■法定後見人とは
法定後見制度は、すでに判断能力が不十分になってしまった方(認知症、知的障害、精神障害など)を法的に保護・支援するための制度です。家庭裁判所が後見人を選任し、ご本人の利益のために財産管理や契約行為を支援します。
法定後見人には本人の判断能力の程度によって、重い順に「成年後見人」「保佐人」「補助人」があります。
■法定後見制度の申立ての流れ(概要)
法定後見制度の利用は、家庭裁判所への申立てから始まります。
1.申立ての準備:申立人(本人、配偶者、四親等内の親族など)を決め、医師の診断書や必要書類を収集・作成します。
2.家庭裁判所への申立て:本人の住所地を管轄する家庭裁判所に書類を提出します。
3.審理:家庭裁判所の職員による申立人や候補者との面接、本人との面談が行われます。
必要に応じて本人の精神鑑定が行われることもあります(鑑定費用が発生します)。
4.審判:家庭裁判所が本人の判断能力の程度を判断し、後見開始の審判と成年後見人等を選任します。
<注意点>
申立人が推薦した候補者(親族など)が必ず選ばれるとは限らず、弁護士、司法書士などの専門家が選任されることもあります。
登記・業務開始:審判が確定すると、法務局で登記され、選任された後見人が業務を開始します。
■法定後見人(成年後見人)の役割
▼財産管理
預貯金、不動産、年金、保険金などの財産を調査・管理します。
公共料金、税金、医療費、介護費用などの支払いを行います。
家庭裁判所への財産目録や収支状況の報告も義務付けられています。
▼ 身上監護事務
本人の生活、療養看護(医療・介護・福祉)に関する契約や手続きを行います。
(例:介護施設への入所契約、福祉サービスの利用契約、入院手続きなど)
<注意点>
後見人の職務は、あくまで法律行為の支援(契約や手続き)です。
本人の身体介護や食事の世話、家事といった事実行為は、後見人の直接の仕事には含まれません。
基本的に法廷後見人は財産を守ることに重きを置いているため、不動産の処分などは難しくなります。
法定後見人は第3者が選任される場合があり、客観的に本人の利益になるのかという判断が難しい点が挙げられます。