今回はリバースモーゲージについて学びます。
■リバースモーゲージとは
リバースモーゲージは、主に高齢者向けの資金調達方法の一つです。
自宅を担保にしてお金を借り入れ、自宅に住み続けながら、
契約者が亡くなった時に担保となっている自宅を売却するなどして借入金を返済する仕組みです。
■リバースモーゲージの仕組み
通常の住宅ローンが毎月元金と利息を返済していくのに対し、リバースモーゲージは、生存中は利息のみを支払うか、あるいは利息の支払いもせず、元金と利息の合計額を契約終了時(主に契約者の死亡時)に一括で返済するのが一般的です。
一括返済は、担保となっている自宅を売却して行われますが、相続人が現金で返済して自宅を引き継ぐことも可能です。
■リバースモーゲージの種類
▼公的機関が扱うリバースモーゲージ:
主に社会福祉協議会が提供しているもので、低所得の高齢者向けに生活資金の貸付を行う制度です。
資金使途が生活資金に限定され、融資限度額も定められています。
▼金融機関が扱うリバースモーゲージ:
各金融機関が独自に提供しているものと、住宅金融支援機構の「リ・バース60」があります。
「リ・バース60」は、住宅の建設・購入、リフォーム、住宅ローンの借り換え、高齢者向け住宅への入居一時金、
子世帯の住宅資金などに資金使途が限定されています。
一方、金融機関独自のリバースモーゲージは、生活資金や医療・介護費、レジャー費など、比較的自由に資金を使えるものが多いです。
また、契約終了時に担保物件の売却代金で借入残高が賄えない場合に、不足分を相続人が負担するかどうかで「リコース型」と「ノンリコース型」があります。
ノンリコース型は相続人の負担がないため、より安心感がありますが、金利が高めに設定される傾向があります。
■メリット
▼自宅に住み続けながら資金調達ができる
住み慣れた自宅を離れることなく、老後の生活資金やリフォーム費用などを得られます。
▼生存中の返済負担が少ない
毎月の支払いは利息のみ、あるいは利息も元金に組み込むため、年金生活者でも無理なく利用しやすいです。
▼高齢でも利用しやすい
収入要件が通常の住宅ローンほど厳しくなく、年金収入だけでも利用できる場合があります。
▼相続時の自宅の処分が明確になる
契約者が亡くなった後に自宅を売却して返済するため、残された家族が自宅の処分に悩む必要がなくなります
(ノンリコース型の場合)。
■デメリット
▼推定相続人の同意が必要な場合がある
将来的に自宅を売却することになるため、家族(推定相続人)の同意を求められることがほとんどです。
▼資金使途が限られる場合がある
金融機関や商品によっては、資金の使い道が住宅関連に限定されるなど、自由度が低い場合があります。
▼不動産評価額に影響される
担保となる自宅の評価額によって借入可能額が決まります。
また、将来的に不動産価格が下落した場合、追加の担保提供や元金の一部返済を求められる「担保割れ」のリスクがあります
(ただし、「リ・バース60」のように担保評価が一度きりの商品もあります)。
▼金利上昇リスク
変動金利型の商品が多いため、金利が上昇すると毎月の利息負担が増えたり、最終的な返済額が増える可能性があります。
▼長生きリスク
長生きして借入額が融資限度額に達すると、それ以上の融資を受けられなくなることがあります。
▼マンションは対象外となる場合が多い
担保評価が土地を重視するため、一戸建てが主な対象となり、マンションは対象とならないか、条件が厳しくなることがあります。
▼同居人の条件
配偶者以外の同居人がいる場合、利用できないことがあります。
■主な利用条件
▼年齢
満50歳または60歳以上が一般的です。配偶者がいる場合、配偶者も同程度の年齢制限があることがあります。
▼居住状況
自宅に契約者本人が単身、または夫婦のみで居住していることが条件となる場合が多いです。
子や親族と同居している場合は利用できないことがあります。
▼収入
返済に見合う安定した収入があること。年金収入のみでも利用できる場合があります。
▼担保物件
一戸建てが主な対象ですが、一部の金融機関ではマンションも対象となる場合があります。
また、旧耐震基準の住宅は対象外となることがあります。
▼推定相続人の同意: 原則として、推定相続人全員の同意が必要となります。