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■2024米大統領選挙について

さて、2024年は米国大統領選挙がある。

翔子「本選は11月5日ですね」

うむ。以前から言っている通り、米国の政局の変化は、日本にとっても(世界にとっても)結構影響が大きい話なので、今回は2024米国大統領選挙関連の動向について考察してみたい。



■米国大統領選挙の仕組み(超ざっくり)

米国の2024大統領選挙のスケジュールをざっくり説明すると。

米国の大統領選挙は4年に一度。大統領の任期が4年なので。

11月の本選は、通常は事実上「米国民主党の大統領指名候補(1名)」と「共和党の大統領指名候補(1名)」の一騎打ちになる。
他に無所属の候補などが出ることもあるが、大半のケースではそれは「泡沫」扱いで、「事実上の一騎打ち」の構図はほぼ不変。

真琴「つまり大統領になるには、まず米国民主党か共和党のどちらかの党の指名候補になる必要がある、と」

うむ。

そして指名候補の決定は、両党とも「夏の全国党大会」で行われる(7月~8月)。ここで両党の大統領候補が正式に指名される訳だ。

その「夏の全国党大会」に向けて、1月頃から各党で予備選挙や党員集会が各州で行われ、何ヶ月もかけて指名候補選びが進行していく訳だ。

翔子「既に共和党は初戦のアイオワ州党員集会の結果が出ていますね」



■11月の米大統領選に向けた各党の指名候補争い

両党とも熾烈な指名候補争いが実施されるケースも多いが、今回は米国民主党についてはほぼ「実質、既にバイデンで決まり」という情勢の模様。

つまり今年注目されているのは共和党の指名候補争いである。

そして初戦のアイオワ州では「トランプ圧勝」という結果が出ている。

米大統領選 共和党“候補者選び”トランプ氏が初戦圧勝


米大統領選 共和党候補者選び初戦 トランプ氏大差で勝利

 


真琴「共和党は他にどんな候補がいるのですか?」

共和党のアイオワ州の得票順位順に4位まで並べると(100%開票確定結果ではないが)

 

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トランプ   :51%
デサンティス:21%
ヘイリー   :19%
ラマスワミ  : 8%弱

くらいの情勢らしい。これ以下の候補はもう事実上レースから脱落に近いだろう。

翔子「トランプはダブルスコア以上の圧勝ですね…」

生姜教授「ふん。アイオワ州は保守の牙城だからトランプが勝っただけ。トランプの勢いはどうせ初戦だけだろう」

ま、必ずしも「この結果が全米での支持を表す」ものではないのは事実。とはいえ、「予想以上のトランプ圧勝」の結果ではあろう。

尚、2016年、トランプが大統領選挙に勝った年の指名候補争いも初戦はアイオワ州だったが、その時はトランプはアイオワ州党員集会では1位は穫れなかった(=負けた)。それでもトランプは最終的には指名候補争いに勝ち、本選の大統領選挙でも勝っている事実。

それが今回は初戦のアイオワでこれほどの大圧勝。今回のトランプの「得票率51%」は歴代のアイオワ州共和党の得票率で史上最高の得票率をマークしたらしい。

普通に考えれば、今のトランプは「2016年の時を上回る勢いがある」と見るべきではないだろうか。つまり…

真琴「あっ…(察し)」



■結果を踏まえての考察

ここまでが概ね「客観的事実」として。ここからは「個人的意見」も交えた考察である。

ワイは以前から言っている通り、トランプをあまり支持していない(全否定ではないが)。

個人的に「共和党大統領」に対する忌避感情みたいなものは別に全くないが、次の大統領として「トランプ再登板」という展開はあまり望んでいない。

生姜教授「貴様、右翼、保守派ではなかったのか!?」

何を言っている?

