日本のインフレの上昇が続いています。
総務省が4月18日に発表した2025年3月分の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.6%(総合指数)でした。
また、同時に発表された2024年度平均の全国消費者物価指数(CPI)は前年度比3.0%(総合指数)でした。
4月30日から翌5月1日まで日銀決定会合が開催され、金利は据え置きとなりました。
同時に発表された「展望レポート:経済・物価見通し」によるとCPIの見通しを
2025年度+2.2%(+2.4%)、2026年度+1.7%(2.0%)、2027年度+1.9%としています。
※()内は前回1月に開催されたときの見通し
前回に比べ、物価の見通しは下がっていますが今後インフレは落ち着くのでしょうか?
■良いインフレと悪いインフレ
実はインフレには良いインフレと悪いインフレがあります。
▼良いインフレ
・消費と投資の促進: 将来的に物価が上がると予想されるため、消費者は買い控えをせずに積極的に消費したり、
企業は設備投資を行ったりする傾向が強まります。これにより、経済活動が活発になります。
・賃金上昇の促進: 物価の上昇に合わせて企業の収益が改善すると、労働者の賃金も上昇しやすくなります。
実質賃金が維持されれば、消費者の購買力は維持されます。
・デフレの回避: 物価が持続的に下落するデフレは、消費者の買い控えや企業の投資抑制を招き、経済の悪循環
を引き起こす可能性があります。適度なインフレは、このデフレのリスクを回避する役割を果たします。
・債務負担の軽減: インフレによって貨幣価値が下落するため、名目金額で固定された債務の
実質的な負担が軽減されます。これは、借り入れをしている企業や政府にとって有利に働きます。
▼悪いインフレ
・購買力の低下: 物価が急激に上昇すると、賃金の上昇が追いつかず、消費者の実質的な購買力が低下し、
生活が苦しくなります。特に、年金生活者や低所得者層への影響が大きくなります。
・経済の不安定化: インフレ率が不安定になると、企業は将来の予測が困難になり、投資を控えるようになりま
す。また、消費者は将来への不安から消費を抑制する可能性があります。
・金利の上昇: インフレを抑制するために、中央銀行は金利を引き上げる政策をとることがあります。
金利の上昇は、企業の資金調達コストを増加させ、住宅ローンなどの負担を増やす可能性があります。
・資産価値の目減り: 現金や預貯金の価値がインフレによって実質的に目減りします。
・国際競争力の低下: 国内の物価上昇率が海外よりも高い場合、
国内企業の製品やサービスの国際競争力が低下する可能性があります。
■今のインフレは続く?
今後もインフレは続くと考えています。
日銀が基調物価を2%を目標にしているようにインフレ自体は悪い事ではありません。
問題はインフレ上昇分を賄える月給が支払われているかだと思います。
統計によれば、実質賃金は2024年度は現金給与総額99.4%(速報値・事業所規模5人以上)内、きまって支給する給与では97.4%(同条件)です。
多くの企業はベースアップよりボーナス(一時金)を増やすことで、将来の人件費の高騰を避けようとしているように思えます。
インフレ上昇分を賄うことが出来る月給が支払われていれば、インフレが問題視されることはなかったでしょう。