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今回は不動産の売主が宅建業者である場合の宅建業者に対する制限について考えていきたいと思います。

「宅建業」という言葉の定義に関しては、昨日投稿した記事をご確認ください。

 

まず「8種制限」についてですが、売主が宅建業者の場合に限ります。

宅建業者が代理・媒介の際は適用されません。

「8種制限」は宅建業者と消費者の情報(知識)の差から消費者保護を目的としています。

その観点から、売主が宅建業者であり、買主が宅建業者の場合は適用されません。

 

①自己の所有に属さない宅地・建物の売買契約の制限

宅建業者は原則として自己の所有に属さない宅地・建物を自ら売主として売買契約を締結できません。(他人物売買の禁止)

民法においては他人物売買は可能です。

(もし他人のものを売っても、契約した相手方に引き渡すことが可能であれば問題ないから)

但し、不動産の売買は手付金も高額になるため、宅建業者による持ち逃げを防ぐために宅建業法(特別法)で制限されています。

 

②事務所など以外の場所においてした買い受けの申込の撤回

一定の要件を満たせばクーリングオフが適用される

例えば、宅建業者が自宅に押し掛けて、買い受けの申込をするまで帰らないといった場合を防ぐ役割があります。(買主自ら自宅に招き入れた場合は適用外です。)

基本は正常な判断が出来る場所以外で申込した場合はクーリングオフの対象と考えればいいかと。

もしクーリングオフ出来ないと手付金を没収されてしまうので、それを防ぐための制限です。

 

③損害賠償額の予定額の制限

損害賠償の予定額と違約金の合計額は代金の20%を超えてはならない。

20%超えた部分は無効となります。

 

④手付の額の制限等

宅建業者が受け取ることが出来る手付金の額は代金の20%が上限となる

③④も多くの損害賠償、手付金の額を設定することで安易な契約の解除を防いだり、契約を解除させてお金を多く取るのを防ぐ制限です。

 

⑤契約不適合責任についての特約の制限

一般売主の場合、契約不適合責任について特約で無効にできるが、

宅建業者が売主の場合、引き渡しから2年未満の契約不適合責任について無効になる

最低でも2年以上の契約不適合責任を負う必要がある。

 

⑥手付金等の保全

一定額以上の手付金を受け取る場合、原則として保全措置を講じなければならない

例えば新築マンションの販売などで、引き渡しまで時間が要する場合、その間に宅建業者が倒産しても手付金が戻ってくるように保全措置を講じる必要があります。

 

⑦割賦販売契約の解除などの制限

携帯電話の機種分割払いと似ています。住宅ローンが一般的なので

不動産会社が分割払いで不動産を販売することはまずないのでスルーでいいかと。

制限の内容は分割払いの未払いや契約解除の制限です。

宅建業者としては代金の全額回収できるかの不安が長期間つきまとうので使われることはないかと。

 

⑧所有権留保の禁止

これも割賦販売を前提とした制限です。

分割払いを完済するまで所有権を買主に移したくないのが宅建業者の本音ですが、

宅建業者が倒産した場合、所有権を移してないと宅建業者の所有物として売却されてしまいます。今は住宅ローンによる抵当権があるのでこちらもスルーでいいかと。

 

以上、「8種制限」でした。

宅建業者には不利になる制限ですが、

元々宅建業法は戦後に好き勝手やっていた不動産会社から消費者を守るために制定された法律です。