その上の、マヤが上半身に添え木のようなものをあてて ひざまずいているシーン。
―― 背後に黄色い後光が射している(笑)
これは第8巻 「舞台あらし (2) 」 で 「石の微笑」 という芝居の 人形役を演じたときのものだ。
「人形としての動き」 をつかませるため、月影先生が マヤの上半身に 竹でできた 「 枷 (かせ) 」 を科したのだ。
まあ、 「巨人の星」 の飛雄馬が幼いころ、父 一徹につけられた
「大リーグボール養成ギプス」 のようなものである(笑)
なお、左と下のカットは 筆者の力不足で、出典が分からなかった。
「 ガラスの仮面展 」 のグッズ コーナーには 「泥まんじゅう」 というものが販売されている。
満月さんの説明によると、
「 ”泥まんじゅう” の チョコ クランチです!
こちらは、漫画を読んだ人なら笑うはず」
これをもう少し詳しく言うと……
単行本 第16巻で マヤは、 「乙部のりえ」 の巡らした策略のため ショックを受け、演技ができなくなる。
どこからも仕事のオファーがこなくなり、芸能界からの引退を決意すると、それを知った速水真澄から、
「 明日 初日を迎える大都劇場での芝居に 欠員が生じた。
ほんの端役だが、最後の舞台として、きみに やってもらいたい。
それが終わったら、大都芸能との契約を解消してやる 」
と言われ、それに同意する。
ところが、北島マヤが代演で出ることを知った役者たちが、このような悪だくみを したのだ。
「 なに、あの子。北島マヤじゃない。演劇をやめたって聞いていたのに……」
「 乞食 (こじき) 役の代役ですってよ。あんな事件を起こした人が、よく出られたものね。 図々しい」
「 ねえ、いいこと思いついたわ。あの子を困らせてやらない 」
「 どうするの?」
「 あのね…… 」
「 ぷー。それは面白いわ。あの子、困るわよ きっと 」
いよいよ開演となった。
速水氏は舞台の袖で
「 しっかり やってこい。ここで見ている 」と声をかける。
そして舞台に向かうマヤに背を向けると、手にしたコートの下から
紫のバラを一輪 取り出す。
「 最後の虹の中を歩いてくるがいい、マヤ。おれがここで見とどけていてやる……」。
幕が開くと、村の子どもたちが、乞食たちを はやしたてている。
マヤは 「トキ」 という、乞食の女の子を演じている。
「 やーい、やーい。盗っ人! こじき! とっとと出ていけ~ 」
そして手にした石を、トキたちに投げつける。
そのうちの一つが、マヤの額にあたり
「 ガツッ! 」
「 うう! 」
「 ちょっと! 今、音がしませんでした?」
「 監督! マヤさんの額に血が! 誰か本物の石を使っています!」
「 なに!」
しかしマヤは 「 これが最後の舞台! 」と我慢して、演技を続ける。
場面は進み、姫川亜弓が演じる 「 夜叉 (やしゃ)姫 」 の一行が登場する。
「 あー! お侍だ! 」
「 夜叉姫様の おかごだ! 」
侍が、乞食をいじめる 村の子どもたちに
「 おまえたち! 行った、行った! 」
乞食たち :
「 ありがとうごぜえます。ありがとうごぜえます 」
侍 :
「 そなたたち、この城下の者か? 」
「 めっそうな! 流れ者でごぜえます。国で食えなくて、こうして
人さまのお慈悲にすがって生きております」
「 そうか。この城下の者にいじめられて 気の毒なことをした。
詫びに そなたたちに、まんじゅうでも進ぜよう。
これ! ここへ持て!」
――「 さあ、遠慮せずに食べるがよい 」
「 おそれ多く ございます 」
トキが 待ちきれないとばかりに身を乗り出す。
母親役が それを たしなめる。
「 これ! トキ! 」
女中が重箱の ふたを開けると、中から現れたのは……
「 監督! 見てください! あの重箱が置いてあったあとに、
こんなものが 落ちていたんです!
泥ですよ! 誰かが すり替えたんです! 」
「 なんだと! じゃあ、あの中身は……! 」
――役者たちは、重箱の中を見て唖然とする。
そこに入っていたのは ―― 泥まんじゅう!
マヤ :
「 泥まんじゅう……! どうしよう……
いったい誰が こんな……!
この泥まんじゅうを食べなければ あとが続かない……
どうすればいい……」
監督 :
「 だめだ! 舞台の上は役者の世界! おれたちには どうすることもできない! 」
マヤ :
「 でも……ここは舞台の上。 『 夜叉姫物語 』 の世界 」
徐々にマヤは 「トキ」 の仮面を かぶっていく。
( ああ うめえ ああ うめえ おら こんなうめえもの 食ったことねえ )
( 食ったことねえ 食ったことねえ )
( こんな うめえもの 食ったことねえ)
それから 両手に泥まんじゅうを わしづかみにすると
「 お おら こんなでっけえ まんじゅう 見たこともねえ。
びっくりして 口も きけなんだ。
お おら うれしかァ……」
そう言って 「 ジャリ 」 と食べ始める。
「 ああ うめえ うめえ。
おら こんなうめえもの食ったなァ はじめてだ。
( ジャリ ジャリ )
うめえ おとう うめえよ 」
監督たち :
「 ひええ……! 泥まんじゅうを! 」
「 なんて むちゃな子だ! 」
速水 :
「 マヤ! おまえは…! おまえは…!」
マヤ:
( ジャリ ジャリ )
( トキだ! トキだ! おら トキだ! )
( おらあ トキだ! ) ( ジャリ ジャリ …… )
舞台からおりると、マヤは速水氏の手当てを受ける。
「 さ! 残らず泥を吐くんだ! 全部吐いてしまえ!
でなきゃ ここを出さんぞ! 」
「 ゲボッ ゼイ ゼイ 」
「 まさか本当に食べるなんて 」
「 わたしたちの仕掛けた泥まんじゅうを…… 」
「 なんて子なの…… 」
「 あの場面で必要だと思ったから食べたのでしょう。あの子の役者としての本能でね 」
「 亜弓さん! 」
「 今の話を? 」
「 あきれたものね。あなた方は舞台を つぶす気だったの?
相手が あの子だったことを感謝するのね。あの子だから舞台を守れたのよ。
おそらくは あの子……
これは泥だからとか、食べれば おなかをこわすとか、そんなこと
考えもしなかったに違いないわ……
トキだから食べた…… そうよ トキだから食べたのよ」
「 うっ! 」
「 やはり、おそろしい子…… 」
この経験が、マヤに芝居への熱意をよみがえらせる。
舞台衣装から私服に着替えたマヤは、鏡を見ながら
「 これがあたし…… もとのあたし。 北島マヤ……
これから ずうっとこのままで生きていくの……何の取り柄もない
もとの あたしに戻って……」
「 いや! お芝居がしたい! もう一度やりたい……!」
――このように 泥まんじゅうは、失せてしまった情熱を再び、取り戻してくれるかもしれませんね(笑)
