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本当にあった怖い話9

憂鬱の森 最終章「謝罪」


【その日僕らは まさか57人目になるなんて思いもしなかった】



憂鬱の森に入る前、旅人が言っていたことを思い返す


旅人「今日、僕等で57体目ですやん」


今年ここ青木ヶ原樹海では

50体もの遺体が捜索の末 発見されたらしい


今日、旅番組の撮影のため樹海に入った人間は7人

このまま僕らの体が冷たくなれば今年57体目の遺体が完成する



日は大分暮れ始め、ぐにょぐにょした根元から無数に生える木々

その枝にびっしりこびりついている葉はいっそう濃い緑と化す


旅人も・・・スタッフの誰一人口を開こうとはしなかった





「もう駄目か・・・」


などと考えていると いつのまにかガイドが近くまで駆け寄っていた


「見つかりました!! 帰り道!!!」


この時のガイドの顔はポーカーフェイスとは程遠い

半ば泣き崩れそうになっているように見えた


イヤホンから聞こえる声の持ち主とポーカーフェイスの持ち主が

もっとも近づいた瞬間だった




道なき樹海から歩道が整備された場所までたどり着くと

「おおっ!!やった!!」「いやー助かった!!」など一同歓喜の声が上がる



皆の歓喜の声を聞きながらも僕は・・・

この生還は「紙一重だったな・・・・・」と思う 


それは今現在も考えることだが、もし僕やKYさんが【不快な音】に耐え切れず

誰かにその内容を話してしまい、それを聞いた誰かがパニックになっていたら


もしいつまでたってもガイドが【帰り道】を見つけられなかったら


約1年経った今も、僕達は樹海の中を彷徨っていたかもしれないのだ





地元のガイドさん、【帰り道】を見つけてくれてありがとう

途中から不信感のあまり【地元ガイドさん→地元ガイド→ガイド】

などと呼び捨てで書いてしまってごめんなさい


そして音声担当のKYさん

本当はKが苗字でYが名前だから

イニシャルは「YKさん」と書かなければいけないのに

以前流行した 空気読めない人の「KY」のほうが響きが面白い

という理由だけで「KYさん」にしてしまい申し訳なく思っています


あなたは現場の空気が読めるすばらしい男でした




さて樹海を無事脱出した一同だが、この後またまた樹海に入り

噴火口から流れ出た溶岩が冷却と溶解の果てに出来た洞窟【富士風穴】に入る 


そこは摂氏0度 洞窟の中一面がほぼ1年中氷に覆われた神秘的な世界

そこで皆が見たものは!? 音声担当YKさんを襲った悲劇とは!?

