今回は「住宅ローンの借入可能額」について考えます。
住宅ローンの借入可能額の計算方法
住宅ローンの借入可能額は、以下の計算式で求めます。
借入可能額 = ①月間返済可能額 ÷ ②審査金利での100万円あたりの返済月額
①月間返済可能額とは
月間返済可能額は、返済負担率から算出する金額です。
月間返済可能額 = 年収 × 返済負担率 ÷ 12ヵ月
返済負担率は、年収に対する年間の返済額の割合です。
各金融機関によって基準が異なりますが、一般的に35%程度が目安とされています。
②審査金利での100万円あたりの返済月額
審査金利での100万円あたりの返済月額 = 年間利息額 ÷ 100万円 ÷ 12
年間利息額とは、借入金額 × 審査金利 × 返済期間(年)で求めることが出来ます。
(元利均等返済かつ固定金利の場合)
審査金利とは、住宅ローンの審査を行う際に、借入限度額の計算に使用する金利のことです。
審査金利は、実際に適用される金利(融資実行金利)よりも高めに設定されています。
審査金利を高めに設定する理由
①金利上昇のリスクに備える
②借り手の返済能力をより厳格に審査する
金利上昇のリスク(変動金利で借りた場合)に備えるため、審査金利は、将来的に金利が上昇しても返済が可能な金額を借りられるように設定されています。
また、借り手の返済能力をより厳格に審査するため、審査金利を高めに設定することで、返済負担率を抑え、無理な借り入れを防ぐことができます。
審査金利は、金融機関によって異なりますが、一般的に3~4%程度が相場です。
なお、審査金利はあくまでも借入限度額を算出するための参考であり、実際の借入金利は、審査の結果によって決定されます。
計算例
例えば、年収500万円の人が、返済期間35年・返済負担率35%・審査金利3%で計算する場合
借入可能額 = ①月間返済可能額 ÷ ②審査金利での100万円あたりの返済月額
①月間返済可能額
月間返済可能額 = 年収 × 返済負担率 ÷ 12ヵ月
月間返済可能額=500万円×35%÷12
月間返済可能額は約14.58万円となります。
②審査金利での100万円あたりの返済月額(元利均等返済・固定金利)
審査金利での100万円あたりの返済月額 =3,848円
※利息計算はややこしいので割愛しています。35年間で利息計算のもとになる元金(残債)が減るため。
100万円 返済月額早見表 で検索する もしくはローン計算機能付き電卓で求めることが出来ます。
【結果】
14.58万円÷3,848円×100万円=約3,788万円
なお、借入可能額はあくまでも目安であり、最終的な審査では、年収や勤続年数、他社借入状況など、さまざまな要素を考慮して判断されます。
金融機関によっては借入単位が違うことにも留意が必要です。

FPとしての主観
住宅ローンの借入可能額の計算は面倒で分かりにくいです。
雑な考え方としては
①年収から返済可能な金額を求める(年収500万円の場合は月に14.58万円返済可能)
②100万円借りた場合の月間返済額を求める(35年なら3,848円)
①÷②×100万円まで借りることが出来る
大事なのは返済期間が短ければ、100万円当たりの月間返済額が増えるので借入額が減るという事。
また、借りることが出来る目安であって返済できる金額ではない事にも注意しましょう。