ワイは自身を右翼だと思ったことは一度もないし、保守派を自称もしていない。日本や韓国の「エセリベラル(レッドチーム)」は大嫌いだが、米国の政党で言えば「概ね中立(案件毎に是々非々)、やや米国民主党寄り」くらいのスタンスでずっとやってきている。

翔子「センター長は、国際的基準では『中道ややリベラル』程度、って以前から言ってますよね」

前回中間選挙2022あたりの記事も参照されたい。

新日本FC その19:米国中間選挙2022の結果考察と今後の展望

 



新日本FC その14:米国中間選挙について(妊娠中絶問題)

 



そのワイから見ても、「これは米国でトランプの支持はかなり勢いあるんじゃね?」と考えざるを得ない結果だと感じる。

真琴「具体的にはどのような部分でしょうか?」

まず、有力候補の一人で上記アイオワ州の得票順位4位に入っていた米実業家ラマスワミ氏が、この結果を受けて指名争いから撤退すると表明し、トランプ前大統領を支持する意向を明言している。

翔子「では、今後はラマスワミ分の8%弱の支持も加わって、トランプが60%近い支持に?」

ま、支持・得票というのは必ずしもそう単純な足し算の話ではない。

が、「ラマスワミ脱落」は想定内だとしても、「4番手だった(有力候補の)ラマスワミが脱落後にどの候補支持に回るのか?」という部分で、彼が「トランプを選んだ」、という意味は決して小さくない。

当然だが候補者達は「世論がどちらに流れているか?」「どの候補に今勢いがあるか?」を誰よりも肌で感じている訳で、この選択はつまり「勢いはトランプにあり!」という実態を意味する要素の一つとなるだろう。

ラマスワミだけでなく、同様に今回の指名争いから脱落したスコット上院議員も19日、トランプ支持を表明している。



トランプ陣営に保守派結集 元ライバルが続々と推薦

 


スコット上院議員は元々ヘイリー(アイオワで3位の候補)と懇意であり、共和党でただ一人の黒人の上院議員として、ヘイリー陣営が是非とも味方に取り込みたかった人物であり。

そのスコット上院議員ですらも「ヘイリーではなくトランプを選んだ」というのが直近の動きで。

他に、かつてトランプのライバルとして指名を争ったテッド・クルーズ上院議員やマルコ・ルビオ上院議員なども既に「トランプ支持」を明言している。

真琴「これもう、共和党指名候補は完全にトランプ圧勝の流れになってませんか?」

ま、現段階でそこまで言うのは少々「言い過ぎ」かもしれん。まだ序盤も序盤、最序盤であり。

とはいえ、「現時点で共和党の指名争いで優位に立っているのは誰か?」と言えば、客観的にみて「トランプ」なのは間違いないだろう。

場合によっては3月のスーパーチューズデー前にも早々に指名候補が実質確定している展開もあり得そうなくらいで。

日本のマスコミなどでは「ヘイリーが猛追!」みたいなヘイリー推しの報道(希望的観測?)も多かったような印象であるが、「ヘイリーの人気が急上昇中で勢いが凄い!」みたいな説がもし「真実」であれば、上記のような結果・流れにはならなかったのではないか? とは思える。

そして世論調査などでもトランプ支持はバイデンを上回っている傾向が最近は多く見られるので、本選でもかなりの有力候補になる可能性はありそうで。

翔子「勿論、本選はだいぶ先の話なので、支持率などはそれまでにかなりの変動も有り得ますが」


以前から、日米のマスコミや自称識者などの間では『トランプ氏退潮鮮明! もはや彼は終わった政治家!』みたいな報道や意見もわりと多かったが、実態を見る限り「それは現実から乖離した希望的観測?に過ぎない」と感じる。

客観的に見れば、現状、トランプの大統領への「返り咲き」は「十二分に現実味のある話」だということ。日本としても当面そのつもりで動く必要があるだろう。



■おい、米国民主党は今後どうすんだ?

上記考察を踏まえ。大統領選で一応は「米国民主党主流派」支持であるワイとしては、以下のような幾つかの問題が気にかかる訳で。

【米国民主党の指名候補は今回も本当にバイデンでいいのか?】
という問題。

【「トランプ予備選出馬禁止のコロラド州判決」とかは、むしろ完全に逆効果(トランプ支持を勢いづかせるだけ)だったのではないか?】
という問題。

【米国民主党(リベラル派)は現実を直視し、もっと謙虚に中道や共和党支持者達の声にも耳を傾けないと本気でヤバいんじゃね?】
という問題。

ま、既に結構な長文なので、そのへんの考察はいずれまたの機会に。