このお話はまた別の機会に・・・・・


                         憂鬱の森  終わり

本当にあった怖い話8

〇憂鬱の森 第8章「憂鬱」


ポーカーフェイスのガイドが皆の前でしゃべる


「もうすぐ歩道があるところに出られるはずなので
またここで待っていて下さい。道を探してきます」


と言い残すと僕等に背を向け、立ち去る


相変わらず僕がしているイヤホンと

音声のKYさんのしているヘッドホンからは

「くそっ」とか「まじかよっ」

といったガイドのぼやきが聞こえてくる



僕がADに目で合図すると

ADは口をぱくぱくさせながら

スタッフとガイドが両方見える中間地点に移動し

ガイドが逃げ出さないよう監視する




初夏とはいえ樹海の中はみょうに湿度が高く感じ

2時間以上歩きつづけているせいもあり、皆汗ばんでいた


日が暮れてきたせいか、周囲の木々の緑が濃くなった気がする


ガイドのぼやきが聞こえないスタッフ達も

憂鬱な気持ちを隠し切れずざわついていた

「こういう時はですねええ、落ち着いてですねええ・・・」

もみあげと同化し、口の周りを一周しているどころか

顔の半分から下は白い髭が支配しているY監督はつづける

「彼を(ガイド)刺激するような言動はですねええ・・・」

白い髭の中心にある口が最高潮にとがっている

このY監督、撮影の時も混乱してくると口が鳥のようになる

「とにかく彼の気持ちを刺激しちゃいかん」

鼻息を荒くしながら話すY監督を見てふと思う

【この人を刺激するのが一番危険なのでは・・・】




ガイドの姿はよく見えなくなっていたが

イヤホンからぼやき声が聞こえてくるので

半径50m以内にいるのはわかっていた

ワイヤレスマイクの電波が届く距離は約50mである

ADの監視業務も続いている




目の前に広がる樹海を360度ぐるりと見渡してみる


妙にぐにゃぐにゃ曲がっている木々の根元


鬱蒼と茂る濃い緑の葉


この森でさまよい遭難した人達が


死に逝く前にみた憂鬱な景色を今自分も見ている

               
                  つづく

本当にあった怖い話7

hiroです

樹海に撮影で入る時は 木々に印をつけながら進むか

何kmもある長いロープをたらしながら入り

帰りはそのロープをたどって帰るのが一般的のよう

この日の撮影スタイルはちょっと無謀だったようです








〇憂鬱の森 第7章「ポーカーフェイス」


道を探しに行ったガイドが戻ってきた


特にあせっている様子は見せず



「ちょっといつも通っている道から外れたようなので・・・」


ガイドがきりだす



「一度噴火口まで戻ってみてはいかがでしょうか?」


Y監督が提案する




「そうですね・・・一度戻りましょう」



一同 先ほど撮影していた噴火口に戻ることに


噴火口までの道のりはなんとなく覚えていた


「道がそれた?」と気づいたとき

「ここまでは自力でも戻れるように・・・」と気にしていた



ところでこのガイド、かなりのポーカーフェイスである


イヤホンから聞こえてくる声の持ち主と

皆の前でひょうひょうと喋っているこの男

同一人物とは到底思えない



ガイドの心境を探る為 話しかけてみる


「何度入っても覚えられる道じゃないですよねえ」


「・・・・」


「今日はたまたまそれちゃっただけですよ」


台詞のような言い方でポーカーフェイスのガイドが返す


「うそつけ!!」 


僕の胸にピンマイクはついていなかったが

念のため心の中でつぶやいた



無事噴火口に戻れると一同安堵し

笑顔がもれ、冗談話なども始まった



ピンマイクからもれる不快な音は

常に僕と音声のKYさんのみ聞くことが出来た


そして不快な音の内容を、僕達は皆に喋らなかったのだ




噴火口から再スタートをきりしばらくすると


また聞こえてきたのだ・・・


僕と音声のKYさんのみ聞くことが出来る音


「あれっ、何処だここ、くそっ、ぜんぜんわかんねえ」

                 
                   つづく

本当にあった怖い話6

hiroです

目隠しをしたまま 道無き樹海に入り

5分も歩けば 簡単に遭難できると思う

素人の僕達に 樹海中心部の景色は360度同じに見える

何度も樹海に入っている地元のガイドさんですら道に迷うのだから










〇憂鬱の森 第6章「不快な音」



それまで先頭を猛進していたガイドの足が止まる



「すみません、ちょっとここで待っていてください」

と言い残し、足早にその場から立ち去った





一同に緊張が走る




樹海のど真ん中で、僕等は取り残されたのだ



「ええっ!! 大丈夫なんだろうか!?」

と髭(ひげ)のディレクター



鼻の下から顎にかけてびっしりと生やした髭は真っ白で

巨人軍の長嶋監督(終身名誉監督)の口調に似たしゃべりかたをする


皆に「Y監督」と呼ばれている彼は

有名な映画監督のもとで長いこと助監督をつとめ

自らも監督をし、映画作品を残しているベテランだ




帰り道を探しに行ったであろうガイドの姿がどんどん小さくなる



「とりあえずスタッフとガイドが両方見える中間地点に移動して彼の様子見といて」

と僕はADに指示を出す 



今ここでガイドの姿を見失うのは危険に感じた



憂鬱の森に入る前に聞いた『不快な音』を思い出す



この番組の冒頭となるシーン



旅人と地元のガイドさんが出会うところを撮影している時


旅人「いやー、今日はよろしくお願いします」

ガイド「こちらこそ」


旅人「樹海 怖いわあ、遭難する人ぎょうさんおるでしょ?」

ガイド「この前捜索してねえ・・・」


旅人「はあ・・・」



ガイド「今年50体目が見つかりました」

旅人「えええっ!!   ・・・遺体でっかあ!!」



旅人「ほな、ひい ふう みい・・・」


旅人はスタッフの数を数え始め


旅人「今日、僕等で57体目ですやん」


「カーット!!! OK!!!」



白髭を生やしたY監督の声がひびきわたる


Y監督「じゃ、スタッフの皆さん入山の準備してください」



おのおの準備に入り、ADが無駄にバタバタ始める



僕も撮影をやめて準備しようとしたその時、不快な音が




「帰り道、自信ねえんだよな・・・」

!!???


