火災保険を複数の会社で契約すること自体は法律違反ではありません。

しかし、万が一火事や災害が起きたときに「保険金を両方から丸々もらって儲かる」ということはなく、実質的なメリットはほとんどありません。

複数契約した場合の取り扱いや注意点について、解説します。

保険金は「実際の損害額」までしか出ない
損害保険には「利得禁止の原則(保険でお金儲けをしてはならない)」というルールがあります。

そのため、複数の火災保険からそれぞれ満額を受け取ることはできず、

実際の損害額を上限として、各保険会社が分け合って支払う形になります。
※例

建物の価値(保険価額)が2,000万円の家に、A社で2,000万円、B社で2,000万円の火災保険(合計4,000万円)をかけていたとします。
もし火災で家が全焼して2,000万円の損害が出た場合、受け取れる保険金は以下のようになります。
A社・B社から1,000万円ずつ(按分して合計2,000万円)
または、どちらか一方が2,000万円を支払い、もう一方は支払わない
どの会社にいくら請求したとしても、手元に入るのは実際の損害額である2,000万円が上限です。

4,000万円がもらえるわけではないため、払いすぎた分の保険料が無駄になってしまいます。

複数契約が意味を持つ「例外的なケース」
基本的には無駄になってしまいますが、以下のような特殊なケースでは複数契約が有効に働くこともあります。
設定した保険金額が建物の価値に足りていない場合(一部保険)
建物の価値が3,000万円なのに、最初にA社で1,500万円しか保険をかけていなかった場合、あとからB社で1,500万円の保険を追加することは意味があります。

これで合計3,000万円となり、全焼しても全額カバーできるようになります。
とはいえ、被災後の手続きが増えるので複数社に分けるメリットはないと考えます。

▼特約(オプション)を補い合いたい場合
「A社には付いていないけれど、B社にある独自の特約(例えば、特定の破損汚損に対する補償など)を組み合わせたい」という目的で、あえて別々の会社で契約するケースです。

ただし、これも主契約(火災補償そのもの)が重複すると保険料が無駄になるため、慎重に設計する必要があります。

もし重複して契約してしまったら?
意図せず複数の火災保険に加入していることに気づいた場合は、早めに以下の対応をとることをおすすめします。
現在の補償内容を確認する

それぞれの保険金額の合計が、建物の価値(再調達価額)を大きく超えていないか確認します。
どちらか一方を解約・減額する

超えている分は保険料の掛け捨てになってしまうため、補償内容や保険料を比較して、不要な方を解約するか、

保険金額を適正なラインまで下げましょう。

解約タイミングによっては、未経過分の保険料が戻ってくる場合もあります。

火災保険は「現在の建物をもう一度建て直すのにいくらかかるか」にぴったり合わせてかけるのが、

一番コストパフォーマンスが良くなります。必ず再調達価格で計算してください。

時価で計算した場合は被災後の生活が厳しくなります。