音声担当のKYさんとカメラを置こうとした僕の目が合う



ADが無駄にバタバタしていたのと


ガイドがつぶやくような小さい声で言った為


ヘッドホンで彼の声を聞いていたKYさんと


イヤホンで彼の声を聞いていた僕以外の人間には聞こえなかったようだ

                            つづく

本当にあった怖い話5

hiroです

噴火口の迫力は凄かったです

また行きたいとは思いませんが









○憂鬱の森 第5章「台詞(セリフ)」



ひと通り噴火口での撮影が終わり

次に目指すはいよいよ・・・



「さあ!この噴火口から溶岩の道をたどり

富士風穴を探しましょー!!」


と地元ガイドさんの掛け声で一同下山へ


噴火口での撮影でテンションがあがったせいか

地元ガイドさんの足取りは軽い



しかし・・・


しばらく歩くとなんとなく違和感が・・・


スタッフの何人かも気づいたようだ


「あれっ! 来た道と違うんじゃないだろうか!?」

と、髭(ひげ)のディレクター



スタッフ達がざわめき始める



先ほどの地元ガイドの掛け声は

テレビ用の・・・


いわゆる台詞(セリフ)であって

本当に溶岩の道をたどって樹海をさまよえば

あっという間に遭難してしまう




そういえばこの地元ガイドは台詞(セリフ)が多かった



撮影し始めた頃、入山する装備の説明の際

「この携帯GPSと方位磁針があれば樹海で迷うことはないよ」

と言っていたが・・・


カメラが回っていないとき(撮影していないとき)

「この携帯GPSは大体の位置しか解らないからねえ」


なんて言う


悪い予感が駆け巡る


そもそも・・・


・・・・・・


これは全スタッフが知っていたことだが



今日の山梨県の空は厚い雲で覆われており


GPSの電波は最初から僕等のもとには届いていなかったのだから



地元ガイドの声がイヤホンから聞こえてきた


「やばい・・・道わかんねえ・・・どうしよう」


カメラは回っていなかったので


どうやら台詞(セリフ)ではないらし・・・

              つづく

本当にあった怖い話4

hiroです

へたくそな文章ですみません

それでも懲りずに中盤戦いきます







○憂鬱の森 第4章「噴火口」


初夏の山梨県、とある旅番組の撮影で

富士山のふもと、青木ヶ原樹海に入っていた



出演者は2名、番組の旅人と地元のガイドさん


撮影スタッフはカメラマンの僕を含め5名


計7名が富士の噴火口めざし歩いていた




樹海の中は湿度が高いせいか、皆汗ばんでいた


午後2時過ぎに入山し、樹海を歩くこと約40分



なんと!!


念願の!!


富士噴火口のひとつが見えてきたのだ!!


「おおおっ!!」


一同 思わず声が漏れる


絶景である


パックリと開いたその口は

テレビなどで見た事のあるブラックホールのようで


広大な漆黒の闇は深く

吸い込まれたら最後

アルゼンチン沖を通り超え

宇宙にでもつながっているのでは!?


とさえ 妄想パンチライナーである



同じ噴火口でも 


エメラルドグリーンに輝く火口湖


宮城県の蔵王のお釜を見たときのような

すがすがしい感動は無く


背筋が凍りつくような感覚を覚える


どこからともなく


何者かの嗚咽が聞こえてきそうで


思わずカメラのビューファインダーから目をはずす



そこには深い緑、樹海が広がっていた

                  つづく

本当にあった怖い話3

hiroです

僕らは撮影の現場で

出演者が話す言葉を よりクリアーに録音するため

出演者の胸元などに ピンマイクを装着します

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この小型マイクのおかげで

周囲が多少うるさくても

驚くほど鮮明に音声を録音出来るのです

ただその鮮明さが仇となるときも・・・











〇憂鬱の森 第3章「ピンマイクの恐怖」



通常、テレビ取材の際



出演者には小型のマイクをつける(ピンマイク)




そのマイクはワイヤレスで(ケーブル無し)


見通しの良いところならば 50m位電波が飛ぶのだ



つまり50m離れても声は鮮明に録音する事が出来る





撮影で富士樹海に入るこの日も例外なく


出演者の旅人と、地元ガイドさんにピンマイクをつけた




マイクがついているのを見えないようにする為



マイクをガムテープなどで、洋服の内側に貼りつける



すると不思議、マイクをつけ慣れている人達も

マイクが自分の胸元についているのを 

いつの間にか忘れる




タレントさんなどはさすがに無いが

よくテレビに出る素人さんなどは


マイクをつけたまま・・・


マイクの電源を入れたまま・・・



トイレに・・・





すると・・・



音声さんと・・・



収録の音をイヤホンで確認している

カメラマンは・・・




★★★★★★★★



不快な音を・・・




まあよくある話で

僕も音声さんも年間56人位



聞いてはいけない音や

聞いてはいけない独り言など聞いている




テレビ局から取材などを受ける祭


マイクをつけられたら


要注意!! 悪口盗聴されますよ!!


あの日樹海に入る前

憂鬱の森に入る準備をしている時

不快な音は僕らに聞こえていた・・・

          つづく


本当にあった怖い話2

hiroです

樹海にも歩道が整地されている所があります

その辺りは撮影で何度も・・・

でも深海部分に触れたのは初めてでした








〇憂鬱の森 第2章「風穴」


きっかけはそう・・・

富士の樹海の腹心部にもぐるロケ



富士山の噴火によって出来た「富士風穴」

溶岩の通り道が冷却と溶解の果てに出来た



天然洞窟



富士山の裾野


樹海の地下にはいくつもの風穴や氷穴といった

国の天然記念物に指定されている空洞がある



KOHさんが行った鳴沢氷穴もそのひとつで

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歩道が整備され、一般公開されている




まずはその風穴達の生みの親である


噴火口を探しに行く為、スタッフは樹海に入り込む




ちょっとした大人の冒険である




しかし、この冒険が 悲劇の幕開けになることを

僕と音声担当のKYさんだけは密かに知っていた



いや、知ってしまう状況を 自らつくっていたのである 





誰にも言えない その真実を・・・

                 つづく

本当にあった怖い話1

hiroです

義務教育を受けていた時以来

約20年ぶりに作文を書いてみました

この物語はノンフィクションです








〇憂鬱の森 第1章 「樹海」


その日僕らは まさか57人目になるなんて思いもしなかった



2009年初夏 深い灰色の雲に覆われた空から

忘れられない事件は舞い降りた



とある旅番組の撮影で訪れた富士樹海


旅人1名 地元ガイドさん1名 

スタッフ 

ディレクター、カメラマン(自分)、ビデオエンジニア、音声、AD

計7人が、半ば霧がかった樹海へ足を踏み入れる



地元ガイドさんは言う

「この携帯GPSと方位磁針があれば樹海で迷うことはないよ」

・・・・んっ?

樹海で方位磁針は使えないのでは・・・・・?

実はそれは迷信で、樹海の地面は溶岩で覆われており

磁石のようなものなのだが、その磁力はそんなに強くなく

地面近くで方位磁針をかざすと 針があさっての方向を向いたりするが

胸の高さまでそれをあげれば基本的に針が狂うことはない

そして科学の力GPSがあるのだから・・・



メンバーのほとんどは疑いもなく、道なき道を進み

鬱蒼とした樹海に入りこむ

それはまさに飛んで火に入る初夏の虫

樹木が輝くために生命を欲する格好の場

人の体液を吸い続け 深い緑に変えていく

そんな樹海の貪欲さを妄想するくらい

その日僕らが見渡す景色は 絶望的な緑だった

                 つづく

編集を終えて

KOHです。

今日、先日撮影した北海道ロケの仕上げ作業が終わりました。
試写を終えた直後の、今回の出演者からの熱意溢れる握手。
これまでの葛藤や紆余曲折、苦悩が一瞬にして消えた瞬間。
自分の感じたロケ現場への愛情と、スタッフに敷いた無茶が報われた瞬間でした。

相棒として共に悩み、知恵を出しあって撮影に取り組んでくれたスタッフ達には、まず先に、この喜びを伝えたいと思いました。

帰り際に出演者がADを通じて、
『お前、最高!』
『また、一緒に仕事したい』
と伝言を残してくれた。

一生忘れられない一